基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

科学ノンフィクション

恐竜の始まりからその終わり、さらに「現代の恐竜」まで、一冊でみっしりまとまった快作──『恐竜の世界史──負け犬が覇者となり、絶滅するまで』

恐竜の世界史――負け犬が覇者となり、絶滅するまで作者: スティーブ・ブルサッテ,土屋健,黒川耕大出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2019/08/09メディア: 単行本この商品を含むブログを見るこの『恐竜の世界史』はいい! 実は恐竜は羽毛が生えてたんじゃね…

宇宙誕生の謎を解き明かしつつある人々の話──『ユニバース2.0 実験室で宇宙を創造する』

ユニバース2.0 実験室で宇宙を創造する (文春e-book)作者: ジーヤ・メラリ,坂井伸之・解説出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2019/07/26メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る宇宙の始まりについての本である。宇宙の始まりといっても、意味は二つあ…

自律型兵器の技術・倫理についての最前線──『無人の兵団 AI、ロボット、自律型兵器と未来の戦争』

無人の兵団――AI、ロボット、自律型兵器と未来の戦争作者: ポールシャーレ,Paul Scharre,伏見威蕃出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/07/18メディア: 単行本この商品を含むブログを見る一般向けの無人兵器本だと長らくシンガーの『ロボット兵士の戦争』が…

進化はどこまで予測可能なのか?──『生命の歴史は繰り返すのか?: 進化の偶然と必然のナゾに実験で挑む』

生命の歴史は繰り返すのか?ー進化の偶然と必然のナゾに実験で挑む作者: Jonathan B. Losos,的場知之出版社/メーカー: 化学同人発売日: 2019/06/01メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る生命の進化の歴史は偶然に支配されている。たと…

抽象絵画とかぜんぜんわかんねぇ、という人にこそ読んでもらいたい──『なぜ脳はアートがわかるのか 現代美術史から学ぶ脳科学入門』

なぜ脳はアートがわかるのか ―現代美術史から学ぶ脳科学入門―作者: エリック・R・カンデル,高橋洋出版社/メーカー: 青土社発売日: 2019/06/22メディア: 単行本この商品を含むブログを見るなぜ脳はアートがわかるのか。そんなことをいうと、「いや、そもそも…

動物群に広がる多様な知性──『鳥頭なんて誰が言った? 動物の「知能」にかんする大いなる誤解』

鳥頭なんて誰が言った? 動物の「知能」にかんする大いなる誤解作者: エマニュエルプイドバ出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/05/31メディア: Kindle版この商品を含むブログを見るこんなタイトルと書名なので最初鳥の知能の本かと思ったがそうではなく…

安上がりでかつ破壊的なパーフェクト・ウェポンとどう向き合っていくべきか──『世界の覇権が一気に変わる サイバー完全兵器』

世界の覇権が一気に変わる サイバー完全兵器作者: デービッド・サンガー,高取 芳彦出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2019/05/31メディア: Kindle版この商品を含むブログを見るサイバー攻撃がなんかやべえんだよという話はこの何年かで俄然よく聞くよう…

脳科学・神経科学的な観点からの専門的な記述に支えられた「発想法」──『柔軟的思考 困難を乗り越える独創的な脳』

柔軟的思考 困難を乗り越える独創的な脳作者: レナード・ムロディナウ,水谷淳出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2019/05/10メディア: 単行本この商品を含むブログを見る変化のはやい時代、これまでになかった新しいアイデアを生み出す必要性が増している…

データ化すれば客観的に評価できるという考えの落とし穴──『測りすぎ──なぜパフォーマンス評価は失敗するのか?』

測りすぎ――なぜパフォーマンス評価は失敗するのか?作者: ジェリー・Z・ミュラー,松本裕出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2019/04/27メディア: 単行本この商品を含むブログを見る僕の本業はWebプログラマで、こうした職業としてはありがちなこととして何社…

エネルギーという唯一無二の普遍通貨から見た人類史──『エネルギーの人類史』

エネルギーの人類史 上作者: バーツラフ・シュミル,塩原通緒出版社/メーカー: 青土社発売日: 2019/03/25メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る人間の営みはいかにして多くのエネルギーを得るか、また存在しているエネルギーをいかに効…

高尚な理由の背後に潜む、高尚ではない動機──『人が自分をだます理由:自己欺瞞の進化心理学』

人が自分をだます理由:自己欺瞞の進化心理学作者: ロビン・ハンソン,ケヴィン・シムラー,大槻敦子出版社/メーカー: 原書房発売日: 2019/02/27メディア: 単行本この商品を含むブログを見る人の行動にはわかりやすいひとつだけの理由ではなく、複数の動機が存…

次の世界への道標──『光の量子コンピューター』

光の量子コンピューター (インターナショナル新書)作者: 古澤明出版社/メーカー: 集英社インターナショナル発売日: 2019/02/07メディア: 新書この商品を含むブログを見る光子を用いた量子コンピュータについての一冊である。決して光のコンピュータがあるか…

間違いだらけの論文──『生命科学クライシス―新薬開発の危ない現場』

生命科学クライシス―新薬開発の危ない現場作者: リチャード・ハリス,寺町朋子出版社/メーカー: 白揚社発売日: 2019/03/07メディア: 単行本この商品を含むブログを見る毎年100万件以上の生物医学研究の論文が科学文献に発表されるが、その多くが間違っている─…

進化の方向性を支配してきた「移動運動」というテーマ──『脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか: 生き物の「動き」と「形」の40億年』

脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか: 生き物の「動き」と「形」の40億年作者: マットウィルキンソン,Matt Wilkinson,神奈川夏子出版社/メーカー: 草思社発売日: 2019/02/18メディア: 単行本この商品を含むブログを見る今年読んだノンフィクションの中で最高の一…

騙され、不利益を被らないないために必要な基礎知識──『データは騙る 改竄・捏造・不正を見抜く統計学』

データは騙る: 改竄・捏造・不正を見抜く統計学作者: ゲアリー・スミス,川添節子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/02/20メディア: 単行本この商品を含むブログを見るファクトの価値が高まり続けている昨今だが、そうはいっても何がファクトなのかを見…

文化的な営みは感情に起源を持つ──『進化の意外な順序ー感情、意識、創造性と文化の起源』

進化の意外な順序ー感情、意識、創造性と文化の起源作者: アントニオ・ダマシオ,高橋洋出版社/メーカー: 白揚社発売日: 2019/02/01メディア: 単行本この商品を含むブログを見る現代神経科学の巨人アントニオ・ダマシオの最新邦訳である。専門分野である神経…

宇宙文明が遭遇すると想定される、普遍的な危機への考察──『地球外生命と人類の未来 ―人新世の宇宙生物学―』

地球外生命と人類の未来 ―人新世の宇宙生物学―作者: アダム・フランク,高橋洋出版社/メーカー: 青土社発売日: 2019/01/25メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見るこの広い宇宙に、文明を発達させた生物の住まう惑星はいくつあるのだろう…

うまく死ぬには現代は複雑すぎる──『現代の死に方: 医療の最前線から』

現代の死に方: 医療の最前線から作者: シェイマス・オウマハニー,小林政子出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2018/10/19メディア: 単行本この商品を含むブログを見る病気をしているわけではないのだけれども、最近死について考えることが増えた。はたして…

異なる道筋で進化した「心」を分析する──『タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源』

タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源作者: ピーター・ゴドフリー=スミス,夏目大出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2018/11/17メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見るタコというのはなかなかに賢い生き物で、その賢さを示すエピソード…

人間を超えた存在になりたいと願う人々──『バイオハッキング―テクノロジーで知覚を拡張する』

バイオハッキング―テクノロジーで知覚を拡張する作者: カーラ・プラトーニ,田沢恭子出版社/メーカー: 白揚社発売日: 2018/11/08メディア: 単行本この商品を含むブログを見るこの本を読むまで僕もまったく知らなかったのだが、世の中にはバイオハッカー、グラ…

新たな材料こそが、時代の扉を開く──『世界史を変えた新素材』

世界史を変えた新素材 (新潮選書)作者: 佐藤健太郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2018/10/26メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る世界の歴史を駆動させてきた力を、化合物的な視点から見直していく『炭素文明論』の著者佐藤健太郎…

脳が進化していくどのタイミングで神が現れたのか?──『神は、脳がつくった――200万年の人類史と脳科学で解読する神と宗教の起源』

神は、脳がつくった 200万年の人類史と脳科学で解読する神と宗教の起源作者: E.フラー・トリー,寺町朋子出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2018/09/27メディア: 単行本この商品を含むブログを見る神は脳がつくったとはいうが、だいたいの感情や概念は…

絶滅は本当によくないことなのか?──『絶滅できない動物たち 自然と科学の間で繰り広げられる大いなるジレンマ』

絶滅できない動物たち――自然と科学の間で繰り広げられる大いなるジレンマ作者: M・R・オコナー出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2018/09/27メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る人間の活動やそれに伴う気候変動によって物凄い数の生物が絶…

中国の知的財産権の善と悪──『ハードウェアハッカー ~新しいモノをつくる破壊と創造の冒険』

ハードウェアハッカー ~新しいモノをつくる破壊と創造の冒険作者: アンドリュー“バニー"ファン,山形浩生,高須正和出版社/メーカー: 技術評論社発売日: 2018/10/19メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (2件) を見るハードウェアハッカーと…

失われた技術を復元する──『ジャイロモノレール』

本書はジャイロモノレールについての概説書である。ジャイロモノレールとはレールが一本の鉄道の名称である「モノレール」にジャイロスコープを利用し、無支持で走行できる安定性を付与したものになるが、この技術は20世紀のはじめ頃(1900〜1910年)に開発さ…

驚きを与えられたい一方で、心地よさを望む──『ヒットの設計図――ポケモンGOからトランプ現象まで』

ヒットの設計図なんてあるわけがないだろうと、書名を見た段階では反射的には思ったわけだが、それはそれとして世の中のヒットのいくらかは確かにもっともらしく説明することができる。たとえば、人気映画の続篇なんかは、大概の場合そこまで大きく外れるこ…

ロケットエンジンの基礎が概観できる最高の一冊──『宇宙はどこまで行けるか-ロケットエンジンの実力と未来』

宇宙はどこまで行けるか-ロケットエンジンの実力と未来 (中公新書)作者: 小泉宏之出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2018/09/19メディア: 新書この商品を含むブログを見る中公新書は『小惑星探査機はやぶさ』や『NASA─宇宙開発の60年』など、素晴…

植物状態の患者に意識はあるのか『生存する意識──植物状態の患者と対話する』

生存する意識作者: エイドリアン・オーウェン,柴田裕之出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2018/09/19メディア: 単行本この商品を含むブログを見る植物状態というと、通常は意識が完全にシャットアウトされ、意思疎通をはかることが困難な状態だという理解…

ドーピングはいかに人体に作用するのか──『走る、泳ぐ、ダマす アスリートがハマるドーピングの知られざる科学』

走る、泳ぐ、ダマす アスリートがハマるドーピングの知られざる科学作者: クリス・クーパー,西勝英出版社/メーカー: 金芳堂発売日: 2018/09/07メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見るアスリートのドーピング使用が発覚してメダルが剥奪…

”時間”とは人間にとって何なのか── 『タイムトラベル 「時間」の歴史を物語る』

タイムトラベル 「時間」の歴史を物語る作者: ジェイムズグリック,夏目大出版社/メーカー: 柏書房発売日: 2018/08/27メディア: 単行本この商品を含むブログを見る「タイムトラベル」といえばこれを読んでいる多くの人は「あーはいはい」とその意味するところ…