基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

科学とSFの永続的な相互作用について──『こうして絶滅種復活は現実になる:古代DNA研究とジュラシック・パーク効果』

こうして絶滅種復活は現実になる:古代DNA研究とジェラシック・パーク効果作者:エリザベス・D・ジョーンズ原書房Amazonマイケル・クライトンによるSF小説『ジュラシック・パーク』が刊行されたのは1990年のこと。小説の時点で世界的なベストセラーになってい…

コロナ禍になってからたくさんのパンデミックSFが刊行されたので一気に紹介する

SF

19年末からコロナ禍に入り、3年近い月日が流れている。数多くの変化がそれに伴って起こったが、そのうちのひとつは「パンデミックSF」の刊行が増えたことだ。パンデミックSFとは、感染症が広まっていく状況を描き出すSF作品のことだが、コロナ以後に企画・執…

友好的なヒトが自然淘汰で残ったからこそ、いまのヒトが存在する──『ヒトは〈家畜化〉して進化した―私たちはなぜ寛容で残酷な生き物になったのか』

ヒトは〈家畜化〉して進化した―私たちはなぜ寛容で残酷な生き物になったのか作者:ブライアン・ヘア,ヴァネッサ・ウッズ白揚社Amazon近年、人類史を通して、年々暴力が少なくなっていることを示したピンカーの『暴力の人類史』や、人間の本質は利他的であると…

人間の脳が片方失われてもほぼ正常に機能するのはなぜなのか──『脳の地図を書き換える 神経科学の冒険』

脳の地図を書き換える: 神経科学の冒険作者:デイヴィッド・イーグルマン,David Eagleman早川書房Amazonこの『脳の地図を書き換える』は、『あなたの知らない脳――意識は傍観者である』など一般向けの脳神経科学本の著者として知られるデイヴィッド・イーグル…

『新しい時代への歌』のサラ・ピンスカーによる、今年ベスト級のSF短篇集──『いずれすべては海の中に』

いずれすべては海の中に (竹書房文庫)作者:サラ・ピンスカー竹書房Amazonこの『いずれすべては海の中に』は、(新型コロナウイルスをめぐる状況の)予言的な作品として話題になった『新しい時代への歌』のサラ・ピンスカーによるSF中心の短篇集である。2013年…

1400ページ超えの凄まじい物量で展開するパンデミック終末巨篇──『疫神記』

SF

疫神記 合本版 (竹書房文庫)作者:チャック・ウェンディグ竹書房Amazonこの『疫神記』は「ワシントン・ポスト」紙の年間ベストにも選出された、パンデミックSFの超大作長篇である。そのページ数は原著約800ページ、この邦訳版は1400ページを超え、並大抵の厚…