基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

2015-02-01から1ヶ月間の記事一覧

作家夫婦の静かな旅行記──『モルテンおいしいです^q^』 by 田辺青蛙

小説家夫婦である田辺青蛙さんと円城塔さんのアメリカ旅行記。僕はどちらの小説ファンでもあるわけなので特に逡巡なく手にとったけれども、どういう人がこういう本を手に取るのだろう。ちなみに本は新宿紀伊國屋本店の、旅行コーナー棚(アメリカ)の中にひ…

「作戦検討型」能力バトル物の極北──『悲録伝』

物語シリーズが『終物語』なんていういかにも終わります的な書名が出てきたにも終わらず、『続・終物語』が出ても尚終わらなかった時に「ああ、この世に絶対なんてものはないんだし、西尾維新はその類まれな執筆速度と引き換えに神は物語を終わらせる能力を…

SFマガジン 2015年 04 月号から連載開始しましたとかいろいろ

先日こんなお知らせをしたばかりですがSFマガジンcakes版で「SF BOOK SCOPE」連載開始しました - 基本読書 今度は紙版のSFマガジンでも連載を始めさせていただくことになりました。*1 とはいえお話自体は先にこっちで何か書きませんかと連絡もらっていたの…

ディアスと月の誓約 (ハヤカワ文庫 JA イ 10-1) by 乾石智子

ファンタジィにしては美しすぎる。ファンタジィは基本的には異世界の物語である。そこは我々のいる地球とは異なる世界であり、異なる種族が居て、異なる成り立ちと法則があることが多い。それじゃあ異世界であるならば、何を書いても良いんだ! とはならない…

植物が出現し、気候を変えた by デイヴィッド・ビアリング

地球という何億年もかけてその形を整え、中の環境を変化させてきた惑星において「植物」が果たした役割とは何だったかについて見ていく一冊。地球も40億年以上生きているわけだから、その間にはいろいろあったわけだ。全地球凍結とかいって地球全体が氷に…

フューチャー・オブ・マインド―心の未来を科学する by ミチオ・カク

SFをもっと楽しむための科学ノンフィクションはこれだ! - 基本読書 こんな記事を書くぐらいだから(今思うと記事名ミスってるけど)僕はSFも好きだけど科学ノンフィクションも同じぐらいには好きだ。その両者に共通するものといえば、自分自身が知覚し…

いつも「時間がない」あなたに: 欠乏の行動経済学 by センディル・ムッライナタン,エルダー・シャフィール

書名だけ見ると「時間」をどうにかする本なのかな? と思ってしまうところだが、時間や処理能力、貧乏から飢餓までを含めた「欠乏」が人間の行動にどのような影響をおよぼすかについての本である。たとえば、2日何も食べていない人間は3食きちっと摂ってい…

真紅の戦場: 最強戦士の誕生 by ジェイアラン

二十三世紀を舞台にして人間が装甲服を着込んでめちゃくちゃに殺しあう! ずびーんぎゃしゃーん、ずどどどどっどどガーーン! うぎゃーーー! やられたーーーー!! ってそんな描写は軽くないが。真紅の戦場とはともかく、最強戦士の誕生って書名が直球すぎ…

薫香のカナピウム by 上田早夕里

上田早夕里さんによる短編魚舟・獣舟 - 基本読書を読んだ時に、そのどこでも読んだことがないし、観たことがない異質さと、その異質さがまったく違和感なく自分の中に受け入れられる世界観に驚いたものだった。しかしそうした「異質な存在感」を放っている世…

帰還兵はなぜ自殺するのか by デイヴィッド・フィンケル

二百万人のアメリカ人がイラクとアフガニスタンの戦争に派遣された。そしてそのうちの二十パーセントから三十パーセントにあたる人々が心的外傷後ストレス障害(PTSD)や外傷性脳損傷をおっている。戦争が起これば当然ながらそこでは戦闘行為が起こるわけで…

偉大なる失敗:天才科学者たちはどう間違えたか by マリオ・リヴィオ

当然ながら科学者だろうがなんだろうが間違えを犯すわけで、ただ単に失敗を取り上げるだけだと本として面白くはならないだろうなと読む前は思っていた。しかし「大発見への橋渡し役を果した」失敗を「偉大なる失敗」と呼び、五人をとりあげていてなかなか良…

SF BOOK SCOPE第三号『SNS疲れの行きつく涯ては——デイヴ・エガーズ『ザ・サークル』』掲載しました

第二号に続き第三号も出ました。ただいま無料掲載期間中になります。今回はデイヴ・エガーズの『ザ・サークル』について。SNS疲れの行きつく涯ては――デイヴ・エガーズ『ザ・サークル』|SF BOOK SCOPE|冬木糸一|cakes(ケイクス) 以下ボーナストラック的な

独創短編シリーズ (野﨑まど劇場 && 野崎まど劇場(笑) ) (電撃文庫) by 野崎まど

諸君らはこんなブログを読んでいるぐらいだから「小説とはなにか」と聞かれたらせせら笑いながら「こいつ、小説もわからねえのか、カスが」ぐらいは言ってのける存在であると僕は考えているが、実際問題「小説とは、どこからどこまでのことを小説と呼称する…

私たちは今でも進化しているのか? by マーリーン ズック

原題が『PALEO FANTASY What Evolution Really Tells Us about Sex, Diet, and How We Live』なので邦題の内容を期待して読み始めると裏切られること必至。だが原題的な意味ではなかなかの一冊。原題と異なるにしても、原題が伝えている意味と別の内容を邦題…

金融は人類に何をもたらしたか: 古代メソポタミア・エジプトから現代・未来まで by フランクリン アレン,グレン ヤーゴ

2007年の世界金融危機から8年も経とうとしているのにいまだに度々話題に上る2015年。わけのわからない理屈でとにかく住宅の価値は上がり続けるんだから今買わなければ馬鹿であるし、どのような貧乏人でも住宅を買うことができるのだと言ってリスクを隠して売…

図書館の魔女 烏の伝言 by 高田大介

図書館の魔女 by 高田大介 - 基本読書 という読書家垂涎の図書館小説の続編。続編というか、内容的には外伝的なものだけれども。著者の高田大介さんは専門が印欧語比較文法・対照言語学とプロ中のプロの研究者でもある。偏執的に言葉とは何なのか、それが人…

オートメーション・バカ -先端技術がわたしたちにしていること- by ニコラス・G・カー

『ネット・バカ』などで知られるニコラス・G・カーの新刊。『THE GLASS CAGE :Automation and Us』という原題からかけ離れた扇動的な書名は相変わらず趣味が悪いが本書のまとめは面白いぞ。だいたいカーの話って、結論ありきでそこにこれでもかっていうぐら…

SF BOOK SCOPE第二号「ロボットとの擬似家族小説にして痛快娯楽活劇——マデリン・アシュビー『vN』」掲載しました

ロボットとの擬似家族小説にして痛快娯楽活劇ーーマデリン・アシュビー『vN』|SF BOOK SCOPE|冬木糸一|cakes(ケイクス)現在無料掲載中です。経緯とかシステムはこちら⇒SFマガジンcakes版で「SF BOOK SCOPE」連載開始しました - 基本読書 なんだろう。…

イスラム国・世界受容・ディーバ

前置きとかニュースとか 基本読書の月報になります。2015年1月はまたいろいろありましたしいろいろ読みましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。個人的に今月の前半はなんだか面白い本になかなか当たらなくて調子がのぼってこなかったものの後半が豊作な月と…