たいへん面白い能力物ライトノベルです。ほくほく。一巻の時点だと文章を書くのにあまり慣れていないのかなんなのか、読んでいると凄く疲れるんですが、二巻になってグッと読みやすく、また面白くなっている。お話の本筋が要約ブレずに定まってきた、という印象を受けます。というわけで二巻まで読んでこれは大変面白いと思ったのでオススメしてみます。わりと有名なのかな? わからないですが。
あらすじを簡単に説明すると、雑多な能力者が集う街、咲良田(住民の約半数ほどが物理法則に反する能力を持っているけれど、大体がくだらない能力)で起こる事件を学校の奉仕クラブに所属する主人公(記憶保持の能力者。見た事聞いたことを全て思いだせる)と世界を三日分巻き戻せるリセットの能力者春埼美空(はるき みそら)の二人を軸にしてお話は展開していきます。
面白いなーと思うのが、能力の使い方。能力者はなぜか咲良田を出ると能力が使えなくなるので事件はすべて咲良田で起こるのですが、一つの町で起こる事件を能力で解決するってなんかジョジョの第四部っぽいですよね。僕ジョジョだと第四部が一番好きなんですよ(どうでもいい)。
ジョジョと違うのは、能力が別に戦闘に使われるわけではないと言う事。ここが一番大きな違いというか、咲良田の能力者は大抵が「あんまり役に立たない」能力ばっかり持っているんですよね。でもそこが良い。今の能力物って大抵は敵を攻撃するものばっかりじゃないですか。ジョジョ何かは敵を攻撃しなくてもいい能力もいっぱいあるけれど、でもあれはバトルをしなければいけない世界観ですからね。
その点このサクラダリセットがうまいのは、「能力の組み合わせを前提にして事件を解決していく」というところ。事件を解決するだけですので、戦闘にはならないわけです。あと雑多な能力から、事件をどう解決するのか? というパズル的な視点がかなり面白いです。町中に能力者がいるわけで、「ネコと意識を共有できる能力者」とか「過去にとった写真の中に入れる能力(十分限定)」とか。
これらの能力をうまく組み合わせて、問題を解決していくのですね。中でも最も重要なのが、主人公とヒロインの能力の組み合わせ。ヒロインの能力「リセット」は、使うと本人の記憶まで巻き戻ってしまうのですが主人公の能力「記憶保持」のおかげで主人公だけは巻き戻る前の記憶を保持できるのです。これによって致命的な問題が起こった時に、リセットをすることによって「問題が起こる前に解決」することができる。
お話の組み立て方と能力に対する考え方が非常に論理的で、読んでいて感心してしまいます。よく考えて、練られた能力物、といった印象。僕が今年読んだライトノベルの中だと(あんまり読んでいないけど)ベストの出来前。たいへんおすすめです。
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