言っている事は非常に単純なことなのにこの本は446ページもある。
まったく同じことを手を変え品を変え説明し続けるので正直半分も読んでない。
凄いなと思うのは具体例の多さと、膨大な知識量からくる話題の豊富さで、面白かったけど別にいらなかった。
もう誰もが知っている事だが、ロングテールとは要するに今までは「物を売る」為には店に物を並べて買ってもらわねばならず、その為物理的な陳列量といったものが、かなり消費者の選択を狭めていた。それにより物を売る側も売れる物に仕入れを集中させねばならなかった。1人が欲しがるものよりも、100人が欲しがるものを入れなければならないのは当然のことだ。
インターネットの登場によってそれが変わった。Amazonや楽天のような通販サイトを見れば分かる通り、場所による制限といったものは存在しないかのようにふるまうことが出来る。ひとりしか買わないようなニッチなものでもそろえることが出来るようになった。
従来の店舗型であれば絶対においてもらえないような商品が、集めることによってヒット作と同じぐらいの規模で売ることが出来る。本ならう一冊で100万冊売るのはとてつもなく大変だが、10万冊の人気のない本を10冊ずつ売ることによって同じぐらいの利益になる。ヒットしない商品を集めることでヒット作に匹敵する市場を作ることが出来る。
まあ、それだけの話だ。非常に豊かだと思う。今の時代に生まれてよかった。欲しい本は今では本屋に置いていないことが多いが、だいたいAmazonで買える。10年前だったら諦めていたことが、今ではできるようになった。これから先もどんどん豊かになるだろう。
豊かとは何か。それは選択の豊富さだと思う。昔は映画館に行かなければ映画を見ることが出来なかった。今は家で好きな時にみることができる。もはやレンタルショップに行く必要もない。これから先豊かになるとしたらもっとニッチで、誰が得するのかわからない映画がどんどん出てくるだろう。
読みたいと思った本が即座に読めるようになる時代も、もう来ている。出来ればもっと未来に生まれたかったが、今でもまあ幸せだ。この本を読んでいたら見当違いかもしれないけど「今って幸せだなあ」と強く感じた。今読むと別にそんなに面白い本でもない。