基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

創造の方法学

森博嗣は著書『科学的とはどういう意味か』の中で「科学」の意味を『科学というのは「方法」である。そして、その方法とは、「他者によって再現できる」ことを条件として、組み上げていくシステムのことだ。』としています。

学校の試験で問われるような、「何年には何が起こった」とか、「○○の意味は○○である」という単なる「名前を多く覚えている」だけの「知識」は科学の分野では尊敬されません。『いくら多くを知っていても、ある一つの問題に対して「知らなければ」、その人間は無能になる(p.100)』

一方で方法を知っている人は、その方法を他の物事に適用することによって同様の問題をいくらでも解決することが出来る。科学の分野では「知識」よりも「方法」が、人の能力を量る上で問題にされる。

さて……話が『創造の方法学』よりだいぶそれたけれど、本書で扱っているのはまさに科学における『方法』と同じものです。これを主に「社会学の研究における方法」ということで少し異なっているのかもしれない。

僕は大学に居た時は文系でしたので、研究するとしたら何をするかな〜とか文学のゼミに入って考えたりもしたのですけど、文学の研究ってマジクソ(当時の僕の主観)なんですよね。なんかわけわかんない超どうでもいい問題をあーでもないこーでもないって議論したり勝手に結論をつけたりしていて、結局かなり決めつけが入るので文学の研究は著者が死んだあとでしか盛り上がらなかったりするのです。

他の社会学やら哲学も似たり寄ったりに見えて、いちばん文系学問の中で研究的な意味が感じ取れる経済学部を選んでみたものの、結局その道に入りこむこともありませんでした。当時にこの本を読んでいたらもっと色々選択肢が増えたかなーと考えたりしました。

「創造」とは「この世界に全く新しい何かを付け加えること」であって、「その為に何をどうすればいいのか」が本書では語られています。僕が大学で勝手に幻滅したのは「こんなやり方じゃ何も新しい物は生み出せない」であって、実際には「方法」はいくらでもあったのです。

1979年の本ですので、書かれている「方法」もだいぶ古いですが、「方法論」の基礎は確実に学べるんじゃないかな。僕のようなクソボケもなかなかいないとは思いますが、「マジ大学の勉強ファッキン」みたいに思っている人は「やるじゃん」って思うかもしれません。

創造の方法学 (講談社現代新書 553)

創造の方法学 (講談社現代新書 553)