基本読書

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教科書に載ってないUSA語録 by 町山智浩

場所が変われば常識も変わる。国ごと変われば法律も変わる。人種も変わる。日本じゃ信じられないようなことがしょっちゅう起こる。

僕が留学していたオーストラリアの街ではハロウィーンになるとなぜか若い不良たちは卵を買い付け、車を乗り回し街中で人にぶつけまくる。完全にいい迷惑で、ハロウィーンの翌日は道路中卵の殻だらけだった。本書は主にアメリカでの著者の生活を通じて、文化の中から面白いキーワードを取り上げる。そしてその背景を1ページぐらいで語ってみせる(Kindle版で読んだから何ページなのかよくわからない)。

僕も最近洋雑誌や洋書をよく読むようになったけれど、やはり現地で日常的に触れていないとわからないことも多い。言葉はネットスラングは特にそうだが、移り変わりが早すぎる。あっという間に流行って、一週間もしたら誰も使わないなんてことがある。本書はそうした移り変わっていく「言葉」を切り取ってみせる。その為賞味期限も短いと思うが、今ならまだまだ読み応えがあるだろう(2012年出版)。

たとえばParty crasher(パーティークラッシャー、呼ばれてないパーティに潜り込む奴)の項目ではホワイトハウスで開かれたインド首相を歓迎する夕食会に招待されてもいない謎の夫婦が乗り込んだ話が紹介される。オバマ大統領と握手するわ、マット・デイモン等の有名人との2ショットを撮ってネットで見せびらかすなどやりたい放題。

こういうプロのパーティクラッシャーはけっこういる。たいていはご馳走をただ食いするだけだが、クラッシャーの帝王を自称するスコット・ワイスは、グラミー、ゴールデングローブ賞など芸能界のビッグイベントすべてに招待状なしで入り込んだ。2008年のアカデミー賞では候補だったロシア人のアニメ監督に変装して警備を通過。悠々と赤絨毯を歩く姿をカメラで撮って、『クラッシャー』という映画を感性させた。

映画を撮る所までいってしまえば確かに帝王を自称しても納得だが、捕まらないものなのだろうか。法律に違反しているわけではないのか。日本だとあまり聞いたことがないが、意外とパーティに潜り込んでタダ飯を食べている人ぐらいならいるのかもしれない。規模が違いすぎるけれども。

取り上げられる物は政治系の物が多いが、著者本領の映画話もちょくちょく入ってきてまたそれが面白かったりする。クリント・イーストウッドの言葉『You're never too old to learn(いくつになっても人は何かを学ぶことができる)』を取り上げた項目は、著者自身がクリント・イーストウッドと会って話した内容からきている(たぶん)

「あの映画での私は白人以外の人間に対する差別と偏見の塊だったが、最後にはアジア系の隣人と理解し合う。『グラン・トリノ』のテーマはYou're never too old to learn(いくつになっても人は何かを学ぶことができる)ということだ。私も『インビクタス』で南アとラグビーを学んだ。そういうチャレンジが面白いから映画作りがやめられない」

うーむ相変わらずかっこいいことをいうな。見た目がかっこいいのにいうこともかっこいいなんて反則気味だ。他には失言名言なんでもござれだが失言が多い。性欲の暴走や追い詰められ、苦し紛れの状況で出てきた言葉なんかには絶体絶命のピンチの状況で出てきただけに素直な感情が出ていて面白かったりする。

この本紙だと1000円超えているのだけど、Kindleストア一周年記念とかで電子書籍でいいのならば31日まで424円で買える。お、っと思い買ってみたのだけど面白かった。

教科書に載ってないUSA語録

教科書に載ってないUSA語録