2013-01-01から1年間の記事一覧
『白熱光』の訳者あとがきで今後のイーガンの発刊予定が書いてあったのだが、早く訳されろ訳されろと願っていたこのZendegiにはまるで触れられなかったので読んだ。次は『Orthogonal』で2015年秋だって。遠未来か!*1 もちろん早川以外から出る可能性も…
数字の世界とは非人間的だと思われがちだ。ところが数字をこねくりまわすような遊びやそれを役立てようとするのは人間だけであり、逆にずいぶんと人間的な世界のように思える。本書は連分数をつかって数字をさまざまに弄んでみせるのだが、これがたのしい。…
情報はフリーになりたがると『フリー』で提唱したのはクリス・アンダーソンだが、あまりまともな内容だとは思えない。正しくは「無断コピーが当たり前になっている状況下で人はそれを金を払って手に入れることに興味を示さない」であって情報がフリーになり…
薄氷を踏むような気持ちで日々本を読んでいるのは僕だけではないだろう。電子書籍の話だ。今や僕のKindleユーザには400を超える本が購入履歴として残っているが、こいつらはいったいいつまで残るんだろう?? Amazonが消滅すれば(それがどんなに想像しに…
特許の中でもとりわけ人体の遺伝子とか、治療法における特許について焦点をあてた一冊。特許がなければ、苦労して、コストをかけて新しい物を発明してもあっという間にパクられて利益がなくなってしまう。そんな状態になったら発明のハードルは上がる。モチ…
生物学というやつはかなり面白いんですよ。なにがって、生命活動をするっていうその単純なことが、ありとあらゆる方法で行われ、そこには理屈が通っていて、太陽のエネルギーから化学反応まですべてが繋がっているってことなんです。僕等が日々生きて、生活…
異様な、というのが全体を通して読み終えた時の第一印象だった。華竜の宮 - 基本読書 の続編にあたる本作だが、いずれ必ず訪れる溶岩噴出による成層圏までばらまかれる粉塵によって太陽が届かなくなる地球という「終末」に向かいつつある人類の、右往左往、…
1999年から連載が始まり、2013年2月号でついに連載が完了した。全13巻である。ぎりぎりになってしまったが、完結年に紹介できてよかった。素晴らしい青春SF活劇コメディであり、13年の時の流れを経て、なお古びれることのない傑作漫画だった…
全ての力を尽くして天冥の標シリーズをオススメする - 基本読書 初出2013/01/31に書いたものの第七部追加verになります。2013/12/21この世にはたくさんの感動がある。山登りをする人間には、山を登っている時の空気の味、一歩一歩踏みしめていく時の感触とい…
なんだろうなあ、押井守さんが普段の監督業でやってきた中から仕事に使えそうな部分を抽象化した本なのかなあと読む前は考えていたのだが、違った。これは映画評論本なのであった。9本の映画を題材にして映画から組織をどう運営していくのか、中間管理職の…
『残存人類』帯に書かれたこの四文字。これだ。このぞっとするような言葉の響きを得るために、たった四文字を自分の中でたとえられない興奮に変換させるために僕はSFを読んでいるのだ。「残存人類」。それはSFでしか出てこない言葉だ。残存は使われるだ…
雑記。ものづくりSFという分類がありえるなあと『深紅の碑文』を読んでいて思った。まだまだ読み途中なのだけど、作中で子供たちが小型の衛星を地球周回軌道に乗せるミニロケットというとんでもないシロモノをつくる場面がある。設計と、費用と、発射場と…
ここにあるのは未来だ。進化、学習を取り入れたコンピュータ、DNA、細菌をベースに作られる計算システム、自分で自分を修理するコンピュータなど「今後、実用可能になりそうなコンピュータ」の例が解説されていて興奮させられる。現在あるようなコンピュータ…
良書。エネルギーというのはないと生活が維持できない。それをいかにして持続的に活用できる形にしていくのかはどこの国でも最重要課題である。特に日本では現状原発の件もあるしね。本書で面白かったのはまさに「選びなおす」という点であって、原発問題か…
森博嗣さんの新刊。既に出ているエッセイ『つぶやきのクリーム』の続編という位置づけ。似たタイプの著作である100の講義〜も数えるとこの100のトピックで語る本はこれで4冊目かな?つぶやきのクリーム the cream of the notes - 基本読書 「思考」を育てる1…
まさにそのまんま、日記だ。ただし思考都市 坂口恭平 Drawings 1999-2012 by 坂口恭平 - 基本読書 や独立国家のつくり方 - 基本読書突然失業してもこれさえ持っていれば生きていける!!──『ゼロから始める都市型狩猟採集生活/坂口恭平』 - 基本読書 でその…
やられた。視覚的に、ノックダウンされた。一時間半、食い入るように世界に入り込んでいた。映画が終わった時、自分の周囲に重力が戻ってきた感覚があった。ここに重力があって、自分の足が地面を踏みしめていることが、何不自由なく行えるのだという単純な…
ビッグデータという言葉の知名度は今広く行き渡っていると思うが、いってもそれが実際になんであって、どう使われているのかをぴたっと具体的に答えられる人がどれだけいるだろうか。ましてやいま最先端でどんなことが行われているのかというところにいくと…
Twitter社の歩みを多彩な人間を通して追った一冊。ノンフィクションのくせに劇的に演出をするところが鼻につきまくりだが、まあこういった伝記本は大抵そうだから我慢しなければなにも読めない。ただし面白さはピカ一。IT業界における成り上がりっていうのは…
有名作だと思うがどんな意味で有名なのかはわからない。ガキンチョ共が果物がいっぱいあって豚がいてとりあえず飢えて死ぬことはない極楽の島に飛行機の墜落の結果辿り着く。時代は近未来で何らかの大戦中の攻撃であった。その島では大人は一人もおらず子供…
だいぶ難しかった。通常時のイーガンが難しいのとはまた別の意味で。イーガンが描く世界は百万年先とかざらなので、ほとんど説明なく人間が実体化してない。寿命もないから何百万年といった時間軸の中で移動し、生きる(光速を超えるようなシステムはでてこ…
新訂 福翁自伝 (岩波文庫) by 福沢諭吉 - 基本読書 ここで絶賛していたのだからこちらも紹介せねばなるまいて『学問のすゝめ (岩波文庫)』。といっても今回初めて読んだのだけど。不勉強なり。ただこれを日本語で読めるのは素晴らしい体験であった。日本語ネ…
大震災が起こった時に、だれもそれを「たいしたことなかったね」という人がいないように、芸術のような価値判断の決まったものさしが存在しない分野でも、誰もが足を止め隅々まで制御の行き届いた、それでいて常に想像の範囲外に逸脱しつづけていくような、…
『史論の復権 (新潮新書) 』などとやたらと大層な書名がついていて身構えてしまう。が、中身はただの対談集(対論集と記載があるが)である。7人との対談が収録されているがそのうちラスト3つはドラマや映画の話をしているので(歴史にある程度関係がある…
5年後、メディアは稼げるか、というのはずいぶん切実な問いだ。テレビ業界は斜陽と言われて久しく(いまだにその影響力は強いが)新聞も雑誌もがしがし体力を削られている。頼みの綱のWebも儲かっているのか?? といえば怪しい。小さな文章コンテンツ系のWe…
タイトルに、表紙のかっこよさがあいまって読んでみたのだがこれはまたとんでもねえ作品だなあというのが一読しての第一印象。今まで味わったことがない感覚を湧き起こさせる特殊な造語、言葉選びの数々にストーリーを把握するために描写を読んでいるのだか…
これはもうべらぼうに面白い一冊で古びれるどころか当時(福沢諭吉時代)の雰囲気が外部にいる知識人といった主流派から離れた立場からみられて(維新だなんだの言っている奴は馬鹿だし、幕府も引きこもりばかりで馬鹿ばっかりだ!!)たいへんおもしろいの…
わりと短い一冊だがエイリアンについて語るにあっては必読の一冊ではなかろうか。本作はAlien Universeのタイトル通り、ひたすらエイリアンについて書かれた一冊。フィクションで書かれたエイリアンで新しい描き方をした作品を網羅的に紹介していったかと思…
相変わらず長い。延々と主人公が考え続けるのでかったるい部分も多いのだが、それでも清く正しく能力バトルをしていてかったるさを差し引いても現状面白い。魔法少女同士が凄惨に殺し合い魔女というキーワードが飛び交いまるで魔法少女まどか☆マギカをそのま…
山に登る人の話が好きだ。小説でもノンフィクションでも映画でも変わらない。何が面白いのか考えてみたが、僕には登山に生命をかける人たちのことがぜんっぜん理解できないからかもしれない。生命をかけるというのは単なる比喩ではなく、登山家は現代とは思…