基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

雷の季節の終わりに

素晴らしい! 久しぶりに作品の世界にどっぷりと浸りこんでしまいました。そういう作品って、まれ。飛びぬけて面白くても世界に浸りこめないことって、結構あるし。そう、『夜市』しか恒川氏の本は読んでいませんが、その頃から兆候はありました(どっぷりと浸れる)。もともと、日常からふとしたことで異界へと、一瞬で切り替わってしまうといったことを書くことが、漠然にうまいのでした。であるならば、現実空間からひゅっと、物語空間へと意識を持っていくことも、そう違いのあることでもないのだと思います。

そう、最初は『夜市』の拡張版のようなものなのかな、と本書を読み始めて思ったのでした。わりと、あんまり、広い方面へ作品ごとに向かって話をふってくるタイプではなさそうですしね。ひとつ、自分の中に持っている世界を、丹念に構築していくタイプのように僕には思えます。実際その通りだと思うのですが、いやー、より広いですね。長編だから当たり前といえば当たり前の話ですがね。

うーんこれ以上うまく説明できそうな気がしない。つまりそれこそが異能の証、誰にもコピーできない圧倒的なオリジナリティ、といえるのかもしれません(もちろんこれは逃げ口上)(逃げ口上なんていう単語初めて使ったかもしれない)。しかし、「とにかく凄いのだ」という僕の心意気だけは買ってほしいですね(もちろん買わなくてもどうでもいい。)