このエントリは凄くどうでもいいことですけれど、森博嗣先生の本を今までにいくつか読んだことがあって、考え方などに刺激を受けており、しかしまだMORILOGACADEMYしか日記シリーズは読んだことがない人に対して、森先生が一番最初に幻冬舎より出版された五冊の日記シリーズをお勧めするものです。どうでもいいですけどブログの記事をエントリっていうのは凄くスカしてて僕は嫌いですね(笑)。
あなたが森博嗣先生の本のことが別にどうでもよい人ならばオススメされてもどうでもいいだろうし、仮に氏の書く本が好きだからと言って別に読まなくてはならない理由など何もないのですけど、大ファンならば読んでおいて損はないはずだと、この日記シリーズについて言えば思います。ちなみに日記シリーズとは『すべてがEになる』『毎日は笑わない工学博士たち』『封印サイトは詩的私的手記』『ウェブ日記レプリカの使途』『数奇にして有限の良い終末を』の五冊のエッセイのことです。
森博嗣ファンならば本書を読んでおいたらいいんじゃないかと思うのはいくつか理由がありますので、まずは引用から始めたい。引用引用。
さて、結論を書くが、このシリーズは森博嗣のこれまでの著作のうち、作者にとって最高に価値がある創作物であり、これはしばらくは揺らぐものがないと確信している。将来、もう一度くらい挑戦したい(つまり日記を書きたい)とは関挙げてはいるけれど、やはり最初の無垢な領域へ踏み入れるフロンティア性は、もう二度と得られないだろう。希有のものであったと思われる。『数奇にして有限の良い結末を』
こちらは日記シリーズの最終巻の前書きで書かれたもの。
本書は、もともとは「非科学に騙されるな」みたいな感じの文章を書こうと企画したものである。編集担当の志儀保博氏にもそう話してあった。これまで幻冬舎で出した僕の本はすべて彼に担当してもらっている。それらの中でも特に僕の思い入れが強いのは、1995年から2001年までのウェブ日記を本にした5冊の日記シリーズである。今でも、自分が出版でなした仕事のうち最も価値があるのは、あれだったのではないか、と自己評価しているくらいだ。『科学的とはどういう意味か』
こちらはつい先日出た『科学的とはどういう意味か』の後書きからの引用になります。
日記の完結からおよそ10年がたっても、森博嗣先生の中ではピカイチの価値を持っているシリーズが先程挙げた5冊の日記シリーズになるのですよ。少しでも氏の著作に刺激を受けたことがある人なら、この時点で「読もう」と思っているのではないでしょうか。過去の僕はそうだった。
あとは個人的におもしろポイントを少し伝えておきましょう。氏自身も言っている通りに本書の最大のポイントは無垢な領域へと踏み入れた森博嗣先生がきゃっきゃと日記を書いている様子を読めることだろう。もう少し具体的に説明すると、氏の以降の日記シリーズは、実はかなりかく内容は制限されてしまっているのです。
たとえば一番有名なMORILOGACADEMYシリーズは、書かれている内容は主に「仕事の進捗状況」「考えたこと」「庭掃除」「模型/趣味の話」「スバル氏」とかなり限定的になってしまっている。これは純粋に「仕事」として書かれていた為に、知らせたくない部分に関しては隠されてしまった結果でしょう。当然のことです。
一方こちらも仕事として書かれてはいるものの、まだまだ多くの事が(恐らくこれでも制限はされているのだろうが)あけっぴろげに書かれております。
たとえばMLAでは「読んだ本の話」がほとんど書かれていないのです。面白かった〜とかもほとんどない。でも初期の日記シリーズでは、何を読んだか、面白かったか、どう面白かったかまで結構綿密に書いてくれる。
そして発現が過激ですね。今ぱらぱらと読み返していたら、「年寄りの利用価値が落ちた。ろくに役に立たないのに説教垂れるんじゃないぜべいべ。自分もそろそろ年寄りだからときがきたら山にこもろうか」とか凄く適当(笑)家族の話とかも結構具体的に出てきていて、驚きです。
もうオススメポイントでも何でもないんですけど、読んでいるとやっぱり圧倒されるんです。氏はこの日記シリーズで「実現する」といったことは未来において必ず実現しているんですよね……。氏は庭園鉄道といって、家の広い庭に鉄道路線を敷きつめている様子が日記では書かれているのですが、もうこのころから「もっと広い場所でもっと大きな鉄道を作りたい」と未来を語っている。僕からすればその時点ですでに十分すぎるぐらい大きいし、ただの願望かなあ? って思っていたのですが、本気でした。
実際に実現する為、お金と時間を稼ぐために小説を書き、自由時間をほとんど全て小説の執筆に宛ててまで「未来の自由な時間」を得ている。この日記シリーズの森先生って凄く忙しそうで、最初に読んだ時は「いくら儲かってもこれじゃ寝る時間がほとんどないじゃん……」と否定的だったのですが、現在の森先生は仕事もほとんどやめ、デカイ土地を前にしてとてつもなくデカイ路線を敷きつめてます。その様子はここで観ることが出来ます。→Construction in Waterloo
このブログをみると、圧巻です。過去にこの日記シリーズに限らず、MLAなどで「○○したい/する」と言ったことはここで全て現実化されています。なんだろう、うまくいえないんだけど、それって凄いことなんですよ。感動的なんです。ここまで出来る人を僕は今まで見たことも読んだこともありません。端的にいって、憧れているんです。
5冊の日記シリーズには氏の通過点が詰まっています。通過点ですから未来へと向かっているのです。そして氏が向かっていた未来がどうなっているのか、今見ることが出来る。本のとてもいいところだと思います。
本書を読んでいると、ひとりの人間に「可能なこと」というのを見せつけられます。感動するのは、「可能なこと」が僕の想像をはるかにこえてたくさんあるからなんだろうなあ……と書いていて今思いました。人間って、すごい「自由」を手に入れられるんだって、そう気が付けるんです。
長くなりましたが(もう誰も読んでねーよ)読んでみたらどうでしょうか。

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