2013-08-01から1ヶ月間の記事一覧
「なぜ飛行機は飛ぶのか」とそんなあまりにも単純な問いも、答えるとなるとずいぶん難しい。しかしそこには理屈がある。飛行機をつくりあげた人たちはみなその理屈に沿って飛行機を創りあげたのだ。翼の形にも理屈があるし、重量にも理屈があるし、それを動…
サイモン・シンの文庫化だ〜〜! と喜び勇んで本屋に走り、文庫新刊の平台をさがしまわるも影も形もない。「え、もう全部売れてしまったのか!?」と検索機に打ち込むとたしかに出てくる。機械に示される表示に従って本棚の前にいくと、棚にぽつんと一冊ささ…
ぐあー最高に素晴らしい物語だった。終わった後の余韻も冷めやらずすぐさまこれを書いている。『WORLD END ECONOMiCA』は狼と香辛料などで知られる支倉凍砂氏シナリオによるサークルSpicy Tailsによる同人ゲーム(だけどAmazonで買える)で、月を舞台にした…
三島浩司さんによる小説新作の文庫。相変わらず不思議な世界観だ。突如現れる土の塊、その中に取り込まれる一人の人間、そこから出てくる不忍、こいつらは、人の「動機」を殺し、その現象はクビキと呼ばれる──と、え、え、それどういうこと、その発想はどこ…
村上春樹がせっせと訳しているのは知っていたけれど、読むのは初めて。実はレイモンド・カーヴァーの伝記がでていて、それを読んだらなかなか面白かったので小説を読んでみようと思ったのです(普通順番が逆だが)。で、これが読んだらやっぱり凄かった。凄…
世界の教育を実際に自身の目と、生徒たちの目、それから先生への聞き込みによって生の情報を一覧する一冊。基本的に米国と他国(本書ではWorldといいながらポーランド、韓国、フィンランド+アメリカの四カ国しかみていないが)との比較考察によって米国がい…
“Your task is to read these accounts, and solve the mysteries and identify the murderer. Even though I have already told you the solution, the solution will surprise you.” 日本でいえば読者への挑戦状のようなものから本書は幕を開ける。冒頭か…
コミック短篇集。年間日本SF短編の傑作選である極光星群に、この『成程』から一短編が収録されていて、うわっなんだこれ!! と驚いてしまった。状況設定が不可思議な物が多く、世界自体が普通のものであっても出てくる人たちのやりとりがやはり尋常じゃなか…
ふと、今年の1月頭に仕事も幾日かは休みだし、時間もあって心に余裕があった時、洋書でも読んでみようかなと思い立った。たしかNew York Timesかどっかの年間レヴューが出始めた頃で、それを見ていたら「そういえば今ならボタン一回押せば買えるんだよな」…
隆慶一郎氏による一冊(上下巻だから二冊だけど)。うわあこれは名著だ。素晴らしい。先日葉隠入門 (新潮文庫) by 三島由紀夫 - 基本読書を読んだばかりで、その一息で踏み込んでくるような文章に一瞬で引き込まれてしまう。署名である「死ぬことと見つけた…
森博嗣著であるヴォイド・シェイパから始まるシリーズの最新刊、『スカル・ブレーカ』の引用本(章の頭ごとに引用されるネタ本)だったので(この葉隠入門が、ではなく葉隠そのものが)読んでみたのですが、これがまたとんでもなくすごい。武士が小学生の頃…
冬木糸一と申します。誰が得するんだよこの書評 さんのところでよく読書会を開いておりますが今回はそれの告知です。以下告知情報。
ガッチャマンクラウズのアニメが今放送されているのだけど、これが面白い。今年に入ってから見た中で2話を見ようと思えたのはこれだけである(「全部見た中で」だったらすごいかもしれないが、他のものがつまらないわけではなく、そもそもほとんどアニメを…
月に80冊ぐらい買うので蔵書の苦しみはある程度理解しているつもりである。月に80冊買うと1年で900冊を超え、部屋はかなり圧迫される。本棚は大抵の場合本の重みに耐え切れずたわんでくるし、地面にうまく積んでいてもちょっと探しものをしたりするとすぐ崩…
作家・森博嗣さんによる新作。こことか(常識にとらわれない100の講義 - 基本読書) こことか(つぶやきのクリーム the cream of the notes - 基本読書)で片っ端から何か書いてきたのでさすがにもう書くこともない‥‥だったら書くなよ‥‥と自問自答してしまう…
最近死ぬときのことばかり考えている。別に自殺する予定があるわけでもなく、難病におかされているわけでもなく、早いか遅いかの違いだけで人間いつかは死ぬのだから、いつなんどき「あと一年がせいぜいでしょう」と宣告されるかもわからないよなあ、と思う…
特に何らかの知識を得たいというわけでもなく、タイトルからなんとなく読んだが(読み始めてから気がついたが、訳者が山形氏であった)、これはなかなか面白い一冊。協力がつくる社会というか、協力ってなんて素晴らしいんだろう、そして利他的な行動をする…
クラーケン (ハヤカワ文庫SF) by チャイナ・ミエヴィル - 基本読書 ←を読んだ流れでちょっと気になっていた本書を読んだのですが、これがまたおもしろいエピソードの連続。失敗の連続と、NHKという組織の中でいかにしてダイオウイカの撮影をするのかという資…
たいへんおもしろく読んだ。クラーケン、と名前がついているのでクトゥルフ的な意味で世界がヤバイのかと思うだろうが‥‥。相変わらず長く、密度が濃いし、ロンドン(都市)を舞台にした物語だが、随分と親切なプロットで、派手なアクション場面もあるし、情…
山形浩生氏のフォロワー(Twitter的な意味ではない)であるのでCakesの連載でこの本が熱烈に紹介されていたときにすぐに買ったのだが(5千円もするのだ。痛い。)、先にご本人に紹介されてしまった。⇒川上『圧縮された産業発展』:台湾のIT産業発展は、歴史…
2007年に亡くなったカート・ヴォネガットの評伝。ひとりの人生を総括しようというのだから当然なのかもしれないが(実際他の作家の評伝も軒並み長いし)、600ページを超える大著だ。長々としていて、刈り取って欲しいという部分もあれば、ここは足り…