預言者ピッピは地下沢中也氏によって書かれた漫画。
1巻が出たのは4年前であり、それ以降何の音沙汰もなくなっていたので二巻の発売は(僕の中で)永遠にやってこないのではないかと思われていた。このたび帯に「奇跡の続刊」とあるように、読者の側からすればふってわいた奇跡だった(著者の側からすれば奇跡でもなんでもなく努力の結果だろう)
物語は作りがしっかりしたガチガチのSFで、そういう意味で注目していた。
ピッピはヒューマノイド型スーパーコンピュータで、預言(最初は地震を予知するだけ)を行い未来を予測するために創りだされた。
最初は地震の予知だけが目的であったが(他の能力は意図的に制限されていた。それは「人類の未来を正確に予測することが幸せなのかどうか」に疑問が持たれていたからである。が、時期にこの制限は解除され、ピッピは人類の未来を、その「終わり」まで見通してしまう──。
「未来がすべて予測された世界で、人はどう生きるのか」というシュミレーションが秀逸。
しかも、未来が予測されるに至るまでの過程を書いているのが興味深い。徐々に人類が未来を見通せるようになっていく期待感と、すべてを見通せるようになってしまったら人類はどうなるんだという危機感を主軸にして話は展開する。
中でも印象に残ったのは、ピッピが自我を獲得していく過程。これは凄かった。
絵は凄く下手だがカット割り? がすごく面白くてどれも印象に残る。
台詞回しも素晴らしい。
二巻から話は未来がすべて予測されたら〜というシュミレーションを超えて、ハリウッド映画的な地球パニックSFの要素まで出てきており、複雑さを増し、着地点がまったく予想できなくなってきた。
これが無事完結したら……。
本当に完結するのか!? これだけは未来を予測したいものです。

- 作者: 地下沢中也
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2007/05/05
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