基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

今年も早川書房1500作品が50%割引の超大型電子書籍セールがきたので、SF・ノンフィクション中心にオススメを紹介する

早川書房の1500作品が最大50%割引という大型の電子書籍セールが来たので、僕が読了済みのものからオススメを紹介しよう。早川書房は定期的にセールをやるが、1500点級のセールを前回やったのは去年の6月頭なので、年に一回のセールとなる。これ以上安くなる…

宇宙ものから超能力もの、ポリティカルな作品まで幅広い作品が堪能できる、韓国の人気作家による極上のSF短篇集──『極めて私的な超能力』

極めて私的な超能力 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)作者:チャン ガンミョン早川書房Amazonこの『極めて私的な超能力』はSFだけでなくノンフィクションや労働小説など幅広いジャンルの作品を手掛ける韓国の人気作家チャン・ガンミョンによるSF短篇集だ。この…

科学とSFの永続的な相互作用について──『こうして絶滅種復活は現実になる:古代DNA研究とジュラシック・パーク効果』

こうして絶滅種復活は現実になる:古代DNA研究とジェラシック・パーク効果作者:エリザベス・D・ジョーンズ原書房Amazonマイケル・クライトンによるSF小説『ジュラシック・パーク』が刊行されたのは1990年のこと。小説の時点で世界的なベストセラーになってい…

コロナ禍になってからたくさんのパンデミックSFが刊行されたので一気に紹介する

SF

19年末からコロナ禍に入り、3年近い月日が流れている。数多くの変化がそれに伴って起こったが、そのうちのひとつは「パンデミックSF」の刊行が増えたことだ。パンデミックSFとは、感染症が広まっていく状況を描き出すSF作品のことだが、コロナ以後に企画・執…

友好的なヒトが自然淘汰で残ったからこそ、いまのヒトが存在する──『ヒトは〈家畜化〉して進化した―私たちはなぜ寛容で残酷な生き物になったのか』

ヒトは〈家畜化〉して進化した―私たちはなぜ寛容で残酷な生き物になったのか作者:ブライアン・ヘア,ヴァネッサ・ウッズ白揚社Amazon近年、人類史を通して、年々暴力が少なくなっていることを示したピンカーの『暴力の人類史』や、人間の本質は利他的であると…

人間の脳が片方失われてもほぼ正常に機能するのはなぜなのか──『脳の地図を書き換える 神経科学の冒険』

脳の地図を書き換える: 神経科学の冒険作者:デイヴィッド・イーグルマン,David Eagleman早川書房Amazonこの『脳の地図を書き換える』は、『あなたの知らない脳――意識は傍観者である』など一般向けの脳神経科学本の著者として知られるデイヴィッド・イーグル…

『新しい時代への歌』のサラ・ピンスカーによる、今年ベスト級のSF短篇集──『いずれすべては海の中に』

いずれすべては海の中に (竹書房文庫)作者:サラ・ピンスカー竹書房Amazonこの『いずれすべては海の中に』は、(新型コロナウイルスをめぐる状況の)予言的な作品として話題になった『新しい時代への歌』のサラ・ピンスカーによるSF中心の短篇集である。2013年…

1400ページ超えの凄まじい物量で展開するパンデミック終末巨篇──『疫神記』

SF

疫神記 合本版 (竹書房文庫)作者:チャック・ウェンディグ竹書房Amazonこの『疫神記』は「ワシントン・ポスト」紙の年間ベストにも選出された、パンデミックSFの超大作長篇である。そのページ数は原著約800ページ、この邦訳版は1400ページを超え、並大抵の厚…

誰もが関係する皮膚の科学──『皮膚、人間のすべてを語る――万能の臓器と巡る10章』

皮膚、人間のすべてを語る――万能の臓器と巡る10章作者:モンティ・ライマンみすず書房Amazon皮膚は見過ごされがちだが、人間を語る上で外すことのできない臓器である。ニキビができたり、通常より荒れていただけで気分は大きく落ち込み、人と話す気力も、会い…

世界的に少子高齢化が進展した時、世界経済はどうなってしまうのか?──『人口大逆転 高齢化、インフレの再来、不平等の縮小』

人口大逆転 高齢化、インフレの再来、不平等の縮小 (日本経済新聞出版)作者:チャールズ・グッドハート,マノジ・プラダン日経BPAmazon日本が少子化対策に失敗し続け、少子高齢化が進行しているのは誰もが知っていることだと思うが、この傾向は何も日本に限っ…

「異常」と「正常」はどうやって生み出されてきたのか──『誰も正常ではない――スティグマは作られ、作り変えられる』

誰も正常ではない――スティグマは作られ、作り変えられる作者:ロイ・リチャード・グリンカーみすず書房Amazon近年、ADHDや自閉症、うつ病などの精神に関わる病にかかること、かかったことを周囲の人間に伝えることは徐々に当たり前のものになりつつある。精神…

脳内で地図を作成する能力が衰えていくと、何が起こり得るのか?──『失われゆく我々の内なる地図 空間認知の隠れた役割』

失われゆく我々の内なる地図 空間認知の隠れた役割作者:マイケル・ボンド白揚社Amazon少なくとも移動という点において、現代は素晴らしい時代になったといえるだろう。僕は相当な方向音痴で、スマホのナビアプリがない時代は目的地にたどり着くのは難しいこ…

神林長平の最前線の境地が堪能できる、《戦闘妖精・雪風》13年ぶりの最新巻──『アグレッサーズ』

アグレッサーズ 戦闘妖精・雪風作者:神林 長平早川書房Amazonこの『アグレッサーズ 戦闘妖精・雪風』は、神林長平を代表する《戦闘妖精・雪風》シリーズの第4作めにして実に13年ぶりの新刊となる。シリーズの既作とその刊行時期を振り返ると、1984年に第一作…

知能の仕組みを解き明かし、人間を超えた汎用人工知能やマインドアップロードの可能性まで考察する──『脳は世界をどう見ているのか 知能の謎を解く「1000の脳」理論』

脳は世界をどう見ているのか 知能の謎を解く「1000の脳」理論作者:ジェフ ホーキンス早川書房Amazon人間は日々新しいことを学び続けている。民主主義についてや数学の理論など複雑な概念に限った話ではなく、たとえばアプリをダウンロードしたらその使い方を…

注意スキーマ理論を通して、意識を再考する──『意識はなぜ生まれたか――その起源から人工意識まで』

意識はなぜ生まれたか――その起源から人工意識まで作者:マイケル・グラツィアーノ白揚社Amazonこの『意識はなぜ生まれたのか』は、ブリンストン大学神経科学・心理学享受のマイケル・グラツィアーノによる意識研究についての一冊である。原題は『Rethinking C…

頭の中で、日々どのような対話が行われているのか?──『おしゃべりな脳の研究――内言・聴声・対話的思考』

おしゃべりな脳の研究――内言・聴声・対話的思考作者:チャールズ・ファニーハフみすず書房Amazon多かれ少なかれ、誰もが「頭の中での対話」をしたことがあるはずだ。明日何食べようかな〜という問いかけ・対話を通して答えを導き出そうとする対話的思考から、…

冬眠研究の最前線──『人類冬眠計画: 生死のはざまに踏み込む』

人類冬眠計画: 生死のはざまに踏み込む (岩波科学ライブラリー 311)作者:砂川 玄志郎岩波書店Amazonフィクション、特にSFの世界では「人工冬眠」がよく登場する。意図的に人間を冬眠状態におくことで、人間の一生ではたどりつけない星に向かったり、現代では…

すべての恒星や惑星、そして生命の生みの親である、宇宙の最初の星々について──『ファーストスター』

ファーストスター 宇宙最初の星の光作者:エマ・チャップマン河出書房新社Amazon はじめに 我々が暮らしている宇宙が「ビッグバン」と呼ばれる爆発的事象によって発生したらしい(その前に何があったかはともかく)というのは多くの人にとって常識になっている…

未来の社会に労働用ロボットが横溢した社会から人間とAIの融合を扱った作品まで、多様な可能性を見出すAI・ロボットSF傑作選──『創られた心』

創られた心 AIロボットSF傑作選 (創元SF文庫)作者:ヴィナ・ジエミン・プラサド,ピーター・ワッツ,サード・Z・フセイン,ダリル・グレゴリイ,トチ・オニェブチ,ケン・リュウ,サラ・ピンスカー,ピーター・F・ハミルトン,ジョン・チュー,アレステア・レナ…

地球人口が100億人にいたり、地球の負荷が高まる時代に何をすべきなのか──『魔術師と予言者――2050年の世界像をめぐる科学者たちの闘い』

魔術師と予言者――2050年の世界像をめぐる科学者たちの闘い作者:チャールズ・C.マン紀伊國屋書店Amazonこの『魔術師と予言者』は書名だけみるとファンタジィ小説だが、その実態は2050年、人口が100億に達した時の地球環境の危機について考察する大著である(ペ…

ただただ美しいゲーム──『ELDEN RING』

【PS4】ELDEN RINGフロムソフトウェアAmazon『ELDEN RING』をクリアした。すべてのボスを倒したり、何周もしたりしたわけではないが(本作には周回要素が存在する)、とにかくラスボスを倒しエンディングが流れた。文句がないわけではないが、素晴らしいゲーム…

仕事が行き渡らない世界がやってきたら、我々はどうやって生きていけばいいのか?──『WORLD WITHOUT WORK――AI時代の新「大きな政府」論』

WORLD WITHOUT WORK――AI時代の新「大きな政府」論作者:ダニエル・サスキンドみすず書房Amazon近年、AIなどのテクノロジーの進歩は、人間から仕事を奪う。いや歴史が証明しているようにテクノロジーの進歩は新しい仕事を作り出すから人は新しい仕事へと移るだ…

ロシアの大規模な工作活動、個人情報の流出などフェイスブックの数々の失態はなぜ起こってしまったのか?──『フェイスブックの失墜』

っzrフェイスブックの失墜作者:シーラ フレンケル,セシリア カン早川書房Amazonフェイスブックは今なおSNSでは最大の存在感を誇るが、もちろん完璧なサービスというわけではなく、トラブルや批判は特にこの5年間で頻発している。ユーザ情報の流出、広告の…

初心者から再読者まで、森博嗣の多様で自由な世界を示す10冊を紹介する!

本の雑誌に寄稿した「森博嗣の10冊」原稿を転載します。ちょこちょこブログ用に書き換えてます。あと、そんなにひねったラインナップにはなってないかと。強いていえば『スカイ・クロラ』が入ってないことぐらいかな。大好きな作品ですが、『ヴォイド〜』と…

今月の気になる新刊&いま読んでいる本

なんとなく今月の気になる新刊を備忘録用に羅列してみようかと。 ノンフィクション WORLD WITHOUT WORKーAI時代の新「大きな政府」論作者:ダニエル・サスキンドみすず書房Amazon『WORLD WITHOUT WORK AI時代の新「大きな政府」論』(みすず書房)。『労働が人…

男だけを殺す感染症によって男性人口が激減した時、社会はどのような変化を遂げるのか?──『男たちを知らない女』

男たちを知らない女 (ハヤカワ文庫SF)作者:クリスティーナ スウィーニー=ビアード早川書房Amazonこの『男たちを知らない女』は、クリスティーナ・スウィーニー=ビアードのデビュー作にして、もし世界に男だけを殺す感染症が広まって、社会の構成要員がほぼ…

リバタリアンが集まる町を作ったら、そこは熊の巣窟になった──『リバタリアンが社会実験してみた町の話:自由至上主義者のユートピアは実現できたのか』

リバタリアンが社会実験してみた町の話:自由至上主義者のユートピアは実現できたのか作者:マシュー・ホンゴルツ・ヘトリング原書房Amazon はじめに どのように人々は集まってきたのか? 自由な町にヤバいやつらが集まってくる。 リバタリアンらは町を良い方…

街なかの時計がすべて別の時刻をさすほどにルーズなブラジルと、時間に厳しいタイトな日本、何が異なるのか?──『ルーズな文化とタイトな文化』

ルーズな文化とタイトな文化―なぜ〈彼ら〉と〈私たち〉はこれほど違うのか作者:ミシェル・ゲルファンド白揚社Amazon世界は技術の発展によって、過去例にないほど密接に繋がるようになった。飛行機は世界中を行き来し(今は違うが)、インターネットは光速で世…

あなたの給料はなぜその額なのか?──『給料はあなたの価値なのか――賃金と経済にまつわる神話を解く』

給料はあなたの価値なのか――賃金と経済にまつわる神話を解く作者:ジェイク・ローゼンフェルドみすず書房Amazon自分が毎月いくらもらえるのかは、日本・世界経済がどうこうよりもよほど重要な目先のテーマである。だが、それ=給料はどうやって決定されている…

誰もがテレポートを実施でき、距離が存在しなくなった世界をどこまでも追求する、エネルギーに満ち溢れた四年ぶりのSFコンテスト受賞作──『スター・シェイカー』

スター・シェイカー作者:人間 六度早川書房Amazonこの『スター・シェイカー』は、三回に渡って大賞が出なかった(優秀賞は出てたけど)ハヤカワSFコンテスト久しぶりの大賞受賞作にして、いかにもデビュー作らしく、荒削りながらも圧倒的な才能を見せつけてく…