基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

新書がベスト──10冊で思考が、100冊で生き方が変わる/小飼弾

言わずと知れた一冊を十分かけずに読んでしまうという超有名書評ブロガー、小飼弾氏による「新書のススメ」。同著者だと『空気を読むな、本を読め。 小飼弾の頭が強くなる読書法』も読んでいたので、「もういいかなぁ〜〜」とか思っていたのですけど特に理由もなく突然読みたくなって買ってしまいました。そしたらこれが非常に面白い。本全般を扱った「読書法」よりも、新書に的を絞っているためにより内容にキレがある。

さて、最初に言ったように、「新書のススメ」です。タイトルからそのまま連想されるように、「新書サイコー! 時は新書時代!」てな内容ですが、最初に浮かんでくる疑問は、「なぜ今新書を読まなければならないのか?」「他の本じゃダメなのか?」「どうやって新書を読めばいいのか?」というあたりでしょうか。まあその辺を要約しつつ、本の感想でも。

なぜ今本を読まなければならないのか

シンプルに一言でまとめるならば、世の中の仕組みが日々凄い勢いで変わっていっているから、ということになる。技術が進歩することによって、どんどん人間がやるべき仕事が機械に置き換わっている。また人件費削減の問題などもあって、どんどん仕事が海外へと流れていく、あるいは日本在住の中国人などに奪われている。そんな状況で生き残っていく為には「機械にはできない」ことをやらなければ、ならないと。

その為に、本を読むのだ。そういうようなことになります。

なんで新書なの?

本を読めと言うのならば、新書以外でもええじゃないかと当然疑問に思います。その答えとしては、以下のように

1.「1000冊の本をハードカバーの単行本でそろえようと思ったら、大型の本棚が数個は必要になりますが、新書なら3分の1程度の容積ですませられるでしょう(p.21)」収納コストの問題。

2.値段。ハードカバーは大抵1000円以上する。しかしそれほど価値のある本はあまりない。

3.サイズ的な読みやすさ。よくしなり、片手で読める。

4.内容。新書は装丁でごまかせないので内容で勝負するしかない。

などなどをあげています。以上のようなことが問題になるのは、「たくさん読まなければならない」という前提に立っているからですが、著者は「まず1000冊」読まなければ本を読むことが強みにはならない、といっています。正直その数字にどんな根拠があるのかよくわかんないですけど、「偏った意見ではなく、色々な人の話を聞いた方が良い」というのは言うまでもないこと。1000冊だろうが2000冊だろうがいっぱい読めばよかろう、ということですね。

新書の買い方・読み方

こういう「読書法」的なアレは、著者がめちゃくちゃ本を読んでいることがほとんど必ずと言っていいほどですので、時に「本をあまり読んだことがない人」への配慮がかけている事があるのですが、その点本書はしっかりしています。最初に対象とするのが「月に1〜2冊程度」本を読む人向けへの解説ですので、期待がもてそうです。

と思っていたら、いきなり「300冊新書が入る本棚を買って、300冊新書を適当に買え!」と言いきっているのはどういうことなのか。図書館で借りたりもせずに、一気に買わなければいけない理由は、読書を習慣づけする為にはお金を払って身を切らなければ本を読まないからという事。毎日一冊ずつ買うと、三日坊主になってしまうから。

最近話題(もう過ぎた感じがあるけど)の一冊、『フリー』の中では、無料化の欠点として「無料になったモノを大切に扱わなくなる」という点が挙げられていました。たとえば2ちゃんねるなんかでも、書き込みにお金がかかるようになれば無意味な誹謗中傷も随分と減るはずですし、たとえば会議中のお菓子が無料であるとすれば適当に色んな種類とってきて、適当に食い散らかしたりするでしょうが、自分でお金を払って買ったお菓子ならば大抵全部食べようとします。

なので300冊買ってくるというのは確かに責任を持つという意味では、有効なんでしょうけど……。うーんでもやっぱり納得いかない。というかまあ納得いかないのは、「これを読んだうちのいったい何人が本当に300冊買いに行くんだ?」という疑問があるからなんですけどね。あと、「そんな風に自分にプレッシャーを与える読書をして、楽しいのか?」と思ったりします。「楽しい楽しくないではなく生き残る為に読書が必要なんだ」という人がいたらあっぱれですけどね。

これより後は10冊とりあえず読めとか、ツッコミを入れながら読めとか、タイトルや目次から内容を想像しろとか、タイトルは短い方が傑作が多いとかダメ本も読むとか、まあどっかで聞いたようなありきたりなことしか書いてないので割とどうでもいいです。

約200ページ中の100ページまでが、上に書いたような内容でここから先は新書をレーベルごとに紹介していく形です。これも各レーベルごとにオススメ本を紹介していくという、ほぼ全ての新書を読んでいるであろう小飼弾氏にしかできない力技で大変面白かったですけど、それは読んでたしかめてください。なかなか面白い一冊でした。

新書がベスト (ベスト新書)

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