基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

科学ノンフィクション

科学の世界に革命をもたらしえる力──『因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか』

因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか作者:ジューディア・パール,ダナ・マッケンジー文藝春秋Amazonこの『因果推論の科学』は、その名の通り因果推論について、その先駆者の著者が書いた一般向けのサイエンス本である。とはいえ、大半の人の反応は…

世界から昆虫が減少しつつある現代の状況について──『サイレント・アース 昆虫たちの「沈黙の春」』

サイレント・アース 昆虫たちの「沈黙の春」作者:デイヴ・グールソンNHK出版Amazonこの『サイレント・アース』は副題に入っているように、殺虫剤や農薬などの化学物質の危険性を訴えた「沈黙の春」の昆虫をテーマにした現代版とでもいうべき一冊だ。著者によ…

人類はいかにして直立二足歩行へと至ったのか?──『直立二足歩行の人類史 人間を生き残らせた出来の悪い足』

直立二足歩行の人類史 人間を生き残らせた出来の悪い足作者:ジェレミー・デシルヴァ文藝春秋Amazon人類は高い知性など他の動物にみられない特徴をいくつも持っているが、そうした特徴の中でも最たるものの一つに、「直立二足歩行をしている」が挙げられる。…

サイバー戦争の実態を解き明かす、セキュリティ専門家による終末のシナリオ──『サイバー戦争』

サイバー戦争 終末のシナリオ 上作者:ニコール パーロース早川書房Amazonこの『サイバー戦争 終末のシナリオ』は、サイバーセキュリティを専門とし、《ニューヨーク・タイムズ》紙記者である著者が7年以上の月日をかけてセキュリティ関係者に取材を重ねて「…

新型コロナを人類最後のパンデミックにするためには、何をすればよいのか?──『パンデミックなき未来へ 僕たちにできること』

パンデミックなき未来へ 僕たちにできること作者:ビル ゲイツ早川書房Amazonこの『パンデミックなき未来へ』は、ビル・ゲイツによる、気候変動をテーマに地球人類全体が何をして、どこに予算を集中させなければいけないのかを書いた『地球の未来のため僕が決…

想像以上に広くて複雑な深海という世界──『深海学―深海底希少金属と死んだクジラの教え』

深海学―深海底希少金属と死んだクジラの教え作者:ヘレン・スケールズ築地書館Amazon深海は調査が進んでおらず、海底よりも月の表面の方がわかっていることの方が多いとさえ言われる世界だ。だが、近年深海用の潜水艇などの高性能機材が開発され、深海が想像…

今年も早川書房1500作品が50%割引の超大型電子書籍セールがきたので、SF・ノンフィクション中心にオススメを紹介する

早川書房の1500作品が最大50%割引という大型の電子書籍セールが来たので、僕が読了済みのものからオススメを紹介しよう。早川書房は定期的にセールをやるが、1500点級のセールを前回やったのは去年の6月頭なので、年に一回のセールとなる。これ以上安くなる…

科学とSFの永続的な相互作用について──『こうして絶滅種復活は現実になる:古代DNA研究とジュラシック・パーク効果』

こうして絶滅種復活は現実になる:古代DNA研究とジェラシック・パーク効果作者:エリザベス・D・ジョーンズ原書房Amazonマイケル・クライトンによるSF小説『ジュラシック・パーク』が刊行されたのは1990年のこと。小説の時点で世界的なベストセラーになってい…

友好的なヒトが自然淘汰で残ったからこそ、いまのヒトが存在する──『ヒトは〈家畜化〉して進化した―私たちはなぜ寛容で残酷な生き物になったのか』

ヒトは〈家畜化〉して進化した―私たちはなぜ寛容で残酷な生き物になったのか作者:ブライアン・ヘア,ヴァネッサ・ウッズ白揚社Amazon近年、人類史を通して、年々暴力が少なくなっていることを示したピンカーの『暴力の人類史』や、人間の本質は利他的であると…

人間の脳が片方失われてもほぼ正常に機能するのはなぜなのか──『脳の地図を書き換える 神経科学の冒険』

脳の地図を書き換える: 神経科学の冒険作者:デイヴィッド・イーグルマン,David Eagleman早川書房Amazonこの『脳の地図を書き換える』は、『あなたの知らない脳――意識は傍観者である』など一般向けの脳神経科学本の著者として知られるデイヴィッド・イーグル…

誰もが関係する皮膚の科学──『皮膚、人間のすべてを語る――万能の臓器と巡る10章』

皮膚、人間のすべてを語る――万能の臓器と巡る10章作者:モンティ・ライマンみすず書房Amazon皮膚は見過ごされがちだが、人間を語る上で外すことのできない臓器である。ニキビができたり、通常より荒れていただけで気分は大きく落ち込み、人と話す気力も、会い…

「異常」と「正常」はどうやって生み出されてきたのか──『誰も正常ではない――スティグマは作られ、作り変えられる』

誰も正常ではない――スティグマは作られ、作り変えられる作者:ロイ・リチャード・グリンカーみすず書房Amazon近年、ADHDや自閉症、うつ病などの精神に関わる病にかかること、かかったことを周囲の人間に伝えることは徐々に当たり前のものになりつつある。精神…

脳内で地図を作成する能力が衰えていくと、何が起こり得るのか?──『失われゆく我々の内なる地図 空間認知の隠れた役割』

失われゆく我々の内なる地図 空間認知の隠れた役割作者:マイケル・ボンド白揚社Amazon少なくとも移動という点において、現代は素晴らしい時代になったといえるだろう。僕は相当な方向音痴で、スマホのナビアプリがない時代は目的地にたどり着くのは難しいこ…

知能の仕組みを解き明かし、人間を超えた汎用人工知能やマインドアップロードの可能性まで考察する──『脳は世界をどう見ているのか 知能の謎を解く「1000の脳」理論』

脳は世界をどう見ているのか 知能の謎を解く「1000の脳」理論作者:ジェフ ホーキンス早川書房Amazon人間は日々新しいことを学び続けている。民主主義についてや数学の理論など複雑な概念に限った話ではなく、たとえばアプリをダウンロードしたらその使い方を…

注意スキーマ理論を通して、意識を再考する──『意識はなぜ生まれたか――その起源から人工意識まで』

意識はなぜ生まれたか――その起源から人工意識まで作者:マイケル・グラツィアーノ白揚社Amazonこの『意識はなぜ生まれたのか』は、ブリンストン大学神経科学・心理学享受のマイケル・グラツィアーノによる意識研究についての一冊である。原題は『Rethinking C…

頭の中で、日々どのような対話が行われているのか?──『おしゃべりな脳の研究――内言・聴声・対話的思考』

おしゃべりな脳の研究――内言・聴声・対話的思考作者:チャールズ・ファニーハフみすず書房Amazon多かれ少なかれ、誰もが「頭の中での対話」をしたことがあるはずだ。明日何食べようかな〜という問いかけ・対話を通して答えを導き出そうとする対話的思考から、…

冬眠研究の最前線──『人類冬眠計画: 生死のはざまに踏み込む』

人類冬眠計画: 生死のはざまに踏み込む (岩波科学ライブラリー 311)作者:砂川 玄志郎岩波書店Amazonフィクション、特にSFの世界では「人工冬眠」がよく登場する。意図的に人間を冬眠状態におくことで、人間の一生ではたどりつけない星に向かったり、現代では…

すべての恒星や惑星、そして生命の生みの親である、宇宙の最初の星々について──『ファーストスター』

ファーストスター 宇宙最初の星の光作者:エマ・チャップマン河出書房新社Amazon はじめに 我々が暮らしている宇宙が「ビッグバン」と呼ばれる爆発的事象によって発生したらしい(その前に何があったかはともかく)というのは多くの人にとって常識になっている…

地球人口が100億人にいたり、地球の負荷が高まる時代に何をすべきなのか──『魔術師と予言者――2050年の世界像をめぐる科学者たちの闘い』

魔術師と予言者――2050年の世界像をめぐる科学者たちの闘い作者:チャールズ・C.マン紀伊國屋書店Amazonこの『魔術師と予言者』は書名だけみるとファンタジィ小説だが、その実態は2050年、人口が100億に達した時の地球環境の危機について考察する大著である(ペ…

mRNAワクチンを接種した人全員に読んでもらいたい、ワクチン開発の奮闘を描き出す一気読み必至のノンフィクション──『mRNAワクチンの衝撃 コロナ制圧と医療の未来』

mRNAワクチンの衝撃 コロナ制圧と医療の未来作者:ジョー ミラー,エズレム テュレジ,ウール シャヒン早川書房Amazon日本政府によると、日本の新型コロナウイルスワクチン接種回数は1億9800万回、2回の接種を完了した人は総人口の77%と数字が出ているが、…

がんを根絶するのではなく、コントロールするという選択肢──『がんは裏切る細胞である――進化生物学から治療戦略へ』

がんは裏切る細胞である――進化生物学から治療戦略へ作者:アシーナ・アクティピスみすず書房Amazonこの『がんは裏切る細胞である』は、書名通りがんについて書かれた一冊である。がんがどのように生まれ、現代まで生き残ってきたのか。いま、どこまで研究が進…

魚にはどれだけの知性があるのか?──『魚にも自分がわかる──動物認知研究の最先端』

魚にも自分がわかる ──動物認知研究の最先端 (ちくま新書)作者:幸田正典筑摩書房Amazonこの『魚にも自分がわかる』は、「魚の自己認識」、はてはその先の問いかけとして魚の知性について書かれた一冊である。魚は脳も小さいし、餌に飛びつくような本能的な動…

なぜ年をとるほど時間は速くなるのか?──『WHY TIME FLIES:なぜ時間は飛ぶように過ぎるのか』

WHY TIME FLIES:なぜ時間は飛ぶように過ぎるのか作者:アランバーディック東洋館出版社Amazonこれを書いているのは11月22日だが、あと一週間ちょっとしたら12月、すぐに2022年がやってくる。この1年をあっという間に感じた人もいるだろうし、長かったなあと振…

世界のワクチン接種運動を考え直すためにも重要な一冊──『ワクチンの噂――どう広まり、なぜいつまでも消えないのか』

ワクチンの噂――どう広まり、なぜいつまでも消えないのか作者:ハイジ・J・ラーソンみすず書房Amazonこの『ワクチンの噂』は、ワクチンの信頼性をめぐる国際的な研究プロジェクトなどに関わってきた人類学者のハイジ・J・ラーソンが「ワクチンにまつわる嘘・デ…

地球温暖化が深刻化した未来を本職の地質学者が描きだすディストピアSF──『2084年報告書: 地球温暖化の口述記録』

2084年報告書: 地球温暖化の口述記録作者:ジェームズ・ローレンス・パウエル国書刊行会Amazonここ数年は毎日のようにSDGsや地球温暖化が話題になる昨今だが、この『2084年報告書: 地球温暖化の口述記録』はまさにそうした地球の気候変動をテーマにしたディス…

進化は偶然によって決まるのか?──『進化の技法――転用と盗用と争いの40億年』

進化の技法――転用と盗用と争いの40億年作者:ニール・シュービンみすず書房Amazonこの『進化の技法』は、『ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト: 最新科学が明らかにする人体進化35億年の旅』や『あなたのなかの宇宙』で知られる古生物学者・サイエンスライターの…

「宇宙の終わり」について現在の物理学から考えられる5つのシナリオ──『宇宙の終わりに何が起こるのか』

宇宙の終わりに何が起こるのか作者:ケイティ・マック講談社Amazon始まりあるものにはすべて終わりがあるというが、宇宙にもまた終わりはあるのだろうか。宇宙にもビッグバンという起点があるから、ないということはないだろう。著者はノースカロライナ州立大…

世界各地に存在した、元素ハンターたちの挑戦を描く──『元素創造 93~118番元素をつくった科学者たち』

元素創造 93~118番元素をつくった科学者たち作者:キット・チャップマン白揚社Amazonこの『元素創造』は、元素周期表の末尾に並ぶ26元素がどのようにして作られ・発見されてきたのか、科学者らの挑戦をまとめた一冊である。現在元素は118種に名前がついていて…

脳に性差はあるのか?──『ジェンダーと脳──性別を超える脳の多様性』

ジェンダーと脳――性別を超える脳の多様性作者:ダフナ・ジョエル,ルバ・ヴィハンスキ紀伊國屋書店Amazonこの『ジェンダーと脳』は、よく言われる「男女で脳に性差はあるのか?」というテーマに、神経科学者であるダフナ・ジョエルが向き合った一冊である。先…

夜寝るのを待ち遠しくさせてくれる、夢と睡眠についてのノンフィクション──『夢を見るとき脳は - 睡眠と夢の謎に迫る科学』

夢を見るとき脳は――睡眠と夢の謎に迫る科学作者:アントニオ・ザドラ,ロバート・スティックゴールド紀伊國屋書店Amazonこの『夢を見るとき脳は』は、夢を見ている時脳内で何が起こっているのかに注目した一冊である。夢を見たことがないという人は、ほとんど…