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怪獣によって支配された世界──『KAIJU黙示録(アポカリプス)』

KAIJU黙示録(アポカリプス) (竹書房文庫)

KAIJU黙示録(アポカリプス) (竹書房文庫)

KAIJU黙示録である。未曾有の大洪水によって大地のほとんどが呑み込まれ、人類は標高3800メートルのチベットに希望を託すが今度はなんと80メートル級の超巨大怪獣が出現。核を撃ちまくってなんとか倒すも、超巨大怪獣・通称マザーは何体も出てくる上に、より小型の怪獣も産まれつつあり人類はもうダメだーなのであった。

そんなKAIJU黙示録としか言いようがない世界を描いた本作なので、最初は別に紹介なんかいらないんじゃないかなと思っていたのだけどその後展開が本格的にSF方面へと二転三転していき大層驚いたので、プロットを中心として軽くご紹介しよう。展開としては「ざ、ざ、ざ、雑〜〜〜!!」としかいいようがないんだけど、その分大味でおもしろい。こんなこといったら怪獣映画好きに怒られそうだが(そもそも僕は怪獣映画そんな観たことないし)そういうところも怪獣映画っぽいと思う。

しかし『パシフィック・リム』やら『ゴジラ』やら、ハリウッドも近年たくさん怪獣映画をつくっているけど、継続して作り続けられるぐらいだから本当に人気なんだなあと嬉しく思うところである(こんな怪獣小説もポカポカ出るぐらいだし)。

世界観とかあらすじとか

世界背景は先に述べた通りだが、人類は怪獣にどんどん追い込まれた結果(日本も沈没)ユナイテッド・ステイツはユナイテッド・ワールドになり世界一丸となって怪獣と戦っている。ビーム兵器や新型のパワーアーマーなども開発が進む中、人類は怪獣たちをコントロールしていると思われる"オーバーマインド"なる(無茶苦茶都合の良い)存在を倒すべく、特攻ともいえる無謀な攻撃を仕掛けるのであった──。

とかそのへんを読んでいると「はいはいパワーアーマー版パシフィック・リムねはいはい」としか思わなかったのだが、その後急展開が巻き起こる。海底火山が活性化し地底を揺さぶり続けた結果、地球のコアの近くで眠っていた、巨大怪獣を超え、星のサイズにも迫ろうかという"超巨大怪獣"がその眼を覚ましつつある。また、それとほぼ同時に、地球が水没しつつある中、人類が希望として託した"植民宇宙船"に乗って旅立った面々が、怪獣に支配された地球へと再度戻ってくることになったのだ。

「不幸なことに、君たちと共有するニュースは良いものではない」ホイットマイア大佐は続ける。「我々が地球から離れているあいだに、怪獣が人類との戦いに勝利したようだ。我々は通信であらゆる都市に呼びかけたが、返事はひとつもない。大都市も、小さな街でもだ。船のAIがスキャンした都市はすべて、アランティカと同じ運命をたどったようだと考えられる。ここには我々の役に立ちそうなものはなにも残っていない。我々ができることもなにもない。我々の家、我々の惑星は失われたのだ」

果たして怪獣に支配された地球へと舞い戻った移民船団の面々は、怪獣から故郷を取り戻すことができるのか──!? って「パシフィック・リムかと思ったら怪獣惑星(2017年11月17日公開予定のゴジラの新作アニメーション)やんけ!!」としか言いようがない展開で、これまたみなぎるのだが、実は局面的には"さらに先"がある。それが何かまでは書かないので、どうぞ読んで確かめてみてもらいたい。惑星規模の怪獣との戦いなのだから、その対処法が惑星規模になるのも当然のことなのである。
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怪獣映画好きならマストバイで、怪獣映画別に好きじゃないわーというなら読む必要は特にないが、こんな記事をクリックしてしまうぐらいだからきっと怪獣映画が好きなのだろう。