宇宙は随分昔にどかーんと爆発してどかどかどかーっと広がっていって今も広がり続けていて、その時爆発により発生した莫大なエネルギーから物質が産まれ、宇宙が膨張と冷却をしていくうちにあれやこれやがその辺でこねこね固まっていって地球っぽいものとか太陽っぽいものになって銀河とかになってそんでなんだかよくわかんないけど生命っぽいものがうまれてそれがなんだかいろいろあって魚になったり恐竜になったり人間になったりしたわけだ。つまり我々の身体の素材は最初の凄い爆発で産まれた元素が反応したりしなかったりして出来た時の材料でできている。
何を当たり前のことをという感じだがあらためて宇宙誕生からここまでをダイジェストに頭のなかで早送りしてぱんぱかぱーんと自分が生まれて来る場面までを想像してみると割と凄いような気もする。我々の身体はそれ単体でみると脆い物だけど、その成立過程を辿っていくと生命発生の原点から惑星形成の原点、さらには宇宙生成の原点にまでたどっていくはめになるのだし、そういった「つながったもの」としての観点から宇宙史や人間史を捉えていくことによって宇宙がより身近なものになり歴史に一貫性が感じられるようになる。
物語は当然最初、ビッグバンの話からはじまる。137億年前ぐらいからどかーんと爆発して最初に原子よりも小さな粒子がうまれ、生後三分ほどで水素、ヘリウム、リチウムが産まれた。水素はすべての物質の約90%を占める最重要人物であり、その後30万や100万の時間が経つことで宇宙は膨張し冷却が進み物質が大きくなり重力が影響をおよぼすほどになり惑星の形を決定していった。
そして次に惑星の誕生の話にうつり、次に生物が持っている時間について、生命の誕生──と順繰りに繋げていく。生命が誕生したあとも惑星環境は絶えず生命の変化に影響を与えていく。定期的な生物の大絶滅に加え、大陸移動説に、さらには氷河期の存在などなど……今では当たり前に信じられているものの、提唱された当時は「アホなことを言うな」と一笑に付されてきたようなトンデモ説ばかりだ。
恐竜が絶滅したのがデケえ石が地球に降って来たからだ! なんていったって、確かな根拠があったとしてもにわかには信じがたいよなあ。でもそういうトンデモ説に確かな根拠が与えられて、現在生き残っている種と過去の生きていた種、それにこれらすべてを統合する惑星形成の過程と宇宙形成の過程が一つの線に繋がれてきたのだ。たぐってもたぐっても終点がみえないこの線だが、こうした宇宙史の中に自分自身を位置づけていくことで見えてくるものもあるだろう。
著者のニールシュービンについては要点を生物方面にしぼったものとしては前著『ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト』の方が良いが、宇宙史まで含めたより大きな視点で捉えたいならこちらから読むといいだろう。
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ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト: 最新科学が明らかにする人体進化35億年の旅 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
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