基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

2024-02-01から1ヶ月間の記事一覧

世界の天秤を傾ける事件に関わった、歴史に残る翻訳者たちの苦闘について──『生と死を分ける翻訳: 聖書から機械翻訳まで』

生と死を分ける翻訳: 聖書から機械翻訳まで作者:アンナ・アスラニアン草思社Amazon日夜世界の様々なニュースやコンテンツが翻訳されてくる昨今。翻訳に触れる機会が増えているからこそ、翻訳の限界や難しさを感じることも多い。僕が最近翻訳の難しさを感じた…

医学の発展に貢献したにもかかわらず、歴史から抹消されてしまった人々を掘り起こす──『帝国の疫病 - 植民地主義、奴隷制度、戦争は医学をどう変えたか』

帝国の疫病――植民地主義、奴隷制度、戦争は医学をどう変えたかみすず書房Amazon「疫病(えきびょう)」とは、集団発生する伝染病などのことを指す。少し前ではコレラや赤痢。最近ではコロナウイルスなどのような病のことである。同様の病は昔からあったが大…

『完璧な夏の日』のラヴィ・ティドハーによる、どこか懐かしさを感じる未来の情景を描いたSF長篇──『ロボットの夢の都市』

ロボットの夢の都市 (創元海外SF叢書)作者:ラヴィ・ティドハー東京創元社Amazonこの『ロボットの夢の都市』は、第二次世界大戦直前に世界各地に現れた異能力者たちの暗躍を陰鬱なトーンで描き出す『完璧な夏の日』や、ヒトラーが失脚しロンドンに移り住ん…

SFが読みたい2024年版で海外篇一位を獲得した、悪に堕ちたロボットの人生を描く長篇SF──『チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク』

チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク (竹書房文庫)作者:ジョン・スラデック竹書房Amazonこの『チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・…

二酸化炭素除去技術から湿地創造プロジェクトまで、自然を操作しようとした試みを描き出す──『世界から青空がなくなる日:自然を操作するテクノロジーと人新世の未来』

世界から青空がなくなる日:自然を操作するテクノロジーと人新世の未来作者:エリザベス・コルバート白揚社Amazon人類は技術が発展するたびにそれを使って自然を操作・征服しようとしてきた。その試みの中には成功したものもあれば(農耕だって自然の操作の一…