基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

2012-10-01から1ヶ月間の記事一覧

真賀田四季の天才性について

最近Kindleストアがオープンしたので、iPhoneで森博嗣本を手当たり次第に再読しているのだが、改めて読んだ四季がやっぱりすごかった。さまざまな作品に境界を飛び越えて登場する四季と、その支配力からキャラクタとして卓越しているのは既シリーズ読者には…

ヤル気の科学 行動経済学が教える成功の秘訣

つい最近こんな記事を書いた。⇒効率的に資格をとる為のたったひとつの冴えたやりかた - 基本読書 このたったひとつの冴えたやりかたが何かといえば、コツコツと勉強することだ(笑)。しかし何を隠そう(隠すまでもなく)コツコツ勉強するというのが一番難しい。…

それでも、読書をやめない理由

『それでも、読書をやめない理由』を読んだ。それでも、とはどういう意味だろうか。これは本の虫であった著者が、テクノロジーがもたらすノイズによって、突然本に集中することが難しくなったことからきている。そんな風に集中することができなくなっても、…

『MAKERS―21世紀の産業革命が始まる』:前著である『フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略』より経済に与える影響を考える上では重要

『ロングテール』『フリー』とたて続けに時代を象徴するような本を出してきたクリス・アンダーソンの新刊『MAKERS―21世紀の産業革命が始まる』をさっそく読みました。フリーが割と虚仮威しの内容だったこともあってそこまで期待していなかったんですけど、予…

「やっていて楽しいこと」に気付くためには適当に生きるのが良い

世の中には「書く」ことが好きで好きでしようがないブロガーがいる - シロクマの屑籠この記事を読むと、基本的には言及とかしないんですけど、これだけ何の利もない文章を書き続けている身からすればいろいろ思うところなどもあるのです。どういうことを考え…

平田オリザさんの『わかりあえないことから──コミュニケーション能力とは何か』と押井守さんの『コミュニケーションは、要らない』を読んでコミュニケーションについて考えた

最近コミュニケーション能力がうんたらかんたらー! と叫ばれているがコミュニケーションという言葉には意味がいっぱい含まれていて「コミュニケーション能力を企業が重視している」とだけ書かれても読む方も書く方も絶対「なんのこっちゃ」って思っている。…

簡素な台詞にのる物語的な重さについて

『……見ていて、ジェシ』上の簡素な台詞は『獣の奏者』という物語の終盤に出てくる。主人公であるエリンの台詞だ。僕はこの全4巻のそれなりに長い物語を通してこの台詞が一番好きだ。名言だと思う。しかし、この物語を読んだことがない人はこれがなぜ名言な…

獣の奏者

先日(といっても二ヶ月ほど前だが)上橋菜穂子さんの『獣の奏者』が講談社文庫として4冊すべて出揃った。素晴らしい表紙で本屋に最初の2冊が並んでいた時から読みたかった。ついにこうして4冊揃い。読んでみたのである。ひとことで言えば、素晴らしいファ…

獣の奏者を読んでなぜファンタジーが好きなのかについて考えた

先日(といっても二ヶ月ほど前だが)上橋菜穂子さんの『獣の奏者』が講談社文庫として4冊すべて出揃った。素晴らしい表紙で本屋に最初の2冊が並んでいた時から読みたかった。ついにこうして4冊揃い。読んでみたのである。ひとことで言えば、素晴らしいファ…

松丸本舗主義 奇蹟の本屋、3年間の挑戦。

一度だけ松丸本舗に行ったことがある。たしかオープンした直後ぐらいだった。人の頭の中にいるよう、本が様々な形態で並んでいて、たのしかった。本には文脈があるというのは本書で何度も語られることだが、まさにその文脈が見える形で提示されていたので衝…

「リスク」の食べ方: 食の安全・安心を考える

岩田健太郎さん著。感染症の専門家で新書を何冊か出している。考え方が現場主義で役に立つので毎回出ていると買ってしまいます。今回は専門の感染症から、食べもののリスク……もっと抽象的にしてリスクとの向き合い方についての考え方の本。ただまあ構成的に…

創造力なき日本 アートの現場で蘇る「覚悟」と「継続」

『創造力なき日本 アートの現場で蘇る「覚悟」と「継続」』村上隆著。村上隆さんといえば僕のイメージでは「なんかフィギュアが億単位で売れた人」程度かなかったのですけど、この本を読んでイメージがクリアになりました。アート、それも現代美術などという…

限界集落の真実: 過疎の村は消えるか?

うーん結局なにが言いたいのかよくわからない本だったなあ。もちろん言っていることはひとつひとつ理解できるんだけど。実感が何一つとしてわかない。東京に産まれて東京で成長して今も東京にいるから、周辺とか村がどうたらっていう内容がまったくもってフ…

BEATLESS

『BEATLESS』を読んだ。円環少女やあなたのための物語といった、ライトノベルとSF、ジャンルを超えて活躍している長谷敏司さんの最新作だ。僕が長谷敏司さんの作品で読んだことがあるのは例にあげた2作品のみだが、どちらも技巧的かつ、エンターテイメン…

物語を体験して、心が震える瞬間がある。

グレート・ギャツビーを書いたフィッツジェラルドは、エッセイでこう書いたことがある。『「わたしたちは、すばらしく感動的な体験を二、三は持っているものだ。それがあまりにもすばらしく感動的なので、体験したときはこんなふうに考える。自分以外の人間…

オタクの息子に悩んでます 朝日新聞「悩みのるつぼ」より

朝日新聞には悩みのるつぼというコーナーがある。このコーナーでは毎週一回訪れ、4人の回答者が持ち回りで回答していく。この本はその中でも岡田斗司夫さんの回答をまとめたもの……ではなく、どのようにして回答を導き出してきたかを解説する「問題に対する…

評価について

評価について。どんな時に「評価されている」と感じるのか。本当の評価なんてものがあるのか。何を目的にして何かをするのか。評価というのはたとえば特にブログ記事を書く場合には必要なものではない。が、あると嬉しいものではあるだろう。しかし、評価に…

リーダーを目指す人の心得

コリン・パウエル著。だれかといえば元アメリカ国務長官である。軍人でもあり、陸軍大将まで上り詰めた。日本で出版するにあたって『リーダーを目指す人の心得』とありきたりなビジネス書のタイトルのようにされてしまっているが、原題をそのまま訳すと『私…

遺伝子と環境の相互作用についての2冊

『天才を考察する: 「生まれか育ちか」論の嘘と本当』と『遺伝子の不都合な真実: すべての能力は遺伝である』を読んだ。どちらも言っていることは至極まともで、ようは「天才とか才能ってもんは遺伝もあるし、環境(努力)の要因も、あるんだよ」ということで…

僕たちのゲーム史

ゲームの話はおもしろい。ゲームをしているのと同じぐらいゲームについての話をしているのもおもしろい。ゲームは独自にルールを設定することなので(全く別の世界を作ることでもある)発想をある程度自由にさせるし、遊びっていう楽しさの原理にいちばん関わ…

ライトノベルの妹物について

今日から3連休最終日まで徳島にいくので途中までだけどメモ的に残しておきます。タイムリミットまでできるところまで書こう。思いつきを並べているだけなので帰ってきたら続きを書きます。ライトノベルの妹ものについて。ブックウォーカーというiPhoneの電子…

経済の変わらない骨子について

僕は経済学専門だが馬鹿な学生だったので学校にいる間はほとんど経済のことがわからなかった。というか経済学と一応関係しているので関連単位として認められますよ、というなんだかよくわからない心理学とか哲学とか、実のところまったく経済と関係がない単…

「ネットの自由」vs.著作権: TPPは、終わりの始まりなのか

おお、適当に手にとって読んでみたんだけどこれは面白い。著作権ってのはその性質上いろんな問題に絡んでいるので勉強するとあれとこれとかに話題がつながってきて遊びで読んでいる分には楽しいのです。本書はおもに、TPPにおける知財・情報項目のルール共通…