基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧

宇宙生物学で読み解く「人体」の不思議 (講談社現代新書) by 吉田たかよし

宇宙生物学が今マイブーム。何十億年といったスパンで生物の起源をさぐっていく旅は今まで当たり前だと思っていた「常識」が粉砕されて面白い。洋書だと結構数が出ていてよりどりみどり(Five Billion Years of Solitude by LeeBillings - 基本読書)なのだ…

教科書に載ってないUSA語録 by 町山智浩

場所が変われば常識も変わる。国ごと変われば法律も変わる。人種も変わる。日本じゃ信じられないようなことがしょっちゅう起こる。僕が留学していたオーストラリアの街ではハロウィーンになるとなぜか若い不良たちは卵を買い付け、車を乗り回し街中で人にぶ…

この正解の分からない混沌が、私は好きだった。──『富士学校まめたん研究分室』 by 芝村裕吏

ほんわかした表紙の絵柄と、「まめたん」というタイトルでゆるい感じにみえる。が、読んでみればこれがハードだ。小型の無人戦車(全長1m、全幅1m)のまめたんと、最初の発案者、研究者である三十歳処女の工学系女子を主軸に据えた一冊。少女漫画的なあたふた…

Five Billion Years of Solitude by LeeBillings

Astrobiologyという分野。宇宙生物学みたいな感じだろうか。地球以外への生物探査や、地球によく似た人間が移住できるような惑星の発見についての詳細な一冊。太陽系外にそうした惑星を探すにあたって、地質学、化学、生物学と多様な面からの科学的知見がワ…

黙示録 by 池上永一

池上永一さんによる新刊。600ページを超える大著だが電子書籍(なぜか上下にわかれている)で読んだので重さは感じず。18世紀前半のあたりを扱った琉球、主軸は舞踊ということで踊りの表現をどうするのか、期待を込めて読み始めたがこの表現がまた素晴…

ルールを変える思考法 (角川EPUB選書) by 川上量生

著者である川上量生氏のブログが大好きだ。はてなポイント3万を使い切るまで死なない日記 と 続・はてなポイント3万を使い切るまで死なない日記 ここ最近はあまり更新されていないみたい。でも更新されればどの記事も面白く、しかも幅が広い。経営について…

獣の奏者 外伝 刹那 (講談社文庫) by 上橋菜穂子

文庫版にて完結。これにて獣の奏者という物語は本当の意味で閉じた。獣の奏者は、珍しく1つのシリーズについて3つも記事を書いてしまうぐらいに、世界にハマりこんだ作品だった。アニメもやっていたので知っている方も多いかと思われるけれど、本編、ほん…

臨機巧緻のディープ・ブルー (朝日ノベルズ) by 小川一水

小川一水さんの新刊。カメラマンが乗り込んだ宇宙探査物。時代と、技術レベルと、種族の値を変えるだけでドラマがいくらでも生み出される、そして産まれた地球さえ飛び越えてただ「知る」為に宇宙まで乗り出していってしまう、SFの醍醐味の塊のような話だ…

来るべき民主主義 小平市都道328号線と近代政治哲学の諸問題 (幻冬舎新書) by 國分功一郎

『暇と退屈の倫理学』の國分功一郎さんによる新刊新書。本書で行われている問題提起はシンプルにまとめられている。『なぜ主権者が立法権にしか関われない政治制度──しかもその関わりすら数年に一度の部分的なものにすぎない──が、「民主主義」と言われるの…

最近読んでいる英語の主に個人ブログを5つ紹介。

さいきんは英語のブログやサイトでおもしろいものを探すのがブームでいろいろ読んでいる。というわけで、その中でもオススメのサイトを選んでみた。ごくごく個人的な興味と経験に基づいて選ばれた、マイナなサイトだと思う。別に英語の勉強になるような観点…

歴史は繰り返す。だが、科学は反響する。『病の皇帝「がん」に挑む ― 人類4000年の苦闘』 by シッダールタ・ムカジー

男の4人に1人はがんで死ぬ。ずいぶんエンカウント率の高い敵だ。彼を知り己を知れば百戦して殆うからずと孫子はいったが、いずれ自分を殺す可能性が高い敵であるならば、突然目の前にやってきて強制的に対峙させられるその前に、敵のことを知っておくにこし…

BECOMING SPACEFARERS by JamesA.Vedda

If you want a wise answer, ask a reasonable question.-Hohann Wolfgang von Goethe, German writer and scientist アメリカの宇宙産業についてみていく一冊で、これがまた実に面白い一冊。アメリカにおける宇宙探査のターニングポイントがどこだったのか…

マリアビートル (角川文庫) by 伊坂幸太郎

「あのさ」真莉亜がほとほと呆れた声を出した。「何がどうなっているのか分からないけどさ、どういう新幹線なの。トラブルばっかりじゃない。」 これは…………素晴らしかった!! いろんなところで偶然が左右し、プロット的にもサービスなのかなんなのか、おさ…

失踪日記2 アル中病棟 by 吾妻ひでお

あの『失踪日記』から早八年……失踪日記の正統なる続編。度重なる飲酒、幻覚、手足の震え、胃の痙攣の果てに、家族によって力づくで押し込まれたアル中病棟編である。これがもう、客観性が、出てくる人物たちの奇想天外さが、アル中病棟で繰り広げられる珍事…

読書について by 小林秀雄

なんでいまだにこんな本が新刊として出ているんだろう、と思えば今年で没後30年なんですね、小林秀雄。日本一有名といっても過言ではない文芸批評家である小林秀雄が書いた、読むこと/書くことについてのエッセイをまとめた一冊。もう随分むかしに書かれた…

小林秀雄の哲学 (朝日新書) by 高橋昌一郎

本書の目的は、「小林秀雄の哲学」に焦点を当てて、小林の魅力と危険性を掘り下げられるところまで掘り下げてみることにある。具体的には、彼の生涯を追いながら、彼の根底で一貫して揺るがなかった彼の論法を追究するつもりである。 感性の限界や知性の限界…

考える生き方 by finalvent

極東ブログ の著者による自伝的な本で、これがしんみりとしていて面白かった。人のブログに興味がないので、極東ブログ自体はほとんど読んだこともないのだけど、ワインのつまみに軽い本でも読むか、と思って読んだらいい具合に力の抜ける本。英語学習や大学…

第六大陸は現実になるか?

The Space Review: Back to the Moon, commercially この記事と、偶然読んでいた『BECOMING SPACEFARERS: RESCUING AMERICA'S SPACE PROGRAM』という本で公共部門と民営部門の宇宙産業の関わり方について書かれていた。どちらも読んでいてなかなかおもしろか…

ペンギン・ハイウェイ (角川文庫) by 森見登美彦

有頂天家族を読み、すっかり森見登美彦作品のとりこになってしまった(デビュー作の太陽の塔は読んでいたけれど、以後の作品は読んだことがなかった)。そうして夜は短し歩けよ乙女⇒四畳半神話大系⇒ペンギン・ハイウェイとKindleで読める森見登美彦作品をも…

微生物ハンター、深海を行く by 高井研

ずいぶん不思議な一冊である。真面目な内容に見えてくだけた文体かとおもいきや、一瞬で遠い生命の起源にまで思考を飛ばす。熱くて青い情熱が溢れんばかりとおもいきやその中に冷静さがある。まったくそそられないタイトルだが、本書は海洋研究開発機構(通…