基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

シュガー・ラッシュ

たいへんすばらしかった。

ピクサーの最新長編アニメ映画で、もう公開終了しかかっているところなので出遅れまくりなんだけど、それでもおもしろかったから書いておく。ゲーセンのキャラクタが客が帰った後にういーっすお疲れ様ーっすといった感じで動き出すゲーム版トイ・ストーリーで、トイ・ストーリーでやれよと思ったりもするけど、話の筋が「悪役だけどヒーローになりたくてがんばる」というものなのでやはりゲームでしかできないのだろう。

懐かしのゲームキャラクタがいっぱい出てくるのも嬉しい。ソニックにパックマンクッパに……。主役となるのは当然ながらオリジナルゲームの、オリジナルキャラクターたちなわけだけど、端役としてかれらも画面を盛り上げてくれる。主役のラルフはフィックス・イット・フェリックスで悪役をつとめるやつで、いつも厄介者扱いされて一人ぼっちで寂しかった。

彼は寂しくて寂しくてしかたがないので、みんなに認めてもらって、仲間に入れて貰いたい一心でヒーローにしかとることのできないメダルを、別ゲームに出張して取得しようとする。ルール違反なのだが。ここは違和感のあるところだった。同じゲームの仲間なんだから仲良くすればいいじゃないかと。

しかも理不尽に仲間はずれにされているというよりかは、ラルフ自身身体がでかくて制御がうまくできない上に癇癪で物をぶっ壊す(まあそうプログラムされているんだろうが)やつで、しょうじきいってみていながら「こんなやつだったらそりゃはぶかれるわ……」とむしろラルフをはぶいている側に同情しながら観ていた。

悪役の会でそのことを告白し、俺はヒーローとして認められたいんだといってみるものの、俺達はそうするしかできないんだから受け入れて楽しくやるしかないと諭される。その後ラルフは別ゲームにいってメダルを取るために、迷惑千万な行為をいっぱいやるのだが、ことごとくラルフがダメなのでみていてたいへんいらいらするだろう。

その後FPS世界でメダルを強引に取得した後、そこのゲームの敵プログラムを引き連れて脱出、ファンシーなお菓子のレースゲーム世界であるシュガー・ラッシュにいくことになる。ちなみにこのレーシングゲーム、システムが完全にマリオカートなのでマリオカート好きは見るととハイクォリティでアニメ化されているのでたいへん楽しめると思う。

いくつか気になった点は、トイ・ストーリーは人形と人間の関係性はかなり強い影響を与え合うものとして描かれるけれど、シュガー・ラッシュではプレイヤーの存在がほぼ介在してこない点。ただのお客さんでしかない。書いているものが違うといえばそれまでだけど、ゲーセンのゲームなのにプレイヤーが物語にあまり介在しないなんてちょっともったいない。

あと悪役としてプログラムされているから、悪役なりに人生を楽しむしかないというのは後ろ向きなイメージがある。そうはいっても僕らは何でもかんでも自由にルールを変更できるわけじゃないんだから(実際問題ただのゲームキャラクタである彼らにそんな改変は不可能だし)しょうがないのかもしれないが。

まあその他はよく動くし、ゲームキャラが大量に存在している画面はひたすら楽しいし、マリオカートはみれたし、そしてプロットは緻密でちょっとしたことが後々いくつも関連してくるような上出来さでたいへん素晴らしい出来だったのです。ドット絵の時代から高解像度映像の時代になってもゲームの本質ってのは変わってないもんだなあと懐かしく思ってしまったり。