Chris Hadfieldといえば100万人を超えるTwitterフォロワーを抱えるカナダの宇宙飛行士で、宇宙ステーションに滞在中日々Twitterに映像を投稿していた元気なオヤジだ。日本でも若田光一氏など、最近はSNSで宇宙からの写真、生活をアップしてくれる人が増えている。僕はそういう写真を見るのが好きなので、それなりにフォローしていたのだが今回はそのものずばりな、Chris Hadfieldさんが宇宙ステーションの中から地球を92分でぐるぐると回りながらとった写真集が出ていた。45000枚も撮った中からの厳選されたものなのだ。写真一枚一枚に多少の説明だったり解説が文章で入っているが、英語が読めなくてもぱらぱらとめくっているだけで、ぎょっと驚くような写真だったり見惚れるような写真ばかりなので楽しい。写真集なんだから本で欲しいところだが、Kindle版だと1000円足らずで買えてしまうのでKindleで。
Looking down at our largest and most densely populated continent, I was struck by the endless variety of sharp contrasts, and by the fact that some of the most ravaged and forbidding landscapes on Earth are so incredibly beautiful from space.
場所的にはアフリカから始まってヨーロッパ、アジア、オセアニア、アメリカと世界中を巡っていく。合間合間にすげー川、すげー雲、すげー山だったり地形だったりの写真が挿入されるので、まあ飽きない。世界は広いというか変な場所がいっぱいあるなあ。雲がてんてんとしているのを一望するだけでもスゴイし、夜と昼、灯の点灯具合によって街の景色が一変するのもみていて楽しい。街の灯で狼のように見える場所があったり、亀のように見える場所があったりする。Chris Hadfieldは2012年の12月から2013年の5月までの間滞在していたようで、そんだけいて45000回も写真とったらさすがに飽きるんでねーのと思ったりするのだが、どうやらそういうこともなく毎回毎回新鮮な驚きがあるようだ。
Those wonders are endless. My final space mission lasted five months, from December 2012 to May 2013, yet I never tired of looking out the window. I don't think any astronaut ever has , or will. Every chance we have, we float over to see what's changed since we last went around the Earth. There's something new to see because the planet itself is rotating, so each orbit takes us over different parts of it.
なぜなら地球は自転しており、巡る度に違う部分を見せてくれるからだと。
宇宙飛行士の書いた本も好きでいろいろと読んでいるが、みな一度でも宇宙にいって地球を外から眺めるとポエミーな気分になってくるのかノリにのった文章を書いてくれるものだ。もちろん本書は写真集であって文章の本ではないけれど、ところどころに挿入されるポエミーな文章も読み応えがあって良い(最初に引用した部分とか)。しかし写真を眺めていると、こんな風景を写真としてではなく全身で感じ取れたら、そりゃあポエミーな気分になるだろうし、人生観もガラッと変わってしまっておかしくないよなあと思う。一気に博愛主義者になるとはいわないが、宇宙からは目に見えない国境線などの問題について、いろいろな悩みがちっぽけに見えてくるものなのかもしれない。
わずか200ページ足らずの本だし、ぺらぺらとめくっていれば1時間程度で読み終えてしまう。それでもそのうちのいくつかが心に残れば、自分がいまいる周囲の世界を飛び越えて、外へと目が向かっていくきっかけになるだろう。写真を見ただけで、別に人生観が変わったりはしないだろうが、意識されない部分で残るものも多い。文章よりも、写真の方が情報量としては大きいのだ。
最後に何か一枚ぐらい写真でも載せておきたいと思ったが写真集で写真を載せるのは完全に引用の範疇を逸脱しているような気もするし、著者のTwitterからよさ気なものをピックアップしてみた。いやあしかしこんなものが普通にネットでただで見れて国際宇宙ステーション滞在中の人たちの体験記が日々みれるんだからほんとにイイ時代だなあと思うのである。
Tonight's Finale: The full moon rises over the only planet we have ever called home. pic.twitter.com/JWb4cbyc
— Chris Hadfield (@Cmdr_Hadfield) 2013, 2月 18
You Are Here: Around the World in 92 Minutes (English Edition)
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