基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

2012-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー : あなたの意思はどのように決まるか?』

心理学者でありながらもノーベル経済学賞を受賞したあのダニエル・カーネマンの新刊とあっては読まねばなるまい。ハードカバーの上下巻で存在感抜群だが、意思決定の限界とシステムについてここまで網羅的なものは初めて読んだ。 本書では脳の働きを架空の2…

佐藤亜紀『小説のストラテジー (ちくま文庫)』

文庫化されたので読んでみたら、これが創作と受け手側が交わった時、どのように「快楽が発生するのか」といった分析や、フィクションが他者に伝わるとはどういうことかを分析した「記述と物語の関係」、また「物語はどの程度必要なのか?」といった原理的な…

田崎晴明『やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識』

良い本だ。読みながらいろいろなことを考えた。たとえば、言葉の限界について。放射線という言葉があるが、いったいどれだけの人がこの言葉の持つ意味を精確に説明することができるだろう? 放射線とは放射性物質から出る高いエネルギーを持った電子、光子な…

ジェインジェイコブズ『発展する地域 衰退する地域: 地域が自立するための経済学 (ちくま学芸文庫)』

国家に注目をして経済を語るのではなく、都市を中心にみることで経済の流れがわかると、端的に言ってしまえばそういう話だ。そしてタイトルになっている発展する地域と衰退する地域の境目はどこにあるのかといえば、それは「輸入置換」を通して輸入したもの…

和田裕介『Webサービスのつくり方 ~「新しい」を生み出すための33のエッセイ (Software Design plus)』

これはおもしろかった。ちょうど来年の目標はいくつか実現してみたいWebサービスを形にするに設定していたところだったので、なんとなく読んだのだけど。33のエッセイと題されているように軽い読み物(ただしコードが結構書かれている)として、気負わずにWe…

津田大介『ウェブで政治を動かす! (朝日新書)』

Kindle版で読みましたとさ。ランキングに載っていたので暇つぶしに買ったのだけど、これが予想外に面白かった。ただノンフィクションの場合僕は線を引きまくり、本を真っ黒にしてしまうのが最近の傾向なのでKindle版ではそこがちょっとやりづらいですね(特に…

真木悠介『時間の比較社会学 (岩波現代文庫)』

普段僕らは時間に対してもっと有意義に過ごせるのではないかと思い、時間が過ぎ去っていくのをみながら何もしなかったことを後悔し、さらには自分が死んだ後もずっと世界は進んでいくのだと想像して、自分の人生が広い大海のほんの一部分でしかない、自分が…

島本和彦『熱血時代~アオイホノオからの30年~ (少年サンデーコミックス〔スペシャル〕)』

ぐああめちゃくちゃ面白かった。島本和彦ファンは必読。ファンじゃない人は……これを買うとハマってしまうだろう。島本和彦デビュー30周年記念本? 30年間の歩みを、本人へのインタビューと各年代を代表する作品の印象的な一話と共に振り返っていくのだが…

「もしドラ」はなぜ売れたのか?を読んでいて思ったこと

「もしドラ」はなぜ売れたのか?というタイトルで『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』が売れた理由を著者の岩崎夏海さんが自身のブログで解説している。メルマガとはいっても連載形式で、これが面白いのだ。他の記…

『ヱヴァンゲリオン新劇場版:Q』ネタバレ

感想を特に書くつもりもなかったのだけど⇒間違いない。エヴァだ――『ヱヴァンゲリオン新劇場版:Q』(ネタバレ) - シロクマの屑籠ここで『『まごころを、君に』をリアルタイムには体験していない若い人達が、この、問題作の呈をなしてきたエヴァンゲリオンを…

死を受け入れるまでの五段階は死だけではなくもう少し広く人間の行動に当てはまるのではないか

という思いつき。その前に前提条件として死を受け入れる五段階とは何なのか。それについては一度書いたことがある⇒死を受け入れるまでの第五段階 - 基本読書。もう二年も前の記事かあ。クリックするのも面倒くさい人に簡単に説明すれば『死ぬ瞬間―死とその過…

ブノワ・ペータース『闇の国々 (ShoPro Books)』

ベルギーやフランスを中心にした漫画のことをバンド・デシネと呼ぶのですが、この闇の国々もまたそうしたBDのひとつです。正直僕も本格的なものを読むのはこれが初めてであり、何ら偉そうなことを語る知識が、まるっきりありませぬ。傾向さえもよくわからな…

科学の存在理由、科学の目標とは

有名な書評ブロガーの小飼弾さんはだいぶまえに⇒404 Blog Not Found:ほんと馬鹿 - 書評 - 科学的とはどういう意味かこの記事の中で森博嗣さんの『科学的とはどういう意味か』の最後の方に書かれた「科学の存在理由。科学の目標とは、人間の幸せである。」な…

ルイス・キャロル『不思議の国のアリス (新潮文庫)』

ストーリーをだいたい覚えていたので読んだことがあるのかと思っていたが、そうかディズニーのアニメで知っていただけか。僕はあのアニメ、たぶん小さい時に観たんだけど、とっても怖かったんですよね。もう、どの場面も恐怖の思い出とセットで記憶に格納さ…

本をたくさん読んでもまったく偉くならないし、凄くなるわけでもないし、金が稼げるわけでもない。

なぜか本を読んでいる人間が偉い。凄い。凄いやつになる。という言質が蔓延してると思いません? 1000冊読むと教養が〜とか本を読むことが強みに〜なんて。僕なんか3000冊は今までに読んでいますが まったく偉くないし、凄いことやってるわけでもな…

鈴木大拙『禅と日本文化 (岩波新書)』

外国人向けに、禅を通して日本文化を紹介しようとした本が、翻訳されて日本に逆輸入された形になる。同じ禅を扱った本といえば『茶の本』もある。茶の本も何故か外国へ向けて輸出されたものが日本に翻訳されて帰ってきた本だった。不思議ではあるが、高度成…

プラトン『饗宴 (岩波文庫)』

初プラトン。原題はシュンポシオンといい「一緒に飲む」というほどの意味とか。プラトンは名前とソクラテスファンであってソクラテスのことをいっぱい書いた最初の同人作家という認識だったのだが、この饗宴などを読むにむしろソクラテスを出しに自分自身の…

レオナルド・ダ・ヴィンチの手記

レオナルドが書いたモナリザはヘタしたらレオナルド・ダ・ヴィンチよりたくさん色々な媒体にでているかもしれない。万能の天才と呼ばれるレオナルド・ダ・ヴィンチだが、彼がいったいどんな人間でどんな発想をしていて何を考えていたのかを知ることは今まで…

自由論 (光文社古典新訳文庫)

タグに古典を読むシリーズをつけました。森博嗣作品には結構な割合で各章冒頭に引用がされているのですが、その引用本をちまちまと読んでいこうという心づもりです。まあ、その流れで気になったものがあれば派生で読んでいこうかなってところで。けっこうみ…

ジグβは神ですか

森博嗣先生の小説、Gシリーズの第八話だったかな。Kindleストアに森博嗣本がいっぱいあるので、最近片っ端から読み直しているのですが、順番関係なく読めるのであまり関係ありません。説明も、ちゃんと人間関係が一から語られるので、これが森博嗣初体験でも…

新しい市場のつくりかた

これはおもしろい。iPhoneも、Kindleのような電子書籍事業も、Facebookも、つまるところ新しい市場を日本は作ってこれなかったわけですが(もちろん国内向けは別として)それはなぜなのか、新しい市場を作るにはどうしたらいいのかを分析した本になっています…

自殺について 他四篇

古典を詠む。『自殺について』と表題にもついているぐらいなので、さぞや凄まじい理論か理屈が展開されるであろうと思っていたのだが、実際書かれているのは10ページほどの短い話であった。内容も大半はキリスト教が自殺を悪いものと考えることに対する考…

本にだって雄と雌があります

出落ち本の風格がたっぷりなタイトル。実際読み始めてしばらくは「うむやはりこれは出落ち本であるなあ」と思っていた。本にだって雄と雌があるとくれば当然本は交尾をするという話になり、そしたら相性のいい本の間には子どもが生まれるであろう。この物語…

インプットとアウトプットについて

メモ書き程度。ブログを書くようになって時間をそこにとられるようになる。だから本を読む時間がその分減っていくかといえばそんなことはなかったという経験がある。むしろ僕の場合は、ブログを書くようになってから本を読む量が増えた。それもたくさん書け…