これはなかなか素晴らしい本だ。だいたいのことは正しく忍耐を発揮することで達成されるという考え方にまったくその通りだと頷いてしまった。痩せたければ食べなきゃいいのだし良い大学に入りたければしの後の言わずに勉強を人よりも頑張ればいいのだ。「忍耐力」というのはこの1単語だけ聞くと「サービス残業に耐える」的な「あんまりよくない忍耐」を連想してしまうかもしれないのだが、本書で推奨している忍耐力とはそのような意味のない忍耐ではない。受験勉強を頑張って良い大学に入る、モテる為に努力して異性をゲットする。そのような、現状を良い方向に変えていく為に必要なものを、「忍耐」としている。
重要な点はいくつがあるが、最初の難関は「現状を良い方向に変える忍耐とは、何か」を見極めることだろう。これがなかなか難しい。たとえば一概にサービス残業に耐えることが「無駄な」忍耐だとは言えないこともあるだろう。それが必要な時もあるかもしれない。そして何より難しいのは、「忍耐を乗り越えた未来を見据えて、未来の為に今忍耐を発揮する」ことであるのは言うまでもないことだ。誰もが未来を見据えてそのために忍耐を発揮できるのならば受験生に失敗はありえないし、みんなもっと幸せになっているはずである。
たとえば「50歳でドロップアウトしてハワイに住んでもう働かなくていい生活をしたい」という理想があったとする。思っただけなら理想だが、実現させようと思ったらそこに至るまでの数々の「忍耐」が必要なのだ。まず何をもっても金を稼がなくてはいけない。金を稼ぐためにまず勉強しなくてはいけないかもしれない。そしてその為には睡眠時間とか、趣味の時間とかそういったものすべてを我慢しなければいけないかもしれない。
理想の未来を勝ち取るために、それらすべてを「忍耐」することができるかがかかっている。たいていの人はそんなことはできない。目の前の「やんなくていいや〜」というお手軽な逃避で逃げられてしまう。誰も責めないし。しかしそれでは理想的な未来はやってこない。当たり前だ、何もやってないんだから。
ついさっきあげた忍耐を発揮するための重要な二点について、本書では豊富な具体例と、「実際にどのようにすれば忍耐を発揮できるか」という実践形式の「問題」で解決を図っている。もちろんそのどちらも完璧になることはありえないが(すべての事例を網羅するのは不可能だし、忍耐を実践するためには自分なりの「忍耐を乗り越えた先にある理想の姿」が必要である)忍耐力が必要であると考えるきっかけにはなるだろう。
すぐ読めるし、なかなか面白かったです。
- 作者: ココロ社
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2011/08/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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