基本読書

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エンジニアとしての生き方  IT技術者たちよ、世界へ出よう!

おもしろい。Life is beautiful: 出版のお知らせ:「エンジニアとしての生き方」本ブログの記事をまとめたブログ本だけれども、著者の中島聡さんのブログを読んでいなかったこともあって新鮮な気持ちで読んだ。最近はブログ本を読む機会も増えた。ネットで無料で見られると言っても、本で読むだけの価値があると言う事だろう。

まずネットだと新しい記事を読むのは楽だけれど、今までまったくブログを読んだことがないと、無駄な情報で溢れかえっている過去ログをさかのぼるのが大変。それから本だと綺麗にテーマごとに整列されているのが嬉しい。書き下ろしもあるし、利点も結構あるものだ。

何度も繰り返し出てくるテーマは「自分の好きなことやろうぜー」ってことで、しかしこれが結構難しい。自分はいったいどんなタイプなのか、何が好きなのか、何もかも忘れてしまうぐらい熱中してしまうのはどんなことなのか。著者にとってはこれがプログラムだったわけで、そういうわけでは本書が扱っている「本当のエンジニア」の定義は限られた人の中での話なのだが、その言葉は誰にでも適用できる普遍性を持っている。

好きなことが何かを把握したら、その後のキャリアパスを考えるのもまた重要なことだ。5年後、10年後の目標を考え、そこに至る為には何をすればいいのかを考える。そんなことをするのは、目の前にあることをがんばって解決しているだけだと、長期的な戦略を建てられないからだ。つまり何物にもなれないで終わっていく。想像すらしなかったことは、何事も現実化しない。

しかし実際、このような具体的な10年20年単位でのロードマップを思い描きながら日々を過ごしている人は、ほとんどいないんじゃないかと周囲を見ていると感じる。長いスパンで物事を考えて、具体的に未来を想像するのは難しいことなのだろう。想像力ってどうやったら見につくんでしょうね。

他に、面白かったのが、著者がウィンドウズ95で動かないウィンドウズ3.1用の大量のソフトをどうやって動かせるようにしていくか、を解決した時のアイデア。これはたしか任天堂のマリオを作った宮本さんが言っていたことだけれども、「アイデアとは複数の問題を一気に解決することである」というのをまさに体現しているなぁと思った。

要するに、互換性がないものを無理に合わせようとする時に、ひとつひとつ問題を解決していったのでは、時間がとてつもなくかかるし、ひとつ直すたびに新たなバグが出てきたりして、効率が悪い。真のアイデアとは、そういった問題を全部、まとめて解決してしまうようなものなんですよね。そのアイデアっていうのは「Windows95で動かないソフトがあれば、動くように書き換えてしまう」というものでこの発想に大層感動しました。

他にも細かい、面白い話がいっぱいあって、面白かったです。

エンジニアとしての生き方  IT技術者たちよ、世界へ出よう! (インプレス選書)

エンジニアとしての生き方  IT技術者たちよ、世界へ出よう! (インプレス選書)