基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

戦闘破壊学園ダンゲロス(1)と飛行迷宮学園ダンゲロス―『蠍座の名探偵』―

“魔人”と呼ばれる異能力者たちが存在する、とある世界。
私立希望崎学園・通称「戦闘破壊学園ダンゲロス」では、
対立する2つのグループの抗争が激化していた。
“邪賢王ヒロシマ”率いる、暴力で学園を支配する「番長グループ」。
“ド正義卓也”を擁する、魔人校則の遵守により治安を保つ「生徒会」。
いま、前代未聞の“ハルマゲドン”が勃発する―――――!

漫画版『戦闘破壊学園ダンゲロス(1)』を読んだらとても面白かった。原作小説からして、冒頭の「なにが始まるんだろう」というワクワク感がとてもすごかったが、絵がついていると迫力が違う。冒頭少女がレイプされ、魔人覚醒し男たちの金玉を爆散させるシーンがあるのだが、ここを読めただけでこの漫画を買った価値があった。

それにしても割とかっこよかったり、可愛かったりと正統派的というか優等生的にうまい漫画の方だと思うんですけど、それが「性欲と暴力が人間の基本にある」という人間観が全面に押し出された世界を書いていると、毒抜きされていてある意味良いですね。調和しているともいえる。正直結構不安だったんですけどね〜〜。だって絵担当の方がジャンプに載せている漫画、二回とも輝かしい青春とかラブ的な感じだったから。

絵とコマ割りがすっきりしていてわかりやすく、物語のテーマ的なものがよくわかります。元々原作が、テーマと、能力バトルと展開の緻密さがとても素晴らしかったので、すっきりしていてわかりやすいのは作品を載せるやり方としてもとても合っているのではないかな。と、最大限に褒めておきます。ほんとにこれが面白いんだ。

で……それだけ面白かった原作ダンゲロスと漫画ダンゲロスですが、小説の二作目も先日出ていたので買って読みました。お題的にはミステリで、何やら色々仕掛けや、びっくりするようなオチ(まあミステリだからね)があって、当然能力者も出てきて、面白かったです。

けど、ダンゲロスであれだけ凄惨で面白かった「性欲と暴力が人間の基本にある」っていう人間観(これは僕が勝手に思っているだけだけど)がマイルドにされちゃってつまらないし、能力者はいっぱい出てくるけど「即死系能力者をどうやって抑えこむか」とか「あのやっかいな能力を発想の転換でどうやって倒すか」っていう知恵を使ったバトルがほとんどなく、つまらなかったです。

これを補う部分がうまく書けていればな。今回で言えば一般人と魔人の実力者の相違だとか、転校生のデフォルトの能力の凄さと一般的な魔人の実力の相違っていう「力関係の配置」がテーマの一つとしてあったんじゃないかなって思うんだけど、でもそんなのすでにある程度地の文の説明だけでわかってるよ。あとミステリーのぶぶんが微妙(これがダメだったのが一番キツイ)

シンプルなシングルアクション系の能力者が多かったからなあ。たとえば毒霧を吐くパンダとかいろいろ出てきました。こいつら、出落ちでちょっとだけ面白い。が、語上別に必要ない。かませにすらなっていない、ただの面白能力者紹介みたいでした。まるでキャラブックを読んでいる気分に。

あと文章はとにかく説明しすぎでくどいし、バカにされているのかと思いました。戦闘破壊学園ダンゲロスの時は思わなかったんだけど……なぜだろう? ミステリ部分はオチはいろいろ面白かったけど、いくつも「実はあれも」「実はこれも」という感じで明かされていくと「あ、ああ・・・そうなの……」という微妙な感じになってしまう。

何も根拠がなく書くと、ミステリーでの面白さっていうのは、そのパズル的なところだと思うんですよね。有効な形で舞台と登場人物が配置され、駒として動き、最後に読んでいる途中では気が付かなかった明快な論理が一本通っていて、驚かされる。これがタネがいくつも出てきてアレもコレもと明かされた為に「あ、ああ……そう(どうでもいい)」って感じになっちゃうのかも。とにかく軸になる部分が多く(一般人vs魔人 魔人vs転校生 ダンゲロス世界を前にすすめる情報 プラスミステリィ)、焦点が定まらない印象。

ただ舞台設定はとても面白かったし、それ以外にもところどころとても面白いポイントがあるのと、なんだかんだいっても物語をメタ化した能力者同士の理不尽なバトルを作戦立てて乗り越えて移行みたいなところは他では読めないのでとても好きです。かなりマイナス部分があったけれど、総体としてみると+って感じでした。まあ次作に期待。

戦闘破壊学園ダンゲロス(1)初回限定版 (プレミアムKC)

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飛行迷宮学園ダンゲロス―『蠍座の名探偵』― (講談社BOX)

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