基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

永遠の出口/森絵都


あらすじ

いろいろなものをあきらめた末、ようやく辿りついた永遠の出口。
私は日々の小さな出来事に一喜一憂し、悩んだりま迷ったりをくりかえしながら世界の大きさを知って、もしかしたら大人への入口に通じているかもしれないその出口へと一歩一歩、近づいていった。
時には一人で。時には誰かと。

感想 ネタバレ無

それにしても森絵都の本はまだ、カラフルとこの永遠の出口しか読んだ事がないけれど、青春小説というジャンルに限って言えばこれ程洗練されている書き手もいないのではないか。

女子の世界のイジメについても書かれている。色んな女子のイジメの事を書いた小説を読んできたが、読んでいて微妙な気分になる。自分が過ごしてきた世界の反対ではこんなイジメがあったのかと。

自伝か?と疑ってしまうほどの完成度の高さ。それが常に褒め言葉になるとは思わないけれども、この作品に限って言えばこのリアリティあふれる世界というのは非常に心地がよい。もしくは心地が悪い。

感情移入させられる。実話的でありながら、フィクションとしての面白さが全く損なわれていない。

普通を普通として書けて、しかもそれを面白く書けるというなかなか難しそうな事が出来る稀有な作家ではないか。まるで丸戸氏のように。


また、「特別」を作らないようにどのキャラクターにも深く立ち入らないような構成になっていたように思う。誰か特定の人間の描写だけが深い、ということはなく、どの登場人物も実際の人生がそうであるようにだれもかれもが行きずりのキャラクターだ。またいったん離れ離れになっても、ひょんなことからまた道が重なる事もある。

家族についても同様の扱いだったかな。そこまで深く触られていない。

あらすじに書いたのは本文の中の文だが、そこにあるように流れゆくときの中で時には一人で、時には誰かと歩んでいく様子が書かれていた。

読み終わった時にまるで、自分の人生を思い返しているようなそんな感慨深い思いにとらわれる。

ネタバレ有

一番好きなキャラクターはお姉ちゃん。だけど特別なエピソードが語られるわけではなくあまりにもサラっと流されてしまった。悲しい。
いじわるながらも優しいというツンデレの典型を踏まえながら、一見すると強いもののその中に色々な葛藤を抱えているっていう設定のキャラに弱いのかもしれない。これからはちょっと意識して読んでみるか。

恋愛の話題もたくさん出る。失恋した時の話が割と印象的。常に相手の事を考えていて、失恋によってそれが無くなってしまった時に考えていた時間が、部分が無くなってしまってその喪失感で悲しくなるのだ。

自殺の原因に、失恋という理由が以外に多いのも上のような理由だろう。
自制できるようになればいいけれども、自制出来ないうちは際限なく考えてしまって、その重さに耐えきれなくなって辛い思いをするのだ。


 それから長い年月が流れて、私たちがもっと大きくなり、分刻みにころころと変わる自分たちの機嫌にふりまわされることもなくなった頃、別れとはこんなにもさびしいだけじゃなく、もっと抑制のきいた、加工された虚しさや切なさにすりかわっていた。どんなにつらい別れでもいつかは乗りきれるとわかっている虚しさ。決して忘れないと約束した相手もいつかは忘れると知っている切なさ。多くの別離を経るごとに、人はその瞬間よりもむしろ遠い未来を見据えて別れを痛むようになる。


成長するってのも考え物だな。経験をつむのも考え物だ。


 友達の一人はデートの前に逃げ出したいほど緊張し、実際、なぜか銚子の犬吠埼まで逃げ出してしまい、デートをすっぽかされた相手から絶縁宣言をされて、独りで銚子へ行くほどのバイタリティがあったならなぜ彼と向き合えなかったのかと泣いていた。


笑った。あまりにも途方もない話すぎてこれはむしろ実話なのではないかと疑ってしまったぐらい。
ていうかこれ舞台どこなんだっけ?知らない地名出されると全く記憶に残らないので困る。地名書いてあったかなぁ。というか読むペースが割とはやいせいか、そういう記憶に残しても残さなくても物語の本質にあまり関わらない話、みたいなのは割とスルーしてしまう癖がついているように感じる。

いかんなぁ。

ていうか表紙の皿にのってる黄色い物体は何だ?黄金か?砂金か?オムライスか?

そんな描写あったか?ていうか女の子が泣いてるようにみえるのだが何故だ?オムライスが嫌いなのか? レモンシロップがかかったかき氷のようにもみえる。適当な事書きすぎだが。

しかしいい感じに青春小説だった。青春小説でお勧め無い?ってきかれたら真っ先にこれと答えるかもしれない。違うかもしれない。表現がよくわからないが、むき出しの青春という感じがした。

 2008/7/12