基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

政府は必ず嘘をつく アメリカの「失われた10年」が私たちに警告すること

何がいいたいのかよくわからない本だった。政府が嘘をついていると言いたいのはわかったけれど、そんなこと当たり前じゃないか。誰もが嘘をついていることが明らかになりつつある時代なのだ。むしろ「政府は嘘をついている」と我々が感じ取れるようになっただけ素晴らしい世界に向かっているといえる。

政府が嘘をついているのはわかった。本書では副題にアメリカが使われているように、主に9・11後にアメリカで起こったことと3・11後の日本を重ねあわせ、アメリカの二の舞になってはならぬと警告を発している。9・11後のアメリカで起こったことは情報統制、危機を利用した急な政策の進行、監視権力の増大。

どれも恐ろしい。同時に本書ではグローバル化の恐ろしさ、主にTPPっぽいけど、が語られる。僕はTPPのことをまったく知らないのでTPP関連の場所はほとんど読んでいない。妙な情報に触れてしまって偏見からスタートするのが嫌だからだ。

というのも、本書は僕にとってはだいぶ変てこというか、マジでいってんのこの人と軽くひいてしまうような内容だ。本書ではとにかく危険をあおるあおる。政府の政策は間違っていてそれが国をダメな方向に導いていくという言質がそこかしこでインタビュー形式で現れるが、僕はそれがかなり危険だと思う。

インタビュー相手は普通に教師をしていた一般人だとか、その辺のデモに参加しているただの一市民だ。彼らは我が国には深刻な問題が起こっていると語る。問題はそれがただ一人のその辺の人の話であるというそれだけのことだ。一人の話で本でそれがまるで結論であるかのように語られるのは困る。

多くの問題を扱っているが、その辺の人にきいたインタビューだけで物事を考える出発点にはなっても何らかの仮定、結論を導き出せる情報ではない。それをやろうと思ったら、もっと大規模な調査が必要だろう。それなのに危険を煽る煽る。本書で批判している政治と一体化したマスコミと方向性は違っても危険性は変わらないのではと思ってしまう。

というのも著者がやっているのは僕から見れば「自分の中の結論」を表現するために都合の良い情報を切り貼りしまくっているようなものだ。情報源はよくわからない個人や伝聞。個人がいうことをそのまま本に載せ結論と結びつける。

特に驚いたのは、3・11後ミクシィ東電計画停電についての疑問を書いた日記をアップしようとしたところ、何度やっても反映されなかったという話をあちこちで聞いたなどと書かれた時だ。一体この人は何を言っているんだ? 仮にそうだとして、なんで調査しないでそのまま書いてしまう??

9・11の後、グーグルでテロに関する検索をかけた際、これと同じことが頻繁に起きていたことを考えると、想定内の動きだろう。(p150)』僕は9・11と3・11を単純に結びつけるのはめちゃくちゃ危険な思想だと思う。なぜならそれは、当たり前のことだが、まったく別々の事象だからだ。そして仮に結びつけるとしても、安易にやっていいことではないだろう。

『実際、私もウォール街デモを言質で取材しながら、ツイッターに写真と記事を掲載していく際に、途中で勝手に削除されたり、タグを追加しようとしても反映されないことが頻繁にあった。(p150)』

もちろんこういった記述の中にも真実があるのだろう。政府は検閲を行い、マスコミは情報を隠蔽し、嘘をついているんだろう。本書でも色々調べて真剣に警告を発しているのだろう。だが残念ながらこれらの記述はとても真摯なジャーナリズムとはいえないと僕は思う。結局本書が教えてくれるのは今の時代「誰も信じるな」「自分で考えろ」というメッセージではないだろうか??