傾物語で真宵ほとんど出てこないやん、これじゃ忍物語だよ、と言ったかどうかはもうあんまり覚えてないが本書は傾物語と対になっている、補完されている。時系列上もそのまま続いているし、今回はむしろ「これじゃあ鬼物語じゃなくて傾物語だよ」という内容だ。まあ傾物語がこの逆だったのでバランスとしてはとれている。そういう意味で正しく対である。作中で自虐的に傾物語を読まないで下さいと言っているあたり、ひょっとしたら「傾物語」は西尾維新的にもあまり納得のいく作品ではなかったかもしれない。が、僕が「傾物語」を気に食わないからそういう想像をしているだけ、というのが本当のところだ。前巻が衝撃的で刺激的で素晴らしい出来だった反動か、というか「これからメインディッシュが運ばれてくると思ったらなぜか運び忘れられていた前菜が運ばれてきた」みたいな微妙な気持ちが本書を読み終わった時の正直な気持ちである。決してつまらなくはない、これだけの水準の物語が読めるのは素晴らしい体験だ、が出来れば前巻のテンションのままラスボスに突入したかった、と後ろ向きな気持ちもある。まあシリーズ半ばの作品に対してあーだこーだいっても仕方がない。早く完結を見たい、それまでは絶対に死ねない。
- 作者: 西尾維新,VOFAN
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/09/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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