口コミで売れている、といって評判になってからもう随分経った今頃になって読んだわけですが、やっぱり大変面白かったです。人類は巨人に殲滅され、わずかに生き残った人類が生活拠点の周りに高さ50メートルの壁を張り巡らせることによって(巨人の身長は最大で15メートル)100年間の平和な生活を得ています。
物語が始まるのは、この100年間の平和が壁の高さである50メートルを超えた巨人が出現し、壁は壊され、住人は蹂躙され、崩壊してしまった時。母親を殺されたエレンは「外の世界を見るため」「殺された母親の仇を取る為」などの理由によって、巨人との戦いのために訓練を始める……。
うまいところが山ほどあります。まず「巨人と白兵戦をする」という核となる部分を強引に設定で作り上げたところが凄い。巨人たちは頭や手足を大砲で潰しても再生してしまいます。彼らを唯一潰す為には、首の後ろにあるせまい急所をピンポイントで狙わねばなりません。
だからこその白兵戦。ワイヤーを駆使し、巨人の周りを飛び回りながら後ろに回り込んでズシャー。これは読んでもらわないとわからないと思いますけど、非常に快感です。恐らく漫画ならではの「三次元的な表現」が気持ちよいんじゃないかと思うんですよ。
普段僕達は三次元の世界で生きているわけですけど、たとえば道は平たんだし、視線が上下することはあっても自分自身の身体が三次元空間を自由に動き回る感覚は受けようが無いんですよ。「普段受けない感覚を受け取る」ことは確かに「面白さ」「新しさ」に繋がるはずなのです。
海でも宇宙空間でもないのに三次元的な動きをする。その為の巨人と白兵戦をするという設定がある。そして何より、「巨人が圧倒的にデカくて、気持ちがわるい!!」この漫画を今「新時代の漫画」のように編集部は執拗にプッシュしていますが(正直押しつけがましい)、肯定的に捉えると「今までの漫画がサボってきたことを、進撃の巨人はやっている」んじゃないかなと思います。

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