基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

HONZ掲載

都市ならではの生物多様性──『都市で進化する生物たち』

都市で進化する生物たち: ❝ダーウィン❞が街にやってくる作者:スヒルトハウゼン,メノ発売日: 2020/08/18メディア: 単行本通常、都市は人間以外の生物にとって良い環境とは思われていないだろう。緑や自然を切り開き、種の多様性を減少させる、必要悪的な存在…

言語発明&形成の進化史──『言語の起源 人類の最も偉大な発明』

言語の起源 人類の最も偉大な発明作者:ダニエル・L・エヴェレット発売日: 2020/07/17メディア: 単行本言語はいつ生まれたのか。この問いに何万何千年前のある瞬間──というわかりやすい答えが現状あるわけではない。そのうえ、音声がどのような形であれ残って…

VRの父がインターネットの黎明期を通して「あらためて我々はどこへ向かうべきなのか」と問いかけてみせた一冊──『万物創生をはじめよう』

万物創生をはじめよう――私的VR事始作者:ジャロン・ラニアー発売日: 2020/06/18メディア: 単行本この『万物創生をはじめよう』は、最初期のVR技術の探求、起業者であり、VRの父と呼ばれるジャロン・ラニアーによる自伝的な一冊である。幼少期からはじまり、VR…

認知症患者にはどのように世界が見えているのか?──『今日のわたしは、だれ?』

今日のわたしは、だれ? (単行本)作者:ウェンディ・ミッチェル発売日: 2020/03/20メディア: 単行本(ソフトカバー)この『今日のわたしは、だれ?』は、2014年に58歳で若年性の認知症の診断を受けた女性が綴ったブログ記事を中心にまとめたエッセイ/体験記…

科学書の歴史であるだけでなく、科学の歴史でもある──『世界を変えた150の科学の本』

世界を変えた150の科学の本作者:ブライアン・クレッグ発売日: 2020/02/10メディア: 単行本この『世界を変えた150の科学の本』は、科学の歴史上重要とみられる科学ノンフィクションを150冊以上紹介した本になる。本は270ページだが、大判のフルカラーで、150…

再生可能エネルギーを前提とした分散型インフラへと大転換するために──『グローバル・グリーン・ニューディール: 2028年までに化石燃料文明は崩壊、大胆な経済プランが地球上の生命を救う』

グローバル・グリーン・ニューディール: 2028年までに化石燃料文明は崩壊、大胆な経済プランが地球上の生命を救う作者:ジェレミー リフキン出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2020/02/25メディア: 単行本『第三次産業革命』、『限界費用ゼロ社会』などの著作…

年収が上がれば上がるほど幸せになれるのか?──『幸福の意外な正体 ~なぜ私たちは「幸せ」を求めるのか』

幸福の意外な正体 ~なぜ私たちは「幸せ」を求めるのか作者:ダニエル ネトル出版社/メーカー: きずな出版発売日: 2020/01/28メディア: 単行本(ソフトカバー)幸福とはほとんどの人にとっての人生の目標なのではないだろうか。「いや、自分は不幸になる権利が…

麻酔で意識が落ちる時、何が起こっているのか──『意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか』

意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか作者:ヘンリー・ジェイ・プリスビロー出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2019/12/18メディア: 単行本歴史の本、特に最悪の医療の歴史などを読んでいると、あ〜現代に生まれてきてよかったな…

持続可能なコーヒー栽培を目指して──『世界からコーヒーがなくなるまえに』

世界からコーヒーがなくなるまえにペトリ・レッパネン+ラリ・サロマー (著)出版社/メーカー: 青土社発売日: 2019/10/25メディア: 単行本Amazonコーヒーを日常的に飲む国が増えたこともあって、世界のコーヒー需要は年々あがっている。一方で、大量生産と安価…

汚職についての詳細なメカニズムを解き明かしていく一冊──『コラプション:なぜ汚職は起こるのか』

いったいなぜ汚職が起こるのか、と言われても、それが発生する人間心理についてはそう不可思議な点はない。乱用できる権力があり、さらにそれを振りかざすことで利益が手に入るのであれば、そうすることもあるだろう、と容易く想像できてしまう。「やるだろ…

最先端物理理論の提唱者が語る、時間の実態──『時間は存在しない』

時間は存在しない作者: カルロ・ロヴェッリ,冨永星出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2019/08/29メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る時間は存在しない、といきなり言われても、いやそうは言ったってこうやって呼吸をしている間にもカ…

宇宙誕生の謎を解き明かしつつある人々の話──『ユニバース2.0 実験室で宇宙を創造する』

ユニバース2.0 実験室で宇宙を創造する (文春e-book)作者: ジーヤ・メラリ,坂井伸之・解説出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2019/07/26メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る宇宙の始まりについての本である。宇宙の始まりといっても、意味は二つあ…

自律型兵器の技術・倫理についての最前線──『無人の兵団 AI、ロボット、自律型兵器と未来の戦争』

無人の兵団――AI、ロボット、自律型兵器と未来の戦争作者: ポールシャーレ,Paul Scharre,伏見威蕃出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/07/18メディア: 単行本この商品を含むブログを見る一般向けの無人兵器本だと長らくシンガーの『ロボット兵士の戦争』が…

抽象絵画とかぜんぜんわかんねぇ、という人にこそ読んでもらいたい──『なぜ脳はアートがわかるのか 現代美術史から学ぶ脳科学入門』

なぜ脳はアートがわかるのか ―現代美術史から学ぶ脳科学入門―作者: エリック・R・カンデル,高橋洋出版社/メーカー: 青土社発売日: 2019/06/22メディア: 単行本この商品を含むブログを見るなぜ脳はアートがわかるのか。そんなことをいうと、「いや、そもそも…

物語はどれほどこの世界に影響を及ぼしているのか──『物語創世──聖書から<ハリー・ポッター>まで、文学の偉大なる力』

物語創世:聖書から〈ハリー・ポッター〉まで、文学の偉大なる力作者: マーティンプフナー,塩原通緒,田沢恭子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/06/20メディア: 単行本この商品を含むブログを見るフィクション、物語とは言ってみれば架空の存在なわけだ…

多様なイラストレーションによって彩られた、奇想小説のワンダーランド──『ワンダーブック 図解 奇想小説創作全書』

ワンダーブック 図解 奇想小説創作全書作者: ジェフ・ヴァンダミア,朝賀雅子出版社/メーカー: フィルムアート社発売日: 2019/05/27メディア: 単行本この商品を含むブログを見る本書『ワンダーブック 図解 奇想小説創作全書』は、『全滅領域』(これを原作とし…

何でも治ることを売りにした最悪の治療法の歴史──『世にも危険な医療の世界史』

世にも危険な医療の世界史作者: リディアケイン,ネイトピーダーセン,Lydia Kang,Nate Pedersen,福井久美子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2019/04/18メディア: 単行本この商品を含むブログを見る現代でもインチキ医療、危険な医療はいくらでも見つけるこ…

原初の図書館から空想上の図書館まで──『図書館巡礼 「限りなき知の館」への招待』

図書館巡礼:「限りなき知の館」への招待作者: スチュアートケルズ,小松佳代子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/03/20メディア: 単行本この商品を含むブログを見る図書館巡礼という名の通り、本書は世界各地の図書館について、本のない時代からボルヘス…

つまらない仕事を減らせ──『NO HARD WORK!: 無駄ゼロで結果を出すぼくらの働き方』

NO HARD WORK!: 無駄ゼロで結果を出すぼくらの働き方作者: ジェイソンフリード,デイヴィッドハイネマイヤーハンソン,Jason Fried,David Heinemeier Hansson,久保美代子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/01/22メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品…

異なる道筋で進化した「心」を分析する──『タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源』

タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源作者: ピーター・ゴドフリー=スミス,夏目大出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2018/11/17メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見るタコというのはなかなかに賢い生き物で、その賢さを示すエピソード…

悪魔のように邪悪な組織vsイタリア系のシャーロック・ホームズ──『ブラック・ハンド──アメリカ史上最凶の犯罪結社』

ブラック・ハンド―ーアメリカ史上最凶の犯罪結社作者: スティーヴントールティ,黒原敏行出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/10/18メディア: 単行本この商品を含むブログを見るブラック・ハンドという凶悪な犯罪結社が19世紀から20世紀にかけて存在した。…

失われた技術を復元する──『ジャイロモノレール』

本書はジャイロモノレールについての概説書である。ジャイロモノレールとはレールが一本の鉄道の名称である「モノレール」にジャイロスコープを利用し、無支持で走行できる安定性を付与したものになるが、この技術は20世紀のはじめ頃(1900〜1910年)に開発さ…

”時間”とは人間にとって何なのか── 『タイムトラベル 「時間」の歴史を物語る』

タイムトラベル 「時間」の歴史を物語る作者: ジェイムズグリック,夏目大出版社/メーカー: 柏書房発売日: 2018/08/27メディア: 単行本この商品を含むブログを見る「タイムトラベル」といえばこれを読んでいる多くの人は「あーはいはい」とその意味するところ…

あなたはなぜ特定の色を好むのか?──『好き嫌い―行動科学最大の謎―』

好き嫌い―行動科学最大の謎―作者: トムヴァンダービルト,桃井緑美子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/06/19メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見るあなたは何色が好きですか?と聞くと大抵の人はペラペラとこんな色が好きですと…

自然界の凄い機構をパクる『生物模倣――自然界に学ぶイノベーションの現場から』

生物模倣――自然界に学ぶイノベーションの現場から作者: アミーナ・カーン,松浦俊輔出版社/メーカー: 作品社発売日: 2018/05/10メディア: 単行本この商品を含むブログを見る生物模倣、バイオミミクリーという用語がある。これは端的にいえばアリやハチが持っ…

九歳でロケット、十四歳で核融合炉を作った「天才」──『太陽を創った少年』

この世には「ギフテッド」と呼ばれる神から与えられたとしか思えない才能を持つ凄い人間たちがいる。そのうちの一人がアメリカ、アーカンソー州生まれのテイラー・ウィルソン少年だ。彼は9歳で高度なロケットを”理解した上で“作り上げ、14歳にして5億度のプ…

うつに殺されないために──『#生きていく理由 うつヌケの道を、見つけよう』

#生きていく理由 うつヌケの道を、見つけよう作者: マットヘイグ,那波かおり出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/04/18メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る本書『#生きていく理由 うつヌケの道を、見つけよう』は、小説『今日か…

宇宙に行くならまずこれを読んでからにするべし──『太陽系観光旅行読本:おすすめスポット&知っておきたいサイエンス』

太陽系観光旅行読本:おすすめスポット&知っておきたいサイエンス作者: オリヴィア・コスキー,ジェイナ・グルセヴィッチ,露久保由美子出版社/メーカー: 原書房発売日: 2018/02/27メディア: 単行本この商品を含むブログを見る最近の人類は当たり前のように未来…

遺伝子の差はどれだけの不平等を産んでいるのか──『ゲノムで社会の謎を解く 教育・所得格差から人種問題、国家の盛衰まで』

ゲノムで社会の謎を解く――教育・所得格差から人種問題、国家の盛衰まで作者: ダルトン・コンリー,ジェイソン・フレッチャー,松浦俊輔出版社/メーカー: 作品社発売日: 2018/01/25メディア: 単行本この商品を含むブログを見る双子研究を筆頭に、遺伝子が我々の…

まるで上質なミステリィのようなノンフィクション──『死体は嘘をつかない 全米トップ検死医が語る死と真実』

死体は嘘をつかない 全米トップ検死医が語る死と真実作者: ヴィンセント・ディ・マイオ,ロン・フランセル出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2018/01/31メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る無念な話ではあるが、人は死ぬものだ。そして人はいつだ…