基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

フリーライダー あなたの隣のただのり社員/河合 太介, 渡部 幹

普段読まない本を読もうと思って適当に選んだらこれだった。フリーライダーの意味がよくわからなかったけれども、どうやら職場などでサボったり人の手柄を横取りしながら給料をもらう、そういう癌のような職員のことをそういうようで。

会社にくるなりソリティアを始めて終わりまでずっとやっているというような顕著な例からガミガミと下の人間に理屈の合わない指示ばかり飛ばして部下が明らかに間違えているので従わない場合に激怒し「自分は人一番働いている」と勘違いするような上司まで、その実態は様々なようである。

しかしそもそも人間が社会集団を作り上げる上で、そういう「フリーライダー」が出てきてしまうのはどうしようもないことである。働きアリだって、実は実際に働いているのは8割で、あとの2割は働きもせずごろごろしているだけだという。理由としては、いざとなった時の余剰人員としてそういう層が必要とされているらしい。

アリの例をそのまんま人間に当てはめるわけにもいかないだろうけれども、しかし人間だって10割の人間がいて10割働いていたら疲れちゃうんじゃないかなーと僕などは思う。正直いって働かない人が居ることは前提として、全ての作戦を立案しなければならないだろう。

その為の方策が、本書には書かれていた、ような気がする。しかも思ったよりも具体的に。もっとこうなんか、「社会にはフリーライダーがいます! フリーライダーとはこういうものです!」で終わるのかと思っていたのでこれはちょっと儲けものでしたな。
目次

第1章 ただのり社員に苛立つ職場
第2章 フリーライダーの分類―日本の職場にいる四種類のフリーライダー
第3章 なぜフリーライダーが生まれるのか
第4章 組織としての問題解決―勤勉な社員が夢を見られる会社づくり
第5章 個人として取るべき行動
第6章 新たな課題

本書では最初にフリーライダーを四つに分類し、その上でそれぞれのフリーライダーに対する対策を述べる。たとえば四つの分類と特徴はこのようなものである。

1.アガリ型
・自分からは仕事を探さない
・首にならない程度に手を抜く
・どんな仕事をしているかわからない。

2.暗黒フォース型
・自分、あるいは自分の部署の保身がいちばん
・変化を嫌い、そのための案やその案を提唱する人物は潰す

3.クラッシャー型
・自分に向けられた批判には耳を貸さない
・出来事を自分の都合のよいように捻じ曲げて解釈
・関わった人を疲弊させる。

4.成果・アイデア泥棒型
・他人のアイデアを自分が考えたかのように言う
・失敗した仕事には最初から批判的だったと言う
・精神論で説教、昔の自慢話が多い    

はてさて、誰でも身の回りに当てはまる人がいるのではなかろうか。そうはいってもこんなの「誰がやってもあたる普遍的なことを言っただけの心理テスト」みたいなもんだなぁとも思ってしまいますが、まあ基本的にその通りでしょう(ひどいこと言ってますぜこいつ)。

そして、各タイプに対する対処法が以下の通り。

1.アガリ型<健全な成果プレッシャー=楽をしたらそれなりの処遇が手に入らない>
・ビジョン・方針の明確化
・責任に応じた自由度、自由度に応じた責任

2.暗黒フォース型<脱・学習性無力感のマネジメント>
・企業としての一貫性をもった戦略推進
・挑戦奨励、挑戦礼賛

3.クラッシャー型<自己客観視力を育てる>
・目標は明確に設定し約束する
・個人とチームの評価を区分
・内省させる
・必要な教育機会の提供

4.成果・アイデア泥棒型<脱・手柄主義のマネジメント>
・多面的な評判情報を集める
・結果管理ではなく、プロセス管理の評価と面談

なんか、「簡単にいってくれんじゃねえか!!」って答えばっかりですな。読んでいる時は「へぇ〜」と思っていましたけれども、なんかこうして自分で書きだしてみると「アレ?」という感じ。クラッシャー型の「内省させる」とか「どうやってだよ!!」とツッコミを入れたくなりますしね。

結局のところ、適切な評価基準と、適切な社内システムがフリーライダーを生まずに済む最適な方法のようです。たとえばアガリ型などは「もうこれ以上昇進できないし……」などといった考えが、手抜きを生むわけですし、成果・アイデア泥棒型も「誰が一番貢献したか」が適切に判断されていないことから起こってしまう問題です。

「適切なシステムとは何か」という部分が、本当は一番難しいんですけどね。そこを全ての会社に対して一般化することは不可能に近いでしょう。一冊の本としては、このあたりが限界なのでしょう。なかなか面白かったです。

フリーライダー あなたの隣のただのり社員 (講談社現代新書)

フリーライダー あなたの隣のただのり社員 (講談社現代新書)