近況とか
風邪をひいた……。
風邪をひいていると布団に入っているので両腕を出してページをめくるということができないのだが、最近はスマホであれば片腕でページめくりまで操作できる。その結果として、一心不乱にウェブ小説を読み漁っていた。他のことがたいしてできないので進む。無職転生も読み終えてしまった。これについては個別に記事を上げるかもしれないけど、おもしろかったので本記事の下の方に簡単な総評を書いております。

- 作者: S‐Fマガジン編集部
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2016/02/10
- メディア: 単行本
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- 作者: グレッグイーガン,山岸真,中村融
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2015/12/18
- メディア: 単行本
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![SFマガジン 2016年 04 月号 [雑誌] SFマガジン 2016年 04 月号 [雑誌]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51TUPVtaAbL._SL160_.jpg)
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2016/02/25
- メディア: 雑誌
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2月のフィクションのふりかえり
ジョン・スコルジーによる『ロックイン-統合捜査-』は全世界に蔓延したヘイデン症候群により、一部の人間が生きながらにして身体を動かすことの出来ない状態に陥ってしまった架空の世界を描く刑事物SF。身体を動かすことの出来ない人が急増したので電脳空間や遠隔操作できるロボット──通称"スリープ"がこの世界では開発されているのが刑事「SF」の部分だ。主人公のヘイデン君はロックイン状態にありながらスリープを遠隔操作するロボット(人間)FBI捜査官である。

- 作者: ジョンスコルジー,内田昌之
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2016/02/09
- メディア: 単行本
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2月のノンフィクションのふりかえり
なんといってもノンフィクションでオススメしたいのは『生物はなぜ誕生したのか: 生命の起源と進化の最新科学』だ。新しい視点からの生命史を書くことをコンセプトとした本書は、この数十年で立ち上がってきた宇宙生物学や地球生物学の分野で興ってきた新説を取り入れながら、現代版生命史を成立させた。邦題だけだと「生物の誕生の秘訣」しか教えてくれないのかと思うが、それは本書の一部でしかない。

- 作者: ピーターウォード,ジョゼフカーシュヴィンク,Peter Ward,Joseph Kirschvink,梶山あゆみ
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2016/01/14
- メディア: 単行本
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コミック

- 作者: 五十嵐大介
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/02/23
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HA(ヒューマナイズド・アニマル)と呼ばれる彼らは、軍事的に利用され各地でその猛威をふるっているが、その戦闘シーンも各種動物の生態と能力に沿った演出が細かに配されており素晴らしい。人間は主に目で世界を把握しているけど、犬は人間と比べれば視力は弱くかわりに匂いに敏感だ。生物の種によっては視力は存在せず熱のみを頼りに移動していたりと「世界の捉え方は種によって異なる」が、本作のHAはそうした「異なる生物の世界の捉え方」を漫画的に再現しようとしてるんだよね。
悪化する地球環境、計画される宇宙移民とこの世界の背景も徐々に明かされつつあり、いやー今後の展開がたのしみな作品である。設定的には古臭いにもほどがあるのだが漫画としてはとてつもなくおもしろい。
無職転生 - 異世界行ったら本気だす -

無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ (1) (MFブックス)
- 作者: 理不尽な孫の手,シロタカ
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/メディアファクトリー
- 発売日: 2014/01/23
- メディア: 単行本
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ざっくりとまとめてしまえば、王道としての異世界転生をやろうとした作品で、複数のゲームジャンル&物語ジャンルを横断的に内包した(その結果283万文字になった)かなりの意欲作である。おおまかに物語をこちらがわで勝手に分割してしまうと、1.転生し、世界に馴染んでいく篇。2.この広い世界を旅篇。3.魔法大学、学園篇。4.ダンジョン探索篇。5.???。6.???というようにどんどんジャンルを横断していく。
1はまあ導入部、世界が立ち上がっていく部分にしても、2は広い世界の冒険・探索篇であり、だんだんと設定が開示されていく。3はハリー・ポッター的な(これは嘘だがなんかうまい例えがおもいつかず)魔法学校の雰囲気を楽しむ学園物の雰囲気。4は迷宮探索ゲームをやっているような雰囲気を汲んでいる。5と6もまた明確に「○○ジャンル」と呼称できるものだが、それを明かすこと自体がネタバレになる類の物なのでここでは伏せておく。?の部分は未読の人間には是非驚いてもらいたいものだ。
ジャンルを横断するかのように展開する物語は、長い長い物語でありながらも雰囲気を一貫させながらまったく違った読み味を楽しませてくれる。とはいえ大まかなプロットはド直球。トラックに跳ねられた無職がそれまでの人生を大いに後悔し、転生した世界では主体的に人生に関わって、多くの仲間と嫁、真っ当な実力、生まれた時には想像もしなかった巨大な敵とたたかうことになる。
中でも一本筋が通っているのは「主人公の一生を描く」という部分だ。一人の人生を描こうと思えば、成長から苦悩、結婚から子育て、親の老化と看取り、時には介護とさまざまな問題が沸き起こってくる。本作は異世界転生物の王道でありながらも「どこまでを拾うのか」という部分で非常に広い射程をみせてくれた。読んでいていくつも粗が目についたが(できの悪い章もある)全体としては283万文字を飽きさせずに読み切らせる、パワーのある作品だ。
縦横無尽にはオススメしないが、総評としてはそんな感じ。
ncode.syosetu.com
これから読む本。

ロデリック:(または若き機械の教育) (ストレンジ・フィクション)
- 作者: ジョン・スラデック,柳下毅一郎
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
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人はなぜ格闘に魅せられるのか――大学教師がリングに上がって考える
- 作者: ジョナサン・ゴットシャル,松田和也
- 出版社/メーカー: 青土社
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