基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

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『三体』読んだらこれを読めと手渡せる、現代中華SFを概観できるアンソロジー──『時のきざはし 現代中華SF傑作選』

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時のきざはし 現代中華SF傑作選作者:江波,何夕,糖匪,昼温,陸秋槎,陳楸帆,王晋康,黄海,梁清散,凌晨,双翅目,韓松,吴霜,潘海天,飛氘,靚霊,滕野発売日: 2020/06/26メディア: 大型本最近中国SFが盛り上がっている。『三体』が売れてる(全部合わせて30万部突破。単…

VRの父がインターネットの黎明期を通して「あらためて我々はどこへ向かうべきなのか」と問いかけてみせた一冊──『万物創生をはじめよう』

万物創生をはじめよう――私的VR事始作者:ジャロン・ラニアー発売日: 2020/06/18メディア: 単行本この『万物創生をはじめよう』は、最初期のVR技術の探求、起業者であり、VRの父と呼ばれるジャロン・ラニアーによる自伝的な一冊である。幼少期からはじまり、VR…

意識のアップロードを望むか?──『幽霊を創出したのは誰か? Who Created the Ghost?』

幽霊を創出したのは誰か? Who Created the Ghost? WWシリーズ (講談社タイガ)作者:森博嗣発売日: 2020/06/18メディア: Kindle版講談社タイガで刊行中の、森博嗣によるWWシリーズ『キャサリンはどのように子供を産んだのか』に次ぐ第…

あの『三体』の続篇がついにきた! すべてのスケールがアップし、人類の命運をかけた”終末決戦”が描かれる超傑作!──『三体Ⅱ 黒暗森林』

三体Ⅱ 黒暗森林(上)作者:劉 慈欣発売日: 2020/06/18メディア: Kindle版ほとんどの日本人にとって馴染みのない「中国の小説」そして「SF」であるにも関わらず刊行当初から飛ぶように売れ、13万部も突破した劉慈欣による中国のSF三部作『三体』! 本作『三…

史上初の三年連続ヒューゴー賞を受賞した超弩級の破滅SF──『第五の季節 破壊された地球』

第五の季節 〈破壊された地球〉 (創元SF文庫)作者:N・K・ジェミシン発売日: 2020/06/12メディア: Kindle版アメリカの女性作家N・K・ジェミシンによるこの『第五の季節』は、史上はじめて三年連続でヒューゴー賞を受賞したThe Broken Earth三部作の第一部…

テクノスリラーの傑作『アンドロメダ病原体』の正統続篇にして、ド直球のSFとして拡張してみせた快作──『アンドロメダ病原体-変異-』

アンドロメダ病原体-変異- 上作者:マイクル クライトン,ダニエル H ウィルソン発売日: 2020/05/26メディア: Kindle版テクノスリラー&SFの傑作マイケル・クライトンの出世作『アンドロメダ病原体』の、別の著者による正統的な続篇がこの『アンドロメダ…

サイエンスとファンタジィの融合を描くネビュラ賞、ローカス賞受賞のファンタジィ長篇──『空のあらゆる鳥を』

空のあらゆる鳥を (創元海外SF叢書)作者:チャーリー・ジェーン・アンダーズ発売日: 2020/05/09メディア: 単行本この『空のあらゆる鳥を』はアメリカの作家チャーリー・ジェーン・アンダーズによるファンタジィ小説で、ネビュラ賞長篇、ローカス賞ファンタジ…

第40回日本SF大賞を受賞した《天冥の標》が2巻まで無料公開されているから全力でオススメする。

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天冥の標Ⅰ メニー・メニー・シープ(上)作者:小川 一水発売日: 2013/01/25メディア: Kindle版2020年、第40回の日本SF大賞(日本のSF賞。小説以外の媒体も対象)を小川一水《天冥の標》と酉島伝法『宿借りの星』が受賞した(対象期間は2019年)。どちらも別の角…

仕事をする必要がなくなった世界で、仕事とは何かを問う野崎まど最新SF──『タイタン』

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タイタン作者:野崎 まど発売日: 2020/04/22メディア: 単行本(ソフトカバー)今はGW真っ最中にコロナが重なって働いていない人もいるだろうが、我々の大半は働かなければ生き残れない。酸素を吸わないと生きていけないように、働かないと機能的に生き残れな…

『半分世界』の石川宗生による極上の奇想短篇集──『ホテル・アルカディア』

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ホテル・アルカディア作者:石川 宗生発売日: 2020/03/26メディア: 単行本この『ホテル・アルカディア』は、第7回創元SF短編賞を受賞し、奇想短篇集『半分世界』で東京創元社からデビューした石川宗生さんの集英社からの最新作。『半分世界』は、吉田大輔氏が…

韓国作家チョン・セランによる、異能力を持った保健室の先生を軸にしたほのぼの学園もの──『保健室のアン・ウニョン先生』

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保健室のアン・ウニョン先生 (チョン・セランの本)作者:チョン・セラン発売日: 2020/03/19メディア: 単行本(ソフトカバー)この『保健室のアン・ウニョン先生』は韓国でホラー、ファンタジー、SFと様々なジャンルの作品を横断しながら作品を発表しているチ…

『横浜駅SF』の柞刈湯葉による初のSF短篇集──『人間たちの話』

人間たちの話 (ハヤカワ文庫JA)作者:柞刈 湯葉発売日: 2020/03/18メディア: 文庫『横浜駅SF』の柞刈湯葉による初のSF短篇集がこの『人間たちの話』である。小説はだいたい人間の話をするものだから「人間たちの話」と題がついている──わけではなく、本書の中…

数学と物理学と哲学が交錯し、どこまでもスケールする超遠距離恋愛SF──『不可視都市』

不可視都市 (星海社FICTIONS)作者:高島 雄哉発売日: 2020/03/15メディア: 単行本(ソフトカバー)この『不可視都市』は知性に関する3つの定理を解き明かす過程で「物理的に世界を変質させていく」様を描き出した、『ランドスケープと夏の定理』でデビューし…

ケン・リュウによって集められた、量も多様性も増した至極の中国SF作家&短篇勢揃い──『月の光 現代中国SFアンソロジー』

月の光 現代中国SFアンソロジー (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)作者:劉 慈欣発売日: 2020/03/18メディア: 新書この『月の光』は、ケン・リュウによって集められた、中国の精鋭SF作家らによるアンソロジー『折りたたみ北京』に続く中国SFアンソロジー第二弾であ…

ドイツと日本が世界の覇権を競っている西暦2600年を描き出す、1937年刊行のディストピアSFの古典──『鉤十字の夜』

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【送料無料】 鉤十字の夜 / キャサリン・バーデキン 【本】価格: 2750 円楽天で詳細を見る『鉤十字の夜』は、キャサリン・バーデキンによって書かれたイギリスのディストピアSFである。刊行年は1937年で、ディストピア系の代表作のひとつオルダス・ハクスリ…

電子生命の生きる道はどこにあるのか──『キャサリンはどのように子供を産んだのか?』

キャサリンはどのように子供を産んだのか? How Did Catherine Cooper Have a Child ? (講談社タイガ)作者:森 博嗣発売日: 2020/02/21メディア: 文庫講談社タイガで刊行中の、森博嗣によるWWシリーズ『それでもデミアンは一人なのか?』に次ぐ第三巻である…

「いま・ここ」にいる人たちに読んで欲しい、東京に核が持ち込まれた状況を描き出す、藤井太洋による緊迫の現代スリラー──『ワン・モア・ヌーク』

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ワン・モア・ヌーク (新潮文庫)作者:藤井 太洋出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2020/01/29メディア: 文庫この『ワン・モア・ヌーク』は、近未来サスペンス・SFの書き手として知られる藤井太洋の最新作。2020年の3月11日。日本人にとっては忘れることのできな…

『三体』の劉慈欣が「近未来SF小説の頂点」とまで言った、ページをめくる手が止まらない圧巻の中国SF──『荒潮』

荒潮 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)作者:陳 楸帆発売日: 2020/01/23メディア: 新書この『荒潮』は中国のSF作家を代表する一人と言われる陳楸帆による初の(そして今のところ唯一の)長篇SF小説である。陳楸帆の小説は、日本でも刊行された現代中国SFアン…

『ゲド戦記』や『闇の左手』のル・グインによる、最後のエッセイ──『暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて』

暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて: ル=グウィンのエッセイ作者:アーシュラ・K・ル=グウィン出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2020/01/25メディア: 単行本ル・グインは何をおいても『闇の左手』や『ゲド戦記』の、類まれなSF作家・ファ…

崩壊しかかっている作品をメタ的な観点から強引にまとめあげる、パワーワード連発のSF問題作──『大絶滅恐竜タイムウォーズ』

大絶滅恐竜タイムウォーズ (ハヤカワ文庫JA)作者:草野 原々出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/12/19メディア: 文庫『最後にして最初のアイドル』の草野原々による………なんだ? なんだかよくわからないが、とにかく進化と宇宙と時空がめちゃくちゃになっ…

存在しない書物についての書評集にして、レムの代表作の一つ──『完全な真空』

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完全な真空 (河出文庫)作者:スタニスワフ・レム出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2020/01/07メディア: 文庫この『完全な真空』は『ソラリス』のスタニスワフ・レムの代表作のひとつにして、存在しない書物についての書評集である。もともと単行本として…

銀河サイズの超知能AIはどのように思考するか? などはるか未来の知能の在り方が模索される──『LIFE3.0――人工知能時代に人間であるということ』

LIFE3.0──人工知能時代に人間であるということ作者:マックス・テグマーク出版社/メーカー: 紀伊國屋書店発売日: 2019/12/27メディア: 単行本この『LIFE3.0』は人間の知能を遥かに超えた超知能AIが出現したら何が起こり得るのかを、AIの安全性研究や有識…

《天冥の標》から『息吹』まで、多数の傑作SFが刊行された2019年を振り返る

息吹作者:テッド・チャン出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/12/04メディア: 単行本 傑作揃いの短篇集 今年のSFでまず中心的に語っておきたいのは*1、素晴らしい短篇集が多数出たことだ。たとえばテッド・チャン『息吹』は著者一七年ぶりのSF短篇集で…

『サピエンス全史』のハラリがはじめて現代の諸問題を真正面から取り扱った最新刊──『21 Lessons: 21世紀の人類のための21の思考』

21 Lessons: 21世紀の人類のための21の思考作者:ユヴァル・ノア・ハラリ出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2019/11/19メディア: 単行本『サピエンス全史──文明の構造と人類の幸福』で、「虚構を操る力こそが人類を生き残らせた」という観点から過去を。…

全長一マイルにも及ぶ巨大な竜がかつて支配した町を描き出す、至高のドラゴン・ファンタジィ──『タボリンの鱗』

タボリンの鱗 竜のグリオールシリーズ短篇集 (竹書房文庫)作者:ルーシャス・シェパード出版社/メーカー: 竹書房発売日: 2019/12/26メディア: Kindle版この『タボリンの鱗』は全長1.6kmにも及ぶ巨大な竜をめぐるファンタジィ奇譚が集まった中短篇集『竜のグリ…

複雑な人間関係・時代関係がカタルシスへと直結していく、尖りすぎた近年最高峰のSFアドベンチャーゲーム!!──『十三機兵防衛圏』

十三機兵防衛圏 - PS4作者:出版社/メーカー: アトラス発売日: 2019/11/28メディア: Video Gameいやはやこれは本当におもしろい、今年最高のゲームだった。『オーディンスフィア』などで知られるヴァニラウェア✗アトラスの新作だが、タイトルからもわかるよう…

今年も早川書房が海外SF作品の電子書籍セールをはじめたので、新刊を中心におすすめをピックアップ! 2019年版

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ニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF)作者:ウィリアム ギブスン出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/04/30メディア: Kindle版この数年は毎年の恒例となっている早川書房の海外SF作品電子書籍セールが今年も(2019年)このぎりぎりの年の瀬に始まったので…

韓国の注目の女性作家チョン・ソヨンによるSF・幻想系を中心に集めた極上のSF短篇集──『となりのヨンヒさん』

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となりのヨンヒさん作者:チョン・ソヨン,吉川 凪出版社/メーカー: 集英社発売日: 2019/12/13メディア: 単行本この『となりのヨンヒさん』は韓国の注目の女性作家チョン・ソヨンによるSF・幻想系を中心に集めたSF短篇集。こういっちゃあなんだけど「とな…

二年連続でヒューゴー賞・ローカス賞を受賞した、自省的な人型殺人警備ユニットの日常録──『マーダーボット・ダイアリー』

マーダーボット・ダイアリー 上 (創元SF文庫)作者:マーサ・ウェルズ出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2019/12/11メディア: 文庫マーダーボット・ダイアリー 下 (創元SF文庫)作者:マーサ・ウェルズ出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2019/12/11メディ…

アジアンテイストな〈シュヤ宇宙〉を舞台に、宇宙船の魂を人が孕む特殊な世界観を描き出すSF短篇集──『茶匠と探偵』

茶匠と探偵作者:アリエット ド・ボダール出版社/メーカー: 竹書房発売日: 2019/11/28メディア: 単行本この『茶匠と探偵』は、現実とは異なる歴史をたどって中国やベトナムの文化・価値観が支配的になった〈シュヤ宇宙〉に属する短篇を集めた日本オリジナル編…