2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧
時の子供たち (上) (竹書房文庫 ち 1-1)作者:エイドリアン・チャイコフスキー竹書房Amazonこの『時の子供たち』は、イギリスの作家エイドリアン・チャイコフスキーのSF長篇である。刊行は2015年で、2016年にアーサー・C・クラーク賞を受賞している。それ以上…
監視資本主義―人類の未来を賭けた闘い作者:ショシャナ・ズボフ東洋経済新報社Amazonこの『監視資本主義』は、ショシャナ・ズボフによって書かれた資本主義と人類文化の未来についてを扱った壮大なテーマの一冊である。壮大なのはテーマだけでなく、本文600ペ…
はじめに 本の雑誌2021年5月号分の原稿を転載します。この号はわりと粒ぞろい。『人類とイノベーション』、『アニメーションの女王たち』あたりは特にオススメです。 本の雑誌2021年5月号掲載 人類とイノベーション:世界は「自由」と「失敗」で進化する (Ne…
火星へ 上 (ハヤカワ文庫SF)作者:メアリ ロビネット コワル早川書房Amazonこの『火星へ』は、ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞の主要SF賞を総なめにした『宇宙へ』の続編にあたる。話は繋がっているが、それぞれの巻で話はオチていて、違ったおもしろさ…
アウトロー・オーシャン(上):海の「無法地帯」をゆく作者:イアン・アービナ白水社Amazonこの『アウトロー・オーシャン』は、ニューヨーク・タイムズで記者として働き、本書のもととなった「無法の大洋」と名付けられた一連の記事で数々の賞を受賞したイアン…
最悪の予感 パンデミックとの戦い作者:マイケル ルイス早川書房Amazonこの『最悪の予感』は、統計データを用いることで、従来誰もやってこなかった手法で選手を採用し、戦術を組み立てていった野球チームについて書かれた『マネー・ボール』などで知られるマ…
ロボット学者、植物に学ぶ―自然に秘められた未来のテクノロジー作者:バルバラ・マッツォライ白揚社Amazon通常、ロボットといえば鋭角や四角でゴテゴテしているイメージで、それとは正反対の植物とは結びつかない。しかし、ロボット研究・開発は昆虫や動物か…
超耐性菌 現代医療が生んだ「死の変異」作者:マット・マッカーシー光文社Amazon近年、体内の腸内細菌の存在が我々の健康に大きく関与していることなどが明らかになってきて、細菌を死滅させる抗生物質を無闇矢鱈に乱用するべきではないという潮流が生まれて…
蛇の言葉を話した男作者:アンドルス・キヴィラフク河出書房新社Amazonこの『蛇の言葉を話した男』は、エストニアで歴代トップ10に入るベストセラーに入り、フランス語版も大ヒットして14ヶ国語に翻訳されたファンタジィ長篇である。帯には、『これがどんな本…
はじめに 本の雑誌2021年3月号掲載の原稿を転載します。普段僕が連載で取り上げている本は完全に自分の好みで選んでいるせいでサイエンスノンフィクション多め、それもほぼ翻訳書になってしまうのだが、今回は『2016年の週刊文春』とか、『ゲンロン戦記 「知…
中国史SF短篇集-移動迷宮 (単行本)中央公論新社Amazonこの『移動迷宮』は近年躍進著しい中国SFの中でも、中国の歴史を扱ったSF短篇を集めたアンソロジーである。SFジャンルは近年それなりに市民権を得てきたといっても、特に翻訳ではまだごく一部の出版社(早…