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キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる

佐々木俊尚氏によるここまでの情報社会の流れをまとめましたーといった感じ。大変わかりやすくまとめられていて面白かった。「なんか最近の情報関連のことを知りたいんだけど」と訊かれたら「はい」と即座に手渡してもいいぐらいにはオススメ。

キュレーションとは『無数の情報の海の中から、自分の価値観や世界観に基づいて情報を拾い上げ、そこに新たな意味を与え、そして多くの人と共有すること』であるそうだ。初めて知った。現代のような「情報がありすぎて飽和」している状況では、適切な情報を選別し、単一の情報としてはノイズでしか無い物を拾い上げ意味を与えることによって別の価値を与える、そうしたキュレーターが必要不可欠なのであるというのが大雑把にまとめた本書の内容かと。

凄いのはこれが大変わかりやすくまとめられていることで、常に説明には「印象的なエピソード」が盛り込まれている。本書がやけに分厚いのも間違いなくエピソードが大量に盛り込まれているからで、正直盛り込まれすぎていて最後には「凄い胡散くさい!」「くどい!」と僕からは大変不評であった。いくら感動的で印象的なエピソードであっても、実質それは「実例+1」でしかないからあんまり意味はないと思う。わかりやすくはあるけど。

エピソードで自説を補強する時はあんまり盛り込みすぎないようにしようと思った。まあそもそも本書の主張的には「物語」をいちいち付与するというのがキュレーターの一つの役割であり、重要なのであると言っているようだからそれを佐々木俊尚氏は実際に自分でやっているわけであって、本を書いている人間にいくらでもいる「偉そうなこと言っている割に自分は何もやっていない」タイプとは一線を画している。

それにしても書いてあることにはうんうんと頷きながらも、なぜか違和感を感じてしまうこともある。これはまだ自分でもよくわかっていない。たとえば「情報が飽和していて選別してくれる人が必要だ」というのはまったくそうだと思う。本屋に行けば日々新しい新書が出まくってて、正直誰かの書評も読まずに片っ端から買っているわけにはいかない。時間は有限で、つまらない本をつまらないと確認する為だけに読むなんてやだなーと思っている。

だから誰かが書評で褒めていた本を買う傾向はかなりある。そうでもしないと無数の情報の中から一つを選ぶ程の動機が得られないから。一方で、「そもそも本なんか読まなくちゃいけないのか?」「本を何のために読んでいるんだ?」というような根本的な疑問がある。「誰かのオススメした本」を読みまくることで、「失われる物」はないのか? 当然あるだろうと思う。いくつかすぐに思いつく。

それが怖いと言えば怖いが、まあかといってどうなるものでもないでしょう。そういう話でもあったはず。何しろ情報は溢れかえっているわけだから。なかなか面白い一冊でした。おやすみなさい(眠くなってきたので無理やり終わらせた)。

キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)

キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)