基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

テラフォーマーズ

漫画ってなかなか終わらないし発売日を把握するの面倒くさいし、何十巻にもなると邪魔だしで続き物はあんまり読まないんですが、これは最近Kindleに登録されていたので読んでみたのです。もう続き物についてはKindleでしか買う気力がわかないなあ。無限に広がる本棚さえあれば話は別ですが。現在4巻まで出ているところ。で、読んでみたらおもしろくておったまげた(もう大賞をとったりして今更紹介するようなものでもないが)。

西暦2599年──。火星のテラフォーミングが進行し、その地表は一面の苔とある生物で覆われていた。そして、選ばれし15人の若者達は重要任務の遂行を期待され、有人宇宙船『バグズ2号』に搭乗し、火星へと向かう。かの地で彼らを待つ、想定外の進化を遂げた生物の正体とは…!?

プロットの速さ

設定は無茶苦茶なのだが、絵がうまくてプロットが早いところに驚いたのです。プロットがはやい(展開が速い)といえばバクマンとかありますけど、それとはちょっと種類の違う速さ。ようは物語の到達地点を明示して、そこに向けての障害と乗り越えを何度も何度も短く書いていくのではなく、障害発生⇒オールリセット 次代へ──というテンポ。

たとえば一巻と二巻では登場人物がほとんど共通してないのです。世界観とほんの数人の人数だけを共通させて、あとはほぼリセット。だから続き物というよりかは第一部、第二部といった感覚で進んでいくのも、続き物についていけない人間としては嬉しいところ。副産物として「どうせ最後にはオールリセットだから誰が死んでもおかしくない」状況が創れるところですね。

選ばれし15人の若者は火星にいって自分たちのせいでうまれた気持ち悪い生物と戦うわけですが、それはもうガスガス死ぬわけです。ガスガス死ぬ。まあ一巻終われば次の巻で時代を変えようと思うんだからいくらでも好き勝手なことができるわけで、これがなかなか楽しい。

設定のケレン味

で、設定は無茶苦茶。どうやって火星にいってるんだとか、テラフォーミングのやり方とか、その生物の造形とか、能力とか、主人公たちが持っている特殊能力とか、なにもかも「んなアホな」と言いたくなるような無茶苦茶さなのだけど、あまり気にならない。ようはそれは「そこを「まあそれはそれとして」とかっこにいれて見逃せば、その先には面白い光景が広がっている」から気にならなくできるわけで、絵がうまいしプロットがおもしろいし、そのあたりでしょうな。

たとえば敵の異生物は人間の何倍もの身体能力を持っていて、しかも大量に火星に散らばっていて超好戦的というなんとも凄まじく恐ろしいやつらなわけですが、それに対向する主人公たちもみな「なんらかの昆虫の能力を持っている」やつらなんですよね。たとえばバッタの能力を持っていりゃあすごく高く飛べる、脚力が異常に強いとか。

もちろん昆虫の能力をそのまま人間大にしたときに、等比的に能力が向上するなんてことはありえないわけですが、「昆虫の能力を使って戦うんだ!!」といわれるとそれはそれでいい。というかそんなの大好物だからね。「火星じゃなくてもいいじゃないか」とも言いたくなるが、そうしないと描かなきゃいけないものが増えて面倒くさい(社会とか)うえに時代を開ける口実にならない(そう何度も人を送り込めない)。

無駄に設定が壮大でやっていることはただの超生物とのバトルなのだが、火星を舞台にすることで話が非常にシンプルになっていてわかりやすい。ようはどこからも助けが来ない時間的にも空間的にも「超閉鎖状況」の中で昆虫の能力を駆使してなんとかして生き残らねばならないという、ただそれだけの話だ。

ぼくはかなり好きなのだけど、どうだろうか。

テラフォーマーズ 1 (ヤングジャンプコミックス)

テラフォーマーズ 1 (ヤングジャンプコミックス)

テラフォーマーズ 2 (ヤングジャンプコミックス)

テラフォーマーズ 2 (ヤングジャンプコミックス)

テラフォーマーズ 3 (ヤングジャンプコミックス)

テラフォーマーズ 3 (ヤングジャンプコミックス)