基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

2016-01-01から1年間の記事一覧

誰もが自衛にしか使えない"最強の武器"を持つ世界──『武器製造業者』

SF

武器製造業者【新版】 (創元SF文庫)作者: A・E・ヴァン・ヴォークト,沼沢洽治出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2016/12/21メディア: 文庫この商品を含むブログを見るイシャーの武器店【新版】 (創元SF文庫)作者: A・E・ヴァン・ヴォークト,沼沢洽治出版社…

仮想現実×人工知能×方舟計画──『世界の終わりの壁際で』

SF

世界の終わりの壁際で (ハヤカワ文庫JA)作者: 吉田エン,しおん出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2016/11/22メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見るハヤカワSFコンテスト第4回の優秀賞作品だが、これがなかなかおもしろい。同時に優秀賞を受賞し…

2016年のおもしろかった本、ゲーム、映画を振り返る

はじめに 2016年ももうすぐ終わりです。これまで年の区切りに意味があるとは思えず年間ベストとかもあんまり書いてなかったんだけど、今年はなんだかいろんなことがあったなあ……と思いながらズラズラとリストアップしてみたら、簡単に書いておきたくなったの…

彼らはなぜヨーロッパをめざすのか──『シリア難民 人類に突きつけられた21世紀最悪の難問』

シリア難民 人類に突きつけられた21世紀最悪の難問作者: パトリック・キングズレー,藤原朝子出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2016/11/26メディア: 単行本この商品を含むブログを見る難民の問題はやたらとその数と、ヨーロッパが対応に追われていると…

新たな社会の形──『AIと人類は共存できるか?: 人工知能SFアンソロジー』

SF

AIと人類は共存できるか?作者: 人工知能学会出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2016/11/12メディア: 単行本この商品を含むブログを見る本書は5人の作家がそれぞれ、「倫理」、「社会」、「政治」、「信仰」、「芸術」の5つのアプローチによって、人間とAIの…

拉致監禁された女子高生妊婦の凄惨な復讐/脱出劇──『メソッド15/33』

メソッド15/33 (ハヤカワ文庫NV)作者: シャノン・カーク,横山啓明出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2016/11/09メディア: 文庫この商品を含むブログを見る拉致監禁された天才女子高生の妊婦が、1ヶ月以上にわたる監禁生活で道具を一つ一つ集め、その全てを用…

ネビュラ賞受賞のファンタジィ──『ドラゴンの塔』

ドラゴンの塔 上巻 魔女の娘作者: ナオミ・ノヴィク,カガヤケイ,那波かおり出版社/メーカー: 静山社発売日: 2016/12/07メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見るドラゴンの塔 下巻 森の秘密作者: ナオミ・ノヴィク,カガヤケイ,那波かおり出版社/メ…

文字の起源を問う──『最古の文字なのか? 氷河期の洞窟に残された32の記号の謎を解く』

最古の文字なのか? 氷河期の洞窟に残された32の記号の謎を解く作者: ジェネビーブボン・ペッツィンガー,Genevieve von Petzinger,櫻井祐子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2016/11/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る我々は当たり前のよ…

人間が他の動物に与えてきた危害の歴史──『動物・人間・暴虐史: “飼い貶し”の大罪、世界紛争と資本主義』

動物・人間・暴虐史: “飼い貶し”の大罪、世界紛争と資本主義作者: デビッド・A.ナイバート,David A. Nibert,井上太一出版社/メーカー: 新評論発売日: 2016/07/29メディア: 単行本この商品を含むブログを見る疑問点もいくつか湧くが、指摘/主張としては興味…

凄まじい才能のデビュー作──『ヒュレーの海』

ヒュレーの海 (ハヤカワ文庫JA)作者: 黒石迩守,Jakub Rozalski出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2016/11/22メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る数ページ読んで即、「圧倒的に凄い」と思ったし、別の言い方をすれば「これは新しい!」と思った…

ミエヴィルの長篇を一篇一篇に凝縮したような短篇集──『爆発の三つの欠片』

爆発の三つの欠片(かけら) (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)作者: チャイナミエヴィル,引地渉,日暮雅通,嶋田洋一,市田泉出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2016/12/08メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る2016年は、多くの翻訳SF短篇集が出て、…

ならず者の〈滅びゆく地球〉珍道中──『天界の眼: 切れ者キューゲルの冒険』

天界の眼: 切れ者キューゲルの冒険 (ジャック・ヴァンス・トレジャリー)作者: ジャック・ヴァンス,中村融出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2016/11/25メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見るジャック・ヴァンスの作品を厳選して全三巻でおく…

不健康な脳から健康な心を推論する──『脳はいかに意識をつくるのか』

脳はいかに意識をつくるのか―脳の異常から心の謎に迫る作者: ゲオルク・ノルトフ,高橋洋出版社/メーカー: 白揚社発売日: 2016/11/05メディア: 単行本この商品を含むブログを見る近年機能的磁気共鳴画像法(fMRI)など新技術の出現で脳の活動がより精確に観測で…

なぜ子供たちはギャングになるのか──『マラス 暴力に支配される少年たち』

マラス 暴力に支配される少年たち作者: 工藤律子出版社/メーカー: 集英社発売日: 2016/11/25メディア: 単行本この商品を含むブログを見る「マラス」という言葉を聞いたことがない人も多いだろうが、マスコミの用い方では中米を根城にする若者ギャング団のこ…

きっと宇宙にまで連れて行く──『ニワトリ 人類を変えた大いなる鳥』

ニワトリ 人類を変えた大いなる鳥作者: アンドリュー・ロウラー,熊井ひろ美出版社/メーカー: インターシフト発売日: 2016/11/17メディア: 単行本この商品を含むブログを見る地球上には200億羽以上のニワトリが生息していて、猫と犬と豚と牛の数を合計しても…

移民政策の是非を問う──『移民の経済学』

移民の経済学作者: ベンジャミンパウエル,Benjamin Powell,薮下史郎,佐藤綾野,鈴木久美,中田勇人出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2016/10/28メディア: 単行本この商品を含むブログを見るトランプ次期大統領が犯罪歴のある不法移民を強制送還する、メ…

神を殺す銃──『ゴッド・ガン』

SF

ゴッド・ガン (ハヤカワ文庫 SF ヘ)作者: バリントン・J・ベイリー,大森望,中村融出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2016/11/22メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る2016年に『カエアンの聖衣』が新訳、『時間衝突』が新版で出たばかりのベイリ…

なんでもない日に潜む恐怖を描く異色短篇集──『くじ』

くじ (ハヤカワ・ミステリ文庫)作者: シャーリイ・ジャクスン,深町眞理子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2016/10/21メディア: 文庫この商品を含むブログを見る1964年に刊行された、シャーリイ・ジャクスンによる『くじ』、2006年に再度単行本で刊行され、…

奇妙な味のSF短篇集──『うどん キツネつきの』

SF

うどん キツネつきの (創元SF文庫)作者: 高山羽根子出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2016/11/19メディア: 文庫この商品を含むブログを見る「うどん キツネつきの」とは不思議なタイトルだ。最初ぱっと読んだ時、何が何なのかさっぱりわからない。キツネ…

脳は受け取る情報を支配する──『触れることの科学: なぜ感じるのか どう感じるのか』

触れることの科学: なぜ感じるのか どう感じるのか作者: デイヴィッド・J.リンデン,David J. Linden,岩坂彰出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2016/09/21メディア: 単行本この商品を含むブログを見る触れること、触れられることというのは日々の生活に密…

《叛逆航路》三部作完結篇──『星群艦隊』

SF

星群艦隊 (創元SF文庫)作者: アン・レッキー,鈴木康士,赤尾秀子出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2016/10/31メディア: 文庫この商品を含むブログ (3件) を見る脅威の全世界12冠を達成した『叛逆航路』から始まる三部作が、本書『星群艦隊』でついに完結!…

アメリカ視点のニッポンテーマ小説群──『ハーン・ザ・ラストハンター: アメリカン・オタク小説集』

ハーン・ザ・ラストハンター: アメリカン・オタク小説集 (単行本)作者: ブラッドレー・ボンド,杉ライカ,本兌有出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2016/10/26メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (2件) を見るこれは果てしなく胡散臭い本だ…

透明性のある政府を──『未来政府』

未来政府作者: ギャビンニューサム,リサディッキー,Gavin Newsom,Lisa Dickey,稲継裕昭,町田敦夫出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2016/09/30メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見るカリフォルニア州の副知事が書いた未来の政府はテクノ…

超予測者になるために──『超予測力:不確実な時代の先を読む10カ条』

超予測力:不確実な時代の先を読む10カ条 (ハヤカワ・ノンフィクション)作者: フィリップ・E・テトロック,ダン・ガードナー,土方奈美出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2016/10/21メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る「超予測力」と…

誰得読書会@新宿付近 11月19日(土)課題本:『アステロイド・ツリーの彼方へ (年刊日本SF傑作選) 』のお知らせ

冬木糸一と申します。下記に今回の誰得(誰が得するんだよこの書評)読書会参加者募集内容を告知していますので興味がある人はご一読ください。

冬木糸一が11月にこれから読む本

今日はこれで書こうと思っていた本が壊滅的につまらなく書けなくなってしまったので、空いてしまった時間つぶしに「これから読む本」でも羅列してみることにする。一言コメント付き。次月以降続くかどうかは誰にもわからない。 フィクション ハーン・ザ・ラ…

際限のない自己顕示欲と卓越性と野望──『トランプ』

トランプワシントン・ポスト取材班,マイケル・クラニッシュ,マーク・フィッシャー 文藝春秋 2016-10-11 Amazonで購入Kindleで購入 2016年アメリカ合衆国大統領選挙も一般の有権者投票を間近(11月8日)に控え、慌ててドナルド・トランプ伝を読み始めたのだがこ…

怪物にだって論理は通用します──『アンデッドガール・マーダーファルス』

アンデッドガール・マーダーファルス 1 (講談社タイガ)作者: 青崎有吾出版社/メーカー: 講談社発売日: 2015/12/17メディア: 文庫この商品を含むブログ (8件) を見るアンデッドガール・マーダーファルス 2 (講談社タイガ)作者: 青崎有吾出版社/メーカー: 講談…

切り抜ける道を。──『天冥の標IX PART2 ヒトであるヒトとないヒトと』

天冥の標IX PART2 ヒトであるヒトとないヒトと(ハヤカワ文庫JA)小川 一水 早川書房 2016-10-21 Amazonで購入Kindleで購入天冥の標の続きが出るのは身震いするほど嬉しいが、それはこのシリーズが着々と終わりに向かっているということで、同時にとても悲しい…

わかっちゃいるけどやめられないを科学する──『悪癖の科学 その隠れた効用をめぐる実験』

悪癖の科学--その隠れた効用をめぐる実験作者: リチャード・スティーヴンズ,藤井留美出版社/メーカー: 紀伊國屋書店発売日: 2016/08/29メディア: 単行本この商品を含むブログを見る時間は充分にあったはずなのに、締め切り間際まで仕事がはじめられない。つ…