- 作者: ポールグレアム,Paul Graham,川合史朗
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2005/01
- メディア: 単行本
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本書はハッカーの世界へのガイドブックだ、と著者は言う。たぶんそうなのだろうと思う。ここでの「ハッカー」の意味は、普段ぼくたちが耳にする「ハッキング」する人達ではない。じゃあ何なのかと言えば、プログラマが他の優れたプログラマを指していう言葉らしい。本書を読み終わった今、プラグラムを組んでみたいという意欲が沸いてきている。そもそも、プログラムなんていうのは、普通に生活していたらあまりに遠い世界のように思える。彼らはCとかJavaとかよくわかんない単語を使うし、それらで書いたプログラムが並んでいるところを見ても何が何だかわかんない。つまりそれは身近な外国のようなもので、なかなか足を踏み入れることが出来ない。でもそれは、「何が何だかわかんない」からであって、敷居はちょっと高いかもしれないけれど、知ろうと努力すれば簡単に乗り越えることができる。何しろ外国に行くのと違って、プログラムはすぐ目の前にあるんだもの。
で、「ハッカーと画家」という奇妙なタイトル。これは優秀なプログラムを描くのと、絵を描くのは似通っているという著者の考えが反映されているのだと思う。ほとんどの人には絵を描くことは創造的で、ハッキング(多分優秀なプログラムを描くことの意味)をするのは設計図を基にして作り上げていく、製造的な行為だという先入観があるんじゃあないかな。でも、絵を描く行為とハッキングをすることはとてもよく似ているのだそう。まあ確かに言われてみれば、プログラミングも画家も、共に「良いものを創る」ことを目標としている点で似通っている。そして先入観を排除すれば、プログラミングには基本的に設計図はないだろう。他にも本書には色々共通点があげられる。特に書かないけど。
そんでもって、プログラマが今の時代小説家や画家と同様に、創造的な職業だとするならば今この時代に最も必要(この場合は主に経済的な意味で)とされている創造的な職業は、プログラマであろうという結論が導かれる。身の回りにはコンピュータが溢れかえっていて、過去30年ほどで最も裕福になった人々の多くがプログラマであったことからもそれはわかる。ビル・ゲイツ。スティーブ・ジョブズ。ラリー・エリソン。別に、彼らのようになれとは言っていない。ただ、コンピュータの世界はとっても楽しいし、ハッカーの頭の中はびっくりするほど面白い場所だってことを教えてくれているだけで。要するに本書は、ハッカー讃歌なのだ。