どこかでほめられているのを読んで、本屋にいって表紙がかっこよかったので買ったのだがこれがまた良い。いまどき上下巻というのもまた良い。最近僕が買う漫画は上下巻とか、せいぜい4冊ぐらいのものばかりになってしまった。一番良いのは一冊だけど、数がないからなあ。
この五大湖フルバースト、タイトルからまったく内容の予測がつかない。簡単な説明として、漫画のタイトルの上に『大相撲SF超伝奇』と意味のわからない文字列がつらなっているが、まったく言っている意味がわからない。大相撲とSFという文字が並ぶ日が来るとは……、しかし読んでみると、なるほどと思う。これは確かに大相撲SF超伝奇だ。
あらすじをAmazonから引用しよう。
近未来、アメリカの国技は“相撲”となっていた! 全米相撲の聖地・デトロイトで“技の横綱”と賞賛される力士・五大湖は、ロボット科学者ドクター・グラマラスの甘言に乗り、その肉体を機械へと改造されてしまう。全身を最新鋭の重火器で武装し、土俵で殺戮を続ける機獣と化した五大湖を斃(たお)すため、石像となり眠っていた“角界の守護神”伝説の横綱が……甦る!!あらすじを書く側からしても、正気でそんな漫画が存在するとは思えない怪作にして大傑作。異論は認める![特別寄稿/ヤスダスズヒト(漫画家)]
相撲! なのに舞台はアメリカ! しかも相撲が国技になっている。いきなりぶっ飛んだ設定で、なぜアメリカでなくてはいけなかったのか、なぜ相撲でなくてはいけなかったのかと色々疑問は浮かぶし結局解消はされない。が、そんなことはどうでもよくなるぐらいの熱さがこの漫画にはある。
そもそも相撲といってもミサイルを打つし機械化された人間が空を飛びながら土俵で戦うし、大抵のことはどうでもよくなってしまう。じゃあ「ムダヅモ無き改革」のような基本ギャグ漫画なのかといえば、そういうわけでもない。軸となっているのは父と子の歪んだ愛情であり、「負けたくない」というプライドの物語であり、ようするにちゃんとした物語なのだ。
「ちゃんとした物語」というのは異論を挟みそうだが言わんとしているのはこういうことである。「一人一人のキャラクタに根源的な目的があって」「各々の目的がぶつかりあり」「成長、挫折があり」「終わりが綺麗にまとまっている」まあちゃんとした物語なのである。あと舞台がアメリカっていうこともあるんだろうけど、脚本が締まっていて無駄がなく、ハリウッド映画みたいな印象を受ける。
また漫画的な演出がうまいんだよね〜〜。これが初単行本というけれど、信じられないぐらいうまい。絵を見ているだけでも楽しいっていうのは「漫画的な演出の巧拙」についてまったく知識がない僕が言える最大限の褒め言葉なんだけど、「絵を見ているだけで楽しい!」。
とわりと絶賛モードです。良い漫画を読んだ。短くまとまっているマンガが読みたければオススメです。
五大湖フルバースト 大相撲SF超伝奇 上 (シリウスコミックス)
- 作者: 西野マルタ
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- 発売日: 2012/02/09
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五大湖フルバースト 大相撲SF超伝奇 下 (シリウスコミックス)
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