基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

造語「メタヴァース」を生み出し、数々の起業家の世界観に影響を与えた伝説のSFがついに復刊!──『スノウ・クラッシュ』

スノウ・クラッシュ〔新版〕 上 (ハヤカワ文庫SF)作者:ニール スティーヴンスン早川書房Amazonこの数年メタヴァース=仮想現実が盛り上がっている。Facebookが社名を「Meta」に変更し、OculusQuestやVRchatが普及し、フォートナイトでのライブ・生活体験が当…

弾圧が行われているとされる新疆ウイグル自治区で、実際に何が行われているのか?──『AI監獄ウイグル』

AI監獄ウイグル作者:ジェフリー・ケイン新潮社Amazonこの『AI監獄ウイグル』は、近年弾圧が激しくなっているとされるウイグルで、実際に何が行われているのか、150人以上のウイグル人の難民、技術労働者、政府関係者、元中国人スパイにインタビュー取材…

アルゴリズムを真の意味で使いこなすために重要な知識が書かれた『アルゴリズムの時代』からビル・ゲイツのSDGs本『地球の未来のため僕が決断したこと』までいろいろ紹介!

はじめに 本の雑誌 2021年11月号掲載分の連載原稿を掲載します。21年の12月号で連載は終了しているので、もうすぐ終わりですね。ちなみに本の雑誌の新刊めったくたガイド担当者は大森さんなど一部を除いて2年ごとに担当者を入れ替える制度をとっているようで…

地上とはまったく異なる常識が支配する海中洞窟の世界で、ダイバーが何を考え、見てきたのか──『イントゥ・ザ・プラネット』

イントゥ・ザ・プラネット作者:ジル・ハイナース新潮社Amazonこの『イントゥ・ザ・プラネット』は洞窟探検家、水中探検家の女性ダイバーであるジル・ハイナースによる冒険記だ。水中、それも誰も踏み入ったことがないような長大な洞窟の中では、地上とはまっ…

第一次世界大戦中にインターネットや携帯電話が発展し、高度な監視システムが構築されたIFのドイツを描き出す改変歴史SF──『NSA』

NSA 上 (ハヤカワ文庫SF)作者:アンドレアス エシュバッハ早川書房Amazonこの『NSA』は、ドイツを代表するSF作家アンドレアス・エシュバッハが18年に発表した、ドイツが舞台の歴史改変SF小説である。歴史改変ものとは、「もし歴史のあの時点で結果がこ…

はるかな未来から少し先のニューノーマルまで、パンデミック後の多様な世界を表現する韓国SFアンソロジー──『最後のライオニ 韓国パンデミックSF小説集』

SF

最後のライオニ 韓国パンデミックSF小説集作者:キム・チョヨプ,デュナ,チョン・ソヨン,キム・イファン,ペ・ミョンフン,イ・ジョンサン河出書房新社Amazonこの『最後のライオニ』は韓国の作家6人がパンデミック、感染症をテーマに短篇を書いたSFアンソロジ…

過激主義組織はどのように人を勧誘し、虜にするのか?──『ゴーイング・ダーク 12の過激主義組織潜入ルポ』

ゴーイング・ダーク 12の過激主義組織潜入ルポ作者:ユリア・エブナー左右社Amazonこの『ゴーイング・ダーク』は、12の過激な主義主張をかかげる組織に著者が潜入し内部を綴るルポタージュである。最近のこうした組織はオンラインで門戸を開いているものだか…

《ウィッチャー》ワールドの原点とその本質的な魅力を味わえる、入門にうってつけの一冊──『ウィッチャー短篇集1 最後の願い』

ウィッチャー短篇集1 最後の願い (ハヤカワ文庫FT)作者:アンドレイ サプコフスキ早川書房Amazonポーランドの作家アンドレイ・サプコフスキによるファンタジィ小説シリーズ《ウィッチャー》は、小説も世界的なベストセラーであるが、本作を原作としたゲーム…

2020年の読むべき日本SF短篇が一冊であらかたカバーできる、竹書房文庫の年刊日本SF傑作選!──『ベストSF2021』

ベストSF2021 (竹書房文庫, お6-2) (竹書房文庫 お 6-2)作者:大森 望竹書房Amazon2020年に発表された日本SF短篇の中から、大森望が傑作をよりすぐったのがこの竹書房から刊行されたアンソロジー『ベストSF2021』である。2019年作品版の『ベストSF2020』が202…

mRNAワクチンを接種した人全員に読んでもらいたい、ワクチン開発の奮闘を描き出す一気読み必至のノンフィクション──『mRNAワクチンの衝撃 コロナ制圧と医療の未来』

mRNAワクチンの衝撃 コロナ制圧と医療の未来作者:ジョー ミラー,エズレム テュレジ,ウール シャヒン早川書房Amazon日本政府によると、日本の新型コロナウイルスワクチン接種回数は1億9800万回、2回の接種を完了した人は総人口の77%と数字が出ているが、…

砂漠の美しさ、サンドワームの神話的な恐ろしさを見事に表現してみせた傑作映画──『DUNE/デューン 砂の惑星』

『DUNE/デューン 砂の惑星』公開時にIGN japanに寄稿した映画reviewを、年末ですし、Amazonでも買えるようになっているのでブログ用に編集して投稿してます。おもしろいので観てね。DUNE/デューン 砂の惑星(字幕版)ティモシー・シャラメAmazon はじめに ドゥ…

2021年に刊行され、おもしろかったノンフィクションを振り返る

2021年も終わろうとしているので、今年刊行された本の中でも特におもしろかった・記憶に残ったノンフィクションを振り返っていこうかと。昨年に引き続き今年も本の雑誌の新刊ノンフィクションガイドを担当していたので、冊数はノンフィクションだけで200冊ぐ…

『火星の人』の著者最新作にして、宇宙SF&宇宙生物学SFの傑作長篇──『プロジェクト・ヘイル・メアリー』

プロジェクト・ヘイル・メアリー 上作者:アンディ ウィアー早川書房Amazonこの『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は、火星に一人取り残されてしまった男の決死のサバイブを描くハード・宇宙開発SF『火星の人』でデビュー&大ヒットした、(リドリー・スコッ…

海賊本にハズレなし。海賊王と呼ばれた男を描く伝記『世界を変えた「海賊」の物語』から人類は本質的に善良だと大きな論を展開する『Humankind』までいろいろ紹介

まえがき 本の雑誌2021年10月号の原稿を転載します。本の雑誌では新刊めったくたガイドの連載が2年の任期で2021年12月号で終わったので、あとは11月号&12月分を残すのみ。先月は久しぶりに本の雑誌原稿を書かない月でしたが、少しさみしいですね。その代わ…

がんを根絶するのではなく、コントロールするという選択肢──『がんは裏切る細胞である――進化生物学から治療戦略へ』

がんは裏切る細胞である――進化生物学から治療戦略へ作者:アシーナ・アクティピスみすず書房Amazonこの『がんは裏切る細胞である』は、書名通りがんについて書かれた一冊である。がんがどのように生まれ、現代まで生き残ってきたのか。いま、どこまで研究が進…

魚にはどれだけの知性があるのか?──『魚にも自分がわかる──動物認知研究の最先端』

魚にも自分がわかる ──動物認知研究の最先端 (ちくま新書)作者:幸田正典筑摩書房Amazonこの『魚にも自分がわかる』は、「魚の自己認識」、はてはその先の問いかけとして魚の知性について書かれた一冊である。魚は脳も小さいし、餌に飛びつくような本能的な動…

元NATO欧州連合軍最高司令官によって書かれた、ありうるかもしれない米中開戦を描く近未来軍事シミュレーション長篇──『2034 米中戦争』

SF

2034 米中戦争 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)作者:エリオット・アッカーマン,ジェイムズ・スタヴリディス二見書房Amazon近年、米国と中国の溝は深くなる一方だ。最近も、米国は中国の人権状況について懸念し、北京で開かれる冬季オリンピックを外交…

『三体』の劉慈欣による本邦初の短篇集、劉慈欣は長篇だけでなく短篇もおもしろい!──『円』

円 劉慈欣短篇集作者:劉 慈欣早川書房Amazonこの『円 劉慈欣短篇集』は、『三体』の著者劉慈欣による本邦初の短篇集である。中国での短篇集の翻訳かと思ったら、作品選択は原著者側によるもので、どのような意図があるのか訳者にもわかっていないらしい。た…

ハヤカワ文庫JAから700点以上が50%割引の大型セールがきたのでおすすめを紹介する。

SF

SFマガジン 2021年 12月号早川書房Amazon先日から早川書房から刊行されているSFマガジンではハヤカワ文庫JA全解説を3号連続で行っていた。僕も10点ぐらいの作品に解説を書いたのだが、その全解説がおわったこのタイミングで、ハヤカワ文庫JA700点以上の割引…

科学と魔法が混交した世界を見事描き出してみせた、ゲーム原作のNetflixアニメシリーズ──『アーケイン』

www.netflix.com 『アーケイン』を観た。ゲーム『リーグ・オブ・レジェンド』を原作とするNetflixのアニメ作品で、第一シーズンが配信されている。今月配信がスタートし『イカゲーム』を抜き去って各国でランキングの一位をとるなど盛り上がっているようだ。…

インディーゲームを作り続けていくための現場の知見と悩みが詰まった最良のガイドブック──『インディーゲーム・サバイバルガイド』

インディーゲーム・サバイバルガイド作者:一條 貴彰技術評論社Amazonこの数年、UnityやUEのようなゲーム開発エンジンが発展し、ダウンロード販売が当たり前になり、スマホのスペックが上がり自由度が増したなど複数の要因が重なって、少人数で制作・販売され…

なぜ年をとるほど時間は速くなるのか?──『WHY TIME FLIES:なぜ時間は飛ぶように過ぎるのか』

WHY TIME FLIES:なぜ時間は飛ぶように過ぎるのか作者:アランバーディック東洋館出版社Amazonこれを書いているのは11月22日だが、あと一週間ちょっとしたら12月、すぐに2022年がやってくる。この1年をあっという間に感じた人もいるだろうし、長かったなあと振…

宇宙の創生から終局までを壮大なスケールと幻想で描き出す、オラフ・ステープルドン代表作の全面改訳版──『スターメイカー』

SF

スターメイカー (ちくま文庫)作者:オラフ・ステープルドン筑摩書房Amazon本書は、オラフ・ステープルドンによって1937年に發表された、壮大なスケールでこの宇宙と数多の文明の行末を描き出すSF長篇である。1990年に国書刊行会から刊行され、04年に新版が出…

世界のワクチン接種運動を考え直すためにも重要な一冊──『ワクチンの噂――どう広まり、なぜいつまでも消えないのか』

ワクチンの噂――どう広まり、なぜいつまでも消えないのか作者:ハイジ・J・ラーソンみすず書房Amazonこの『ワクチンの噂』は、ワクチンの信頼性をめぐる国際的な研究プロジェクトなどに関わってきた人類学者のハイジ・J・ラーソンが「ワクチンにまつわる嘘・デ…

アメリカの感染症対策の軌跡を追う『最悪の予感』からALSを発症した著者が自身をサイボーグ化する過程を描いた『NEO HUMAN』までいろいろ紹介!

はじめに 本の雑誌462号2021年12月号本の雑誌社Amazon本の雑誌2021年9月号のノンフィクションガイド原稿を転載します。今回もいい感じの大作ぞろい。なんといってもマイケル・ルイスの『最悪の予感』は大作だし、ALSにかかった著者が技術で自分の身体をハッ…

謎の信号によって人類のDNAがハッキングされ、「終局」に至る様をノンフィクションとして描き出す、ファーストコンタクトSF──『ダリア・ミッチェル博士の発見と異変 世界から数十億人が消えた日』

SF

ダリア・ミッチェル博士の発見と異変 世界から数十億人が消えた日 (竹書房文庫)作者:キース・トーマス竹書房Amazonこの『ダリア・ミッチェル博士の発見と異変』は、2023年に銀河系のはるか彼方から届いたパルスが人類にぶちあたり、そこから一部の人々が重力…

地球温暖化が深刻化した未来を本職の地質学者が描きだすディストピアSF──『2084年報告書: 地球温暖化の口述記録』

2084年報告書: 地球温暖化の口述記録作者:ジェームズ・ローレンス・パウエル国書刊行会Amazonここ数年は毎日のようにSDGsや地球温暖化が話題になる昨今だが、この『2084年報告書: 地球温暖化の口述記録』はまさにそうした地球の気候変動をテーマにしたディス…

11月になったので今月読もうと思っているおもしろそうな本を紹介する

11月になったので今月読もうと思っている本(の一部)を紹介しようと思う。別の記事を書いていた(異常論文アンソロジーの『異常論文』)のだけどあまりに重くて疲れ果ててしまったので別の文章を息抜きに書きたくなったのだ。「これから読む本」なので、当然ま…

森博嗣による、Xシリーズに続く、浮気調査に明け暮れるリアルめの「探偵もの」──『歌の終わりは海 Song End Sea』

歌の終わりは海 Song End Sea (講談社ノベルス)作者:森博嗣講談社Amazon精神的なダメージを負いながらも地道でたいして儲かるわけでもない探偵事務所での仕事に明け暮れるうちにその傷が癒えていく主人公小川令子の生き様が描かれていった『イナイ…

進化は偶然によって決まるのか?──『進化の技法――転用と盗用と争いの40億年』

進化の技法――転用と盗用と争いの40億年作者:ニール・シュービンみすず書房Amazonこの『進化の技法』は、『ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト: 最新科学が明らかにする人体進化35億年の旅』や『あなたのなかの宇宙』で知られる古生物学者・サイエンスライターの…