多くのとーしろがゴミみたいな文章を発信して、普通にネットを見ていると否が応でもそれを目にせざるを得ない今日この頃、文章の中の論理を見極め詭弁を見極め文章に一体全体どれほどの説得力があるのかを見抜く力を育てるのは急務であることはいうまでもありません。人々は他人の言語と一緒に自分の言語にたいしても習慣として批判的な目線を持つべきです。
論理哲学論考をこの前読んで久しぶりに野矢さんの存在が頭に浮かび上がってきて読み返したこの【論理トレーニング101題】。この本は結構凄い。論理の破綻を見抜く、論理的に筋の通った文章を書くことは基本的に暗記するものではなく何度も実践し絵がうまくなっていくが如しに自分の身体に馴れさせていく側面があります。
なんていうか論理なんてあんまり意識したことないと思うし、クソの役にも立たないと思う側面もある。それでも言葉が一定のルールで成り立っている以上そこには構造がある。枝葉を取り去った後に見えてくるその構造を捉えることで我々は言葉をもっとうまく使えるようになる。疑問の提示とそれへの解答のちぐはぐな部分を見抜き、情報を引き出し足りない情報があるかどうかを精査し穴を埋めあるいは穴をわざと空け、よりたくさんの表現ができるようになる。
この本で学べるような言語における極端に抽象化された形を知っておけば都度都度自分の身にひきつけた具体事例に落とし込んでいける。その後は議論の仕方にうつり、言葉の抽象度の操作にうつりとよりめんどうくさい言葉の運用法が待ち受けているがまずは構造を把握していないとそのうえに積み上げるわけにはいかないのだからスタート地点はここであるべきだ。
言語の抽象表現については『思考と行動における言語 - 基本読書』、議論の組み立て方については『考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則 - 基本読書』を読むといい。どちらも大傑作。
- 作者: 野矢茂樹
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- 作者: S.I.ハヤカワ,大久保忠利
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