基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

科学ノンフィクション

mRNAワクチンを接種した人全員に読んでもらいたい、ワクチン開発の奮闘を描き出す一気読み必至のノンフィクション──『mRNAワクチンの衝撃 コロナ制圧と医療の未来』

mRNAワクチンの衝撃 コロナ制圧と医療の未来作者:ジョー ミラー,エズレム テュレジ,ウール シャヒン早川書房Amazon日本政府によると、日本の新型コロナウイルスワクチン接種回数は1億9800万回、2回の接種を完了した人は総人口の77%と数字が出ているが、…

がんを根絶するのではなく、コントロールするという選択肢──『がんは裏切る細胞である――進化生物学から治療戦略へ』

がんは裏切る細胞である――進化生物学から治療戦略へ作者:アシーナ・アクティピスみすず書房Amazonこの『がんは裏切る細胞である』は、書名通りがんについて書かれた一冊である。がんがどのように生まれ、現代まで生き残ってきたのか。いま、どこまで研究が進…

魚にはどれだけの知性があるのか?──『魚にも自分がわかる──動物認知研究の最先端』

魚にも自分がわかる ──動物認知研究の最先端 (ちくま新書)作者:幸田正典筑摩書房Amazonこの『魚にも自分がわかる』は、「魚の自己認識」、はてはその先の問いかけとして魚の知性について書かれた一冊である。魚は脳も小さいし、餌に飛びつくような本能的な動…

なぜ年をとるほど時間は速くなるのか?──『WHY TIME FLIES:なぜ時間は飛ぶように過ぎるのか』

WHY TIME FLIES:なぜ時間は飛ぶように過ぎるのか作者:アランバーディック東洋館出版社Amazonこれを書いているのは11月22日だが、あと一週間ちょっとしたら12月、すぐに2022年がやってくる。この1年をあっという間に感じた人もいるだろうし、長かったなあと振…

世界のワクチン接種運動を考え直すためにも重要な一冊──『ワクチンの噂――どう広まり、なぜいつまでも消えないのか』

ワクチンの噂――どう広まり、なぜいつまでも消えないのか作者:ハイジ・J・ラーソンみすず書房Amazonこの『ワクチンの噂』は、ワクチンの信頼性をめぐる国際的な研究プロジェクトなどに関わってきた人類学者のハイジ・J・ラーソンが「ワクチンにまつわる嘘・デ…

地球温暖化が深刻化した未来を本職の地質学者が描きだすディストピアSF──『2084年報告書: 地球温暖化の口述記録』

2084年報告書: 地球温暖化の口述記録作者:ジェームズ・ローレンス・パウエル国書刊行会Amazonここ数年は毎日のようにSDGsや地球温暖化が話題になる昨今だが、この『2084年報告書: 地球温暖化の口述記録』はまさにそうした地球の気候変動をテーマにしたディス…

進化は偶然によって決まるのか?──『進化の技法――転用と盗用と争いの40億年』

進化の技法――転用と盗用と争いの40億年作者:ニール・シュービンみすず書房Amazonこの『進化の技法』は、『ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト: 最新科学が明らかにする人体進化35億年の旅』や『あなたのなかの宇宙』で知られる古生物学者・サイエンスライターの…

「宇宙の終わり」について現在の物理学から考えられる5つのシナリオ──『宇宙の終わりに何が起こるのか』

宇宙の終わりに何が起こるのか作者:ケイティ・マック講談社Amazon始まりあるものにはすべて終わりがあるというが、宇宙にもまた終わりはあるのだろうか。宇宙にもビッグバンという起点があるから、ないということはないだろう。著者はノースカロライナ州立大…

世界各地に存在した、元素ハンターたちの挑戦を描く──『元素創造 93~118番元素をつくった科学者たち』

元素創造 93~118番元素をつくった科学者たち作者:キット・チャップマン白揚社Amazonこの『元素創造』は、元素周期表の末尾に並ぶ26元素がどのようにして作られ・発見されてきたのか、科学者らの挑戦をまとめた一冊である。現在元素は118種に名前がついていて…

脳に性差はあるのか?──『ジェンダーと脳──性別を超える脳の多様性』

ジェンダーと脳――性別を超える脳の多様性作者:ダフナ・ジョエル,ルバ・ヴィハンスキ紀伊國屋書店Amazonこの『ジェンダーと脳』は、よく言われる「男女で脳に性差はあるのか?」というテーマに、神経科学者であるダフナ・ジョエルが向き合った一冊である。先…

夜寝るのを待ち遠しくさせてくれる、夢と睡眠についてのノンフィクション──『夢を見るとき脳は - 睡眠と夢の謎に迫る科学』

夢を見るとき脳は――睡眠と夢の謎に迫る科学作者:アントニオ・ザドラ,ロバート・スティックゴールド紀伊國屋書店Amazonこの『夢を見るとき脳は』は、夢を見ている時脳内で何が起こっているのかに注目した一冊である。夢を見たことがないという人は、ほとんど…

アルゴリズムを闇雲に信じることがないように、その限界を認識する──『アルゴリズムの時代 機械が決定する世界をどう生きるか』

アルゴリズムの時代 機械が決定する世界をどう生きるか (文春e-book)作者:ハンナ・フライ文藝春秋Amazonグーグル検索をした時、Facebookをみたとき、ECサイトで「おすすめ」商品が表示される時──我々はいま、日常のあらゆる側面でアルゴリズムと接している。…

嗅覚が軽んじられるのはなぜなのか?──『においが心を動かす; ヒトは嗅覚の動物である』

においが心を動かす; ヒトは嗅覚の動物である作者:A・S・バーウィッチ河出書房新社Amazonにおい、嗅覚というのは五感の中でもわりと軽視されがちというか、仮に何か一つ感覚を消滅させられるとしても、視覚、聴覚と比べたらなくなっても構わないかな……飯を食…

深刻なパンデミックに対抗するため組織内で奮闘した個人の姿を描き出す、『マネー・ボール』の著者最新作──『最悪の予感: パンデミックとの戦い』

最悪の予感 パンデミックとの戦い作者:マイケル ルイス早川書房Amazonこの『最悪の予感』は、統計データを用いることで、従来誰もやってこなかった手法で選手を採用し、戦術を組み立てていった野球チームについて書かれた『マネー・ボール』などで知られるマ…

生物学とテクノロジーを合体させた、バイオロボティクスについての一冊──『ロボット学者、植物に学ぶ―自然に秘められた未来のテクノロジー』

ロボット学者、植物に学ぶ―自然に秘められた未来のテクノロジー作者:バルバラ・マッツォライ白揚社Amazon通常、ロボットといえば鋭角や四角でゴテゴテしているイメージで、それとは正反対の植物とは結びつかない。しかし、ロボット研究・開発は昆虫や動物か…

抗生物質の使用により耐性を増していく超耐性菌にどう抵抗していけばいいのか?──『超耐性菌 現代医療が生んだ「死の変異」』

超耐性菌 現代医療が生んだ「死の変異」作者:マット・マッカーシー光文社Amazon近年、体内の腸内細菌の存在が我々の健康に大きく関与していることなどが明らかになってきて、細菌を死滅させる抗生物質を無闇矢鱈に乱用するべきではないという潮流が生まれて…

筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症し、サイボーグになることを選んだ男──『NEO HUMAN ネオ・ヒューマン: 究極の自由を得る未来』

NEO HUMAN ネオ・ヒューマン―究極の自由を得る未来作者:ピーター・スコット・モーガン東洋経済新報社Amazon ALSという病 筋萎縮性側索硬化症(ALS)という病気がある。体が徐々に動かなくなっていき、最終的には自発的な呼吸も行うことができず、意…

我々が宇宙で暮らすためには何が必要なのか?──『スペース・コロニー 宇宙で暮らす方法』

スペース・コロニー 宇宙で暮らす方法 (ブルーバックス)作者:向井千秋,東京理科大学スペース・コロニー研究センター講談社Amazon近年、イーロン・マスク率いるスペースXや、アマゾンのジェフ・ベゾスのブルー・オリジンなど、民間の宇宙関連企業が大きく伸び…

新しいテクノロジーを前に、我々はどのように「会話」すべきか?『あなたが消された未来――テクノロジーと優生思想の売り込みについて』

あなたが消された未来――テクノロジーと優生思想の売り込みについて作者:ジョージ・エストライクみすず書房Amazon生物は遺伝子によってある程度その姿かたちや能力が決定付けられているが、近年のバイオテクノロジーの進歩によって我々はその「生まれ持ったも…

世界初のペンギン学者と、ペンギンの奔放な性行動について──『南極探検とペンギン』

南極探検とペンギン 忘れられた英雄とペンギンたちの知られざる生態作者:ロイド・スペンサー・デイヴィス発売日: 2021/04/26メディア: Kindle版この『南極探検とペンギン』は、1910年頃から本格的に実施された別々の二チームによる南極点到達の冒険譚と、そ…

数学概念が人類に生まれつきそなわっていないことを示す、数と言語人類学──『数の発明――私たちは数をつくり、数につくられた』

数の発明――私たちは数をつくり、数につくられた作者:ケイレブ・エヴェレット発売日: 2021/05/08メディア: 単行本 はじめに 数の概念は、生まれつき備わっているものではない 数の概念がないなんてことがあるのか? 1〜3 おわりに はじめに 『ピダハン──「言…

命の値段には大きな格差が存在する──『命に〈価格〉をつけられるのか』

命に〈価格〉をつけられるのか作者:ハワード・スティーヴン・フリードマン,Howard Steven Friedman発売日: 2021/04/17メディア: 単行本 はじめに 民事裁判における命の値付け 現在の命の価値より未来の命の価値の方が低いのか? おわりに はじめに 命に値段…

冤罪事件を通して人間の本性と生物学的弱点、その克服への洞察に至る傑作──『冤罪と人類:道徳感情はなぜ人を誤らせるのか』

冤罪と人類 道徳感情はなぜ人を誤らせるのか (ハヤカワ文庫NF)作者:管賀 江留郎発売日: 2021/04/28メディア: Kindle版この『冤罪と人類』は日本で起こった大規模冤罪事件を取り上げながら、最後にそうした冤罪事件が起こる理由を人間の〈道徳感情〉に求め、…

われわれは地球外文明に向けてメッセージを送るべきなのか?──『彼らはどこにいるのか: 地球外知的生命をめぐる最新科学』

彼らはどこにいるのか: 地球外知的生命をめぐる最新科学作者:キース・クーパー発売日: 2021/04/24メディア: 単行本地球外知的生命──エイリアンは存在するのだろうか。存在するとして、どこに、どんな文化を持って存在するのだろうか。人は科学で、SFで、奇妙…

物理学に美しさは必要か? という根本的な問題提起──『数学に魅せられて、科学を見失う――物理学と「美しさ」の罠』

数学に魅せられて、科学を見失う――物理学と「美しさ」の罠作者:ザビーネ・ホッセンフェルダー発売日: 2021/04/09メディア: Kindle版物理学者は、自然法則の中に理論の自然さや美しさ、対称性、単純さ、統一性を求める。それは、自然法則はエレガントでシンプ…

フェイクニュースやSNSの影響を意外と人は受けない──『人は簡単には騙されない: 嘘と信用の認知科学』

人は簡単には騙されない: 嘘と信用の認知科学作者:ヒューゴ・メルシエ発売日: 2021/02/25メディア: 単行本世界にはプロパガンダにフェイクニュース、根も葉もない噂の蔓延が起こっていて、ほとんどの大衆はそうした「誰かの行動を操りたい人たちによって放た…

家を見る目と意識を一変させてくれる、素晴らしいサイエンスノンフィクション──『家は生態系―あなたは20万種の生き物と暮らしている』

家は生態系―あなたは20万種の生き物と暮らしている作者:ロブ・ダン発売日: 2021/02/19メディア: 単行本家には時折ゴキブリやクモなどの外部の生物が紛れ込んでくることがあるとはいえ、そうそういつも見かけるものではない。大抵の場合、家には自分とその家…

認知科学の観点から最適な脚本を導き出すための一冊──『脚本の科学 認知と知覚のプロセスから理解する映画と脚本のしくみ』

脚本の科学 認知と知覚のプロセスから理解する映画と脚本のしくみ作者:ポール・ジョセフ・ガリーノ,コニー・シアーズ発売日: 2021/01/26メディア: 単行本先日認知科学の観点からみた、最強の英語の勉強法について書かれた『英語独習法』の記事を書いたばかり…

医師と患者のコミュニケーションが、治療においてどれほど重要なのか──『患者の話は医師にどう聞こえるのか――診察室のすれちがいを科学する』

患者の話は医師にどう聞こえるのか――診察室のすれちがいを科学する作者:ダニエル・オーフリ発売日: 2020/11/10メディア: Kindle版病気を患っている時、患者側の知識と、診療する医師の知識量と立場は異なっているのが当然だ。医師は膨大な知識を持っていて、…

意外な形で大気と人間の関係を描き出してみせた化学ノンフィクション──『空気と人類 ―いかに〈気体〉を発見し、手なずけてきたか』

空気と人類 ―いかに〈気体〉を発見し、手なずけてきたか作者:サム・キーン発売日: 2020/12/17メディア: 単行本この『空気と人類』は、『スプーンと元素周期表』など様々な化学/科学系のトピックスを扱ってきた作家サム・キーンによる、気体についてのノンフ…