基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

2013-07-01から1ヶ月間の記事一覧

哲学ファンタジー:パズル・パラドックス・ロジック (ちくま学芸文庫) by レイモンド・スマリヤン

ちくま学芸文庫で新たに出されていて、訳者が◯◯の限界シリーズの高橋昌一郎さんということで手にとったのだけど、これがたいへん愉快かつ面白かった。著者のレイモンド・スマリヤンという方はその道では有名な存在らしい。僕は寡聞にして耳にしたことがなか…

未来力養成教室 (岩波ジュニア新書)

日本SF作家クラブ編の「想像力」「未来」をテーマにしたエッセイ集。SF JACKでは短編を組むし、なんだか活動が本になって現れている。会長は変わってるけど。そもそも数があんまり出ていないのか、Amazonはあっという間に品切れになってしまうし本屋にもぜ…

さよならまでの読書会: 本を愛した母が遺した「最後の言葉」 by ウィル・シュワルビ

なんとなく読書会と入っているので手にとってみたのだけど、あんまり読書会とは関係がない。章ごとに署名が冠されているが、別にその本について長々と語っているわけでもない。膵臓癌に侵された読書好きの母と、その息子が2人っきりでどんな本を読んできた…

赤目姫の潮解 LADY SCARLET EYES AND HER DELIQUESCENCE by 森博嗣

すごい。なんだこれは、というのが一読しての第一印象。昨日読み終えて、今もう一度読み返してみたけれど、このすごさはなんなんだろう。連載作の単行本化だが、そのタイミングでこの作品が森博嗣さんによる「百年シリーズ」の三作目であることが判明し、ツ…

修行論 by 内田樹

内田樹先生による「修行論」。ただ内容は、既に内田先生の身体論系の本を読んでいる人には目新しい情報もあまりない。たとえば「天下無敵」とは何かを語った「機」とは何かを解き明かしていくのが僕はもともと大好きだったんだけど、それも本書にはずらーっ…

know (ハヤカワ文庫 JA ノ 4-1) by 野崎まど

知ろうとすることの物語。ライトノベル系で作品を重ねてきた野崎まどさんのハヤカワ文庫一作目。当然のごとくSF。ここ数年の早川JAがライトノベル系の執筆者を送り込んできているのは自明だけど、その中でも意外な人選といえるのではなかろうか。しかし一…

HHhH (プラハ、1942年) (海外文学セレクション) by ローラン・ビネ

なんといって分類したらいいものやら、途方にくれてしまうような作品で、まあ一言で、アホみたいに表現するのならば「かなりすごい。」になってしまう。HHhHとはまたまったく意味のわからないタイトルだが、Himmlers Hirn heiβt Heydrich(ヒムラーの頭脳は…

高野秀行という作家

謎の独立国家ソマリランド by 高野秀行 - 基本読書 を読んでいらい、高野秀行という作家はなんて面白い本を書くんだ!! と驚いてしまい、読み漁ってきた。デビュー作である『幻獣ムベンベを追え (集英社文庫)』から『怪魚ウモッカ格闘記』『ミャンマーの柳…

スロウハイツの神様(講談社文庫) by 辻村深月

昨日こんな記事を書いたら⇒共同生活物の魅力 - 基本読書 共同生活ものということで、この『スロウハイツの神様』を教えてもらった。辻村深月さんによる小説。いやあ適当に書いているといいこともあるもんだなあ。こんないい本を教えてもらえるなんて。共同生…

共同生活物の魅力

僕は思うのだけれど、人生においてもっとも素晴らしいのは、過ぎ去ってもう二度と戻ってくることのないものなのだから。──村上春樹『使いみちのない風景』 『さくら荘のペットな彼女』という作品が完結した。さくら荘とは高校の寮で、問題児ばかりが集まって…

世界を回せ by コラム・マッキャン

『世界を回せ』とは印象的なタイトルだ。書店で見かけた時にすっかり惚れ込んでしまった。ただしなんであれそうだが、つまらない本に使う金と時間は持ち合わせていない。衝動買いを容易く出来るほど経済的に豊かではないので念のためぱらぱらと冒頭をめくっ…

(株)貧困大国アメリカ (岩波新書) by 堤未果

アメリカの問題一気見シリーズ。どこの国を見渡しても問題がない国なんてないわけだけど、アメリカの問題もなかなか気合が入っていてみていると大変で笑ってしまう。本書の主要なテーマはタイトルに㈱と入っていることから連想されるように、まるで株式会社…

読み手への親切とは

文章なんてものは小説でもノンフィクションでも人を喜ばせるという点で、最初は自分のエゴみたいな部分をどれだけ消して読み手を考えられるかということだ。しかしそれを徹底するとその人にしかないものが消えてしまう。基本的にはみなどこにそのバランスを…

ワセダ三畳青春記 (集英社文庫) by 高野秀行

謎の独立国家ソマリランド by 高野秀行 - 基本読書 謎の独立国家ソマリランドはもうめちゃくちゃおもしろい本で、僕は「なんで今までこんな面白い作家を見逃していたんだ!?」とショックに襲われた。そして高野秀行さんの作品を買い漁り読み漁っているとこ…

謎の独立国家ソマリランド by 高野秀行

これはもうちょーーーー面白くて読んでいる間何度もげらげら笑い、驚き、そして最後には笑いながら泣いた。無政府状態が続き海賊が跋扈し「リアル北斗の拳」状態と噂されている崩壊国家の北に、十数年も平和を維持しさらには「まっとうな」民主主義を行なっ…

書くことについて (小学館文庫 キ 4-1) by スティーヴン・キング

キングによる小説作法。世の中にはいくつもの小説作法の本があって、僕もつくっている人間は何を考えているのかを知りたくて、結構読んでいたんだけど本書はその中でも群を抜いて素晴らしい。最良の一冊だ。作法がよくできている、画期的なやり方だ! という…

小説作品のディティールについて

ディティールが凄いというがそういうときはいったいなにを指しているのだろうか。ただただ描写が細かいというのではない。ある部屋を描写するのだって、細かくしようとすればいくらでも細かくでき、たとえ何文字費やそうが、一部屋だって完全に描写しきるこ…

臆病者のための株入門 (文春新書) by 橘玲

Kindle版になっていたので再読。これは昔読んだ時も思ったけど良い本。自分が就職できなかった時のパターンとしてどうやって生きていこうか……と考えていた時に、物価の安い国にいってネットだけ繋げてデイ・トレーダかアフィリエイターになって遊んで暮らそ…

メディア × 政治『大日本サムライガール』 by 至道流星

かつてマクロスの河森正治監督はインタビューの中で異質なもの同士を掛け合わせることで、未知のものが生まれていくと語った。⇒空を「青以外」で塗らせるのは意外に難しい:日経ビジネスオンライン また有名な『アイデアのつくり方』という本ではアイデア作…