基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

情報理論のレンズを通して浮かび上がってくる生命像──『生物の中の悪魔 「情報」で生命の謎を解く』

生物の中の悪魔 「情報」で生命の謎を解く作者: ポール・デイヴィス,水谷淳出版社/メーカー: SBクリエイティブ発売日: 2019/08/22メディア: 単行本この商品を含むブログを見るどのように生命が生まれたのか、というのは依然判明していない。地球や火星のよう…

ワイドスクリーン・バロックという言葉を生み出した、複雑怪奇、超絶怒涛の幻の名作SF──『パラドックス・メン』

SF

パラドックス・メン (竹書房文庫)作者: チャールズ・L.ハーネス,Charles L. Harness,中村融出版社/メーカー: 竹書房発売日: 2019/09/12メディア: 文庫この商品を含むブログを見るこのチャールズ・L・ハーネス『パラドックス・メン』は、1953年に刊行された…

我々は宇宙へと飛び出すべきなのか──『銀河帝国は必要か? ロボットと人類の未来』

SF

銀河帝国は必要か? (ちくまプリマー新書)作者: 稲葉振一郎出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2019/09/06メディア: 新書この商品を含むブログを見るアシモフの〈ファウンデーション〉シリーズを中心としたSF作品をとっかかりに、ロボットや人工知能が不可避…

現代日本SFの見取り図を提供しつづけてきた年刊日本SF短編傑作選、完結──『おうむの夢と操り人形』

おうむの夢と操り人形 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)作者: 大森望,日下三蔵出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2019/08/29メディア: 文庫この商品を含むブログを見る毎年多様な日本の傑作SF短編をまとめて世に送り出してきた年刊日本SF傑作選が、本…

最先端物理理論の提唱者が語る、時間の実態──『時間は存在しない』

時間は存在しない作者: カルロ・ロヴェッリ,冨永星出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2019/08/29メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る時間は存在しない、といきなり言われても、いやそうは言ったってこうやって呼吸をしている間にもカ…

人間集団の大きな流れの物語──『人口で語る世界史』

人口で語る世界史 (文春e-book)作者: ポール・モーランド出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2019/08/29メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る人口については、日本においては最重要検討事項のひとつだろう。日本の年齢の中央値は現在46歳。世界で最…

全人類が記憶を喪失し、地面がバラバラに砕け空中に散らばった世界──『落下世界』

SF

落下世界 上 (創元SF文庫)作者: ウィル・マッキントッシュ,茂木健出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2019/08/29メディア: 文庫この商品を含むブログを見る落下世界 下 (創元SF文庫)作者: ウィル・マッキントッシュ,茂木健出版社/メーカー: 東京創元社発売…

デビュー40周年をむかえ、なおあらたな領域を開拓し続ける作家・神林長平──『先をゆくもの達』

SF

先をゆくもの達作者: 神林長平出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/08/20メディア: 単行本この商品を含むブログを見る『先をゆくもの達』は、SFマガジンの連載の単行本であり、同時に今年(2019年)デビュー40周年を迎えた神林長平が「この先へ」向かう…

宇宙生物学について最初に知るのにうってつけの一冊──『エイリアン──科学者たちが語る地球外生命』

エイリアン──科学者たちが語る地球外生命作者: ジム・アル=カリーリ,斉藤隆央出版社/メーカー: 紀伊國屋書店発売日: 2019/08/28メディア: 単行本この商品を含むブログを見る観測技術の高まり、生物学の知見、惑星気候学の発展に伴って、地球外生命の存在可能…

恋人から食事、命の価値までアルゴリズムで決定されるディストピア・コメディ──『クオリティランド』

SF

クオリティランド作者: マルク=ウヴェ・クリング,森内薫出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2019/08/24メディア: 単行本この商品を含むブログを見る17年のドイツSF大賞の一位作品である。ドイツの、それもSFはあまり翻訳されないのだが、3年前に同じ…

我々は、いかにして生まれたのか──『我々は生命を創れるのか 合成生物学が生みだしつつあるもの』

我々は生命を創れるのか 合成生物学が生みだしつつあるもの (ブルーバックス)作者: 藤崎慎吾出版社/メーカー: 講談社発売日: 2019/08/22メディア: 新書この商品を含むブログを見る本作は、小説や科学系のノンフィクション作家である藤崎慎吾さんが講談社ブル…

SFマニアからビギナーまであらゆる層を満足させる、オールタイム・ベスト級の傑作SF短篇集──『なめらかな世界と、その敵』

なめらかな世界と、その敵作者: 伴名練,赤坂アカ出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/08/20メディア: 単行本この商品を含むブログを見るこの『なめらかな世界と、その敵』を端的に紹介すれば、SFマニアからビギナーまであらゆる層を満足させる、オール…

市場経済に組み込まれたヒーローたち──『ザ・ボーイズ』

にこやかな顔で写真にうつるホームランダーAmazonPrimeで配信中の海外ドラマ『ザ・ボーイズ』(全8話)を観た。舞台となっているのは、凄まじい力を持ったスーパーヒーローたちが正体を隠して人助けをする──のではなく、営利企業に雇われているタレントとして…

全篇詩のように短い文体で綴られた、復讐と暴力の連鎖──『エレベーター』

エレベーター作者: ジェイソン・レナルズ,青木千鶴出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/08/20メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る全篇詩のような短い文体で綴られていく、復讐と暴力の連鎖を描く物語だ。一ページに十数行、場合…

どこまでの精密さを手に入れることができるのか、また、それは必要なのか──『精密への果てなき道:シリンダーからナノメートルEUVチップへ』

精密への果てなき道 シリンダーからナノメートルEUVチップへ作者: サイモンウィンチェスター出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/08/20メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る「精密さ」を主軸に据えた歴史&技術ノンフィクションである。現代社会…

男女の垣根が溶けてなくなっていく──『森があふれる』

森があふれる作者: 彩瀬まる出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2019/08/08メディア: 単行本この商品を含むブログを見る彩瀬まるさん最新作。男の社会的規範、女の社会的規範、夫婦のディスコミュニケーション、踏み込まず、どこにもいけない関係性の鬱屈…

恐竜の始まりからその終わり、さらに「現代の恐竜」まで、一冊でみっしりまとまった快作──『恐竜の世界史──負け犬が覇者となり、絶滅するまで』

恐竜の世界史――負け犬が覇者となり、絶滅するまで作者: スティーブ・ブルサッテ,土屋健,黒川耕大出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2019/08/09メディア: 単行本この商品を含むブログを見るこの『恐竜の世界史』はいい! 実は恐竜は羽毛が生えてたんじゃね…

タイムループ&人格入れ替わり殺人ミステリ──『イヴリン嬢は七回殺される』

イヴリン嬢は七回殺される作者: スチュアート・タートン,三角和代出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2019/08/09メディア: 単行本この商品を含むブログを見るタイムループ物のミステリィとか完全に大好きなやつなので、この『イヴリン嬢は七回殺される』がそ…

私人としての側面からみえてくるもの──『岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。』

岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。作者: ほぼ日刊イトイ新聞,100%ORANGE出版社/メーカー: 株式会社ほぼ日発売日: 2019/07/30メディア: 新書この商品を含むブログを見る任天堂の社長だった岩田聡さんの言葉を厳選し、編集し、まとめた本になる。ほぼ…

宇宙誕生の謎を解き明かしつつある人々の話──『ユニバース2.0 実験室で宇宙を創造する』

ユニバース2.0 実験室で宇宙を創造する (文春e-book)作者: ジーヤ・メラリ,坂井伸之・解説出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2019/07/26メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る宇宙の始まりについての本である。宇宙の始まりといっても、意味は二つあ…

潜入捜査を続けるうちにすっかり親友になってしまった男たちの、背反する友情の実話ノンフィクション──『詐欺師をはめろ──世界一チャーミングな犯罪者VS.FBI』

詐欺師をはめろーー世界一チャーミングな犯罪者 vs. FBI作者: デイヴィッドハワード,David Howard,濱野大道出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/08/06メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る めちゃくちゃエモい いやー正直ぜんぜん…

北上次郎、書評家40年の軌跡──『書評稼業四十年』

書評稼業四十年作者: 北上次郎出版社/メーカー: 本の雑誌社発売日: 2019/07/26メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る北上次郎氏の書評稼業40年のあれやこれやについて語られた一冊である。それがなんであれ40年続いたら凄いもんだが書…

世界的なファンタジィ・サーガの傑作五部作、ついに完結──《ウィッチャー》

ウィッチャーI エルフの血脈 (ハヤカワ文庫FT)作者: アンドレイ・サプコフスキ,川野靖子,天沼春樹出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/08/24メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見るウィッチャーV 湖の貴婦人 (ハヤカワ文庫FT)作者: アンドレイ…

自分を支配するアルゴリズムとどう付き合っていくべきか──『Uberland ウーバーランド アルゴリズムはいかに働き方を変えているか』

Uberland ウーバーランド ―アルゴリズムはいかに働き方を変えているか―作者: アレックス・ローゼンブラット,飯嶋貴子出版社/メーカー: 青土社発売日: 2019/07/25メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見るウーバーランドとは日本の有名な…

多文化を乗せた宇宙船の、長い旅路──『銀河核へ』

SF

銀河核へ 上 (創元SF文庫)作者: ベッキー・チェンバーズ,細美遙子出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2019/06/28メディア: 文庫この商品を含むブログを見る銀河核へ 下 (創元SF文庫)作者: ベッキー・チェンバーズ,細美遙子出版社/メーカー: 東京創元社発売…

自律型兵器の技術・倫理についての最前線──『無人の兵団 AI、ロボット、自律型兵器と未来の戦争』

無人の兵団――AI、ロボット、自律型兵器と未来の戦争作者: ポールシャーレ,Paul Scharre,伏見威蕃出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/07/18メディア: 単行本この商品を含むブログを見る一般向けの無人兵器本だと長らくシンガーの『ロボット兵士の戦争』が…

進化はどこまで予測可能なのか?──『生命の歴史は繰り返すのか?: 進化の偶然と必然のナゾに実験で挑む』

生命の歴史は繰り返すのか?ー進化の偶然と必然のナゾに実験で挑む作者: Jonathan B. Losos,的場知之出版社/メーカー: 化学同人発売日: 2019/06/01メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る生命の進化の歴史は偶然に支配されている。たと…

『天気の子』、『君の名は。』とはまた別方向の大傑作

天気の子アーティスト: RADWIMPS出版社/メーカー: Universal Music =music=発売日: 2019/07/19メディア: CDこの商品を含むブログを見るあまりネタバレはしていない。夜、『天気の子』を友人と観に行く。大変な傑作。当然『君の名は。』と比べられるし、比べ…

終末の予感だけがただひたすらに蔓延する小説──『穴の町』

穴の町作者: ショーン・プレスコット,北田絵里子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/07/04メディア: 単行本この商品を含むブログを見る本書『穴の町』はオーストラリアの作家ショーン・プレスコットの長篇小説のデビュー作である。「世界文学」としか言…

身体を重ねるたびに夢で訪れることができる街の地図が完成に近づいていく──『パリンプセスト』

パリンプセスト (海外文学セレクション)作者: キャサリン・M・ヴァレンテ,井辻朱美出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2019/06/28メディア: 文庫この商品を含むブログを見るこの『パリンプセスト』は《孤児の物語》シリーズや『宝石の筏で妖精国を旅した少…