基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

短編集

韓国SFに多大な影響を与え、現代韓国で「最もSFらしいSFを書く」といわれる作家のSF短篇集──『どれほど似ているか』

どれほど似ているか作者:キム・ボヨン河出書房新社Amazonこの『どれほど似ているか』は韓国の作家キム・ボヨンのSF短篇集である。「文藝」に掲載されたされた「赤ずきんのお嬢さん」や「SFマガジン」に掲載された「0と1の間」など断片的に作品が紹介されてき…

未来の社会に労働用ロボットが横溢した社会から人間とAIの融合を扱った作品まで、多様な可能性を見出すAI・ロボットSF傑作選──『創られた心』

創られた心 AIロボットSF傑作選 (創元SF文庫)作者:ヴィナ・ジエミン・プラサド,ピーター・ワッツ,サード・Z・フセイン,ダリル・グレゴリイ,トチ・オニェブチ,ケン・リュウ,サラ・ピンスカー,ピーター・F・ハミルトン,ジョン・チュー,アレステア・レナ…

《ウィッチャー》ワールドの原点とその本質的な魅力を味わえる、入門にうってつけの一冊──『ウィッチャー短篇集1 最後の願い』

ウィッチャー短篇集1 最後の願い (ハヤカワ文庫FT)作者:アンドレイ サプコフスキ早川書房Amazonポーランドの作家アンドレイ・サプコフスキによるファンタジィ小説シリーズ《ウィッチャー》は、小説も世界的なベストセラーであるが、本作を原作としたゲーム…

『三体』の二次創作小説でデビューした宝樹による、時間SF短篇集──『時間の王』

時間の王作者:宝樹早川書房Amazon次々と表現規制が行われており、今後中国の小説や漫画やゲームはいったいどうなってしまうのだろうかと戦々恐々と見守っている昨今だが、そんな最中でも中国SFは本邦で多数邦訳・刊行されている。劉慈欣の『三体』の二次創作…

ケン・リュウによる、中国、日本、米国の歴史と文化を横断的に取り込んだ珠玉のSF短篇集──『宇宙の春』

宇宙の春 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)作者:ケン リュウ発売日: 2021/03/17メディア: Kindle版本作『宇宙の春』は、中国と米国、作家と翻訳家を股にかけて活躍する作家ケン・リュウの日本オリジナル短篇集第四弾である。独立した話の短篇集なので、もちろ…

「折りたたみ北京」の郝景芳による、AIテーマの短篇集──『人之彼岸』

人之彼岸【ひとのひがん】 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)作者:郝 景芳発売日: 2021/01/21メディア: Kindle版この『人之彼岸』は、「折りたたみ北京」を筆頭に中国のみならず世界で高い評価を受けているSF作家郝景芳(ハオジンファン)のAIテーマを中心に集め…

イスラエルのSFを集めた、恐ろしく質の高い傑作アンソロジー──『シオンズ・フィクション』

シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選 (竹書房文庫)発売日: 2020/09/30メディア: 文庫この『シオンズ・フィクション』は、イスラエルSFの傑作16篇を集めたアンソロジーである。訳者の一人である山岸真さんが本の雑誌などで凄い凄いと書いていたので期…

『横浜駅SF』の柞刈湯葉による初のSF短篇集──『人間たちの話』

人間たちの話 (ハヤカワ文庫JA)作者:柞刈 湯葉発売日: 2020/03/18メディア: 文庫『横浜駅SF』の柞刈湯葉による初のSF短篇集がこの『人間たちの話』である。小説はだいたい人間の話をするものだから「人間たちの話」と題がついている──わけではなく、本書の中…

アジアンテイストな〈シュヤ宇宙〉を舞台に、宇宙船の魂を人が孕む特殊な世界観を描き出すSF短篇集──『茶匠と探偵』

茶匠と探偵作者:アリエット ド・ボダール出版社/メーカー: 竹書房発売日: 2019/11/28メディア: 単行本この『茶匠と探偵』は、現実とは異なる歴史をたどって中国やベトナムの文化・価値観が支配的になった〈シュヤ宇宙〉に属する短篇を集めた日本オリジナル編…

奇想からSFまで、尽きぬアイディアに支えられた極上の超短篇集──『銀河の果ての落とし穴』

銀河の果ての落とし穴作者: エトガル・ケレット,広岡杏子出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2019/09/20メディア: 単行本この商品を含むブログを見るこの『銀河の果ての落とし穴』は、イスラエル生まれの作家エトガル・ケレットによる短篇集である。正直…

『ゲームの王国』、小川哲による歴史×時間SF短篇集──『嘘と正典』

嘘と正典作者: 小川哲出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/09/19メディア: 単行本この商品を含むブログを見る『なめらかな世界と、その敵』の伴名練を筆頭に今30代前半にはやたらと熱いSF作家が揃っているのだけれども、そのうちの一人がこの小川哲だ。…

〈ゲーム・オブ・スローンズ〉原作者のSF短篇集──『ナイトフライヤー』

ナイトフライヤー (ハヤカワ文庫SF)作者: ジョージ・R・R・マーティン,鈴木康士,酒井昭伸出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/05/02メディア: 文庫この商品を含むブログを見るゲーム・オブ・スローンズの最終章の終幕が間近に迫るさなか、その原作者ジョ…

ドラゴンカーセックス奇譚から人が死んだら電柱になる世界の話まで揃った奇想短篇集──『流れよわが涙、と孔明は言った』

流れよわが涙、と孔明は言った (ハヤカワ文庫JA)作者: 三方行成出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/04/18メディア: 文庫この商品を含むブログを見るシンデレラや竹取物語といった童話が、もし人間が科学技術によってその姿を変質させたトランスヒューマ…

極上の華文ミステリィ短篇集──『ディオゲネス変奏曲』

ディオゲネス変奏曲 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)作者: 陳浩基,稲村文吾出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/04/03メディア: 新書この商品を含むブログを見る著者は警察小説『13・67』で一躍日本で名を馳せた陳浩基であり、本書は著者による全17篇を収…

イーガンの最良の部分が詰まった傑作SF短篇集──『ビット・プレイヤー』

ビット・プレイヤー (ハヤカワ文庫SF)作者: グレッグイーガン,山岸真,Rey.Hori出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/03/20メディア: 文庫この商品を含むブログを見るイーガンの最新邦訳短篇集である! イーガンは最近は『シルトの梯子』やら〈直交〉三部作…

多彩で多才な中国作家によるSF短篇集──『郝景芳短篇集』

郝景芳短篇集 (エクス・リブリス)作者: 郝景芳,及川茜出版社/メーカー: 白水社発売日: 2019/03/21メディア: 単行本この商品を含むブログを見る中国の作家郝景芳(ハオ・ジンファン)初の邦訳短篇集である。日本では作家ケン・リュウによって編訳された中国SF…

この世に存在する思考のすべてが記録された図書館──『叡智の図書館と十の謎』

叡智の図書館と十の謎 (中公文庫)作者: 多崎礼出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2019/02/22メディア: 文庫この商品を含むブログを見る『叡智の図書館と十の謎』は多崎礼さんが中央公論新社の『小説BOC』に連載していた一〇の短篇小説をまとめたものにな…

意識と知性を問い続ける、ピーター・ワッツ入門に最適な短篇集──『巨星』

巨星 ピーター・ワッツ傑作選 (創元SF文庫)作者: ピーター・ワッツ,緒賀岳志,高島雄哉,嶋田洋一出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2019/03/20メディア: 文庫この商品を含むブログを見るピーター・ワッツは『ブラインドサイト』や『エコープラクシア』とい…

『紙の動物園』ケン・リュウによる邦訳最新短篇集──『生まれ変わり』

生まれ変わり (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)作者: ケンリュウ,牧野千穂,古沢嘉通,幹遙子,大谷真弓出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/02/20メディア: 新書この商品を含むブログを見る『紙の動物園』ケン・リュウによる日本オリジナル編集の短篇集第三弾が…

ド傑作揃いのSF漫画短篇集──『有害無罪玩具』

有害無罪玩具 (ビームコミックス)作者: 詩野うら出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 2019/02/12メディア: コミックこの商品を含むブログを見る先日のSFファン交流会(海外SF、メディア(漫画、映画)2018年振り返り回)で、昨年のおすすめに加えて今年出た漫…