基本読書

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グーグル秘録/ケン・オーレッタ

いやー面白かった! 時間を忘れて読みふけることが出来る。グーグル関係者への膨大なインタビューをもとにして、グーグルを描写した一冊。これを読めば、グーグルが今まで何をやってきて、これから何をしようとしているのかがわかるはずだ。そしてその成立過程が圧倒的に面白い! 1998年から始まって、わずか10年あまりで知らない人が居ないほどの巨大企業に変貌した企業が、面白くないはずがない。

何より面白かったのは、創業者の二人の魅力である。二人とも学者を親に持ち、天才性を子供の頃から発揮しつつ、社会の常識を打ち破り続けながら、共に「大きな理想」を掲げてグーグルを設立した。その姿勢と理想が一貫してブレないことに感動してしまう。そんな彼らの理想、目標とは世界を変えることであり、より世界を便利にすることである。

かつて世界最古の巨大図書館があった。アレキサンダー大王の幼馴染で軍隊の司令官でもあったプトレマイオス一世が創設者で、彼は世界中のすべての書物を集めることを目標にして、世界一の図書館を作り上げた。その後図書館は数多くの文化と知性に影響を及ぼしたが、その際に苦心したのが、本を集めることもそうだが「どうやって検索するか」であったという。

図書館は現代のネット上の情報に例えられる。今では、プトレマイオス一世の時代よりもはるかにたくさんの情報がネット上に転がっている。ただし、当時と同じように「検索」の手段が必要だった。どんなにたくさんの情報、知識が転がっていたとしても適切に入手できなければ意味がない。そこで大きな役割を果たしたのが、グーグルだったというわけで。

そして今となってはネット上の情報だけでは飽き足らず、過去に出版されたほとんど全ての紙媒体までをネット上に取り込み、誰もがそこにアクセスできるようにしようとしている。過去に類を見ないほどの巨大な知の図書館とその検索手段が出来上がることによって、間違いなく創業者二人、ラリーペイジとセルゲイ・プリンは世界を変えるのだ。しかも、多分良い方へ向かって。

本書には「完全なる破壊」という副題がついているけれども、読んでいたら納得した。「創造」の「創」という字には、創るという意味のほかに破壊するという意味も込められているとどこかで読んだことがあるけれども、その通り、創造、イノベーションとは破壊したうえに創りあげなければ行われないのだ。

たとえばグーグルは新しい広告の手段として、検索したキーワードに関連した広告を出し、クリック率に応じて広告料をいただく、というシステムを考案した。そのシステムに対して、広告業界のドンのような存在だったカーマジンという男は、「広告は投資に対してどんな効果があるかわからないところが良かったんだ! 成果を可視化できるようにするなんてなんてことをしてくれたんだ!」と驚愕したと言う。

当然グーグルがよりシステマチックなその方法を広く推し進めれば、他の分野で効果もわからずに広告をいちかばちかで打つ人達は減るだろう。その人たちの今までの仕事というのは、まるっきり破壊されてしまったことになる。

すでにあるシステム、物に対して付け加えたり、あるいはとってみたりすることが創造なのではなく、すでにあるものをぶち壊して新たに一から創りあげるところにこそある。そして、それこそがグーグルを成長させてきた原動力だし、イノベーションの元になるのだ、と読んでいて思った。

グーグル秘録

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