基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

アインシュタインの謙虚

「怒らないこと」という本の中に出てきたアインシュタインの逸話が面白い。謙虚さを讃える内容だ。アインシュタインの家は、ごく一部の研究者にしか知られていなかったがとある小学校の教諭は偶然アインシュタインの家の場所を知っていた。そしてその隣に住んでいる女の子の数学の成績があまりにも悪かったので、「なんでちゃんと勉強しないんだ、あなたの隣に算数がよく出来る人が住んでいるのに」と言った。

子供はアインシュタインの事など知らないので、それならば教えてもらおうとばかりに家におしかけていって算数を教えてくれ、とお願いした。もうその当時のアインシュタイン相対性理論を発表しておりとても忙しく、アメリカの国宝のようになっていたがちゃんとぜんぶ教えてあげた。突然女の子の成績があがったので教諭がなぜかと尋ねればアインシュタインのおかげだと答える。

驚いてしまったのは教諭で、何しろ相手は人間国宝である。彼の時間は人類の宝であり小学生の子供の為にあるのではないと誰もが考えるだろう。そして子供の母親と共にたいへんご迷惑をかけましたと謝りに行った。しかしアインシュタインは、「いいえ、なんのこともないのです。私は何も教えていません。反対に、いろいろなことを教えてもらいました。教えてもらったのは、私のほうです」と言ったそうだ。

「どんなものからでも学ぶことができる」「その人がそこに何らかの意図を見いだそうとすれば」とは内田樹先生が語る学び、先生の理論だがアインシュタインはそれが完璧なまでに実行できていたのだろう。小学生からも多くを学ぶことが出来る、謙虚になれる。自分は人間国宝なのだから小学生なんか相手にしていられるか、という驕りはどこにも見られない。その姿勢こそが、怒りを消し、人生を幸福にする。

怒らないこと―役立つ初期仏教法話〈1〉 (サンガ新書)

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