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外国語の壁は理系思考で壊す

英語の学習に中学高校大学と途方もない時間を費やしているのに、なぜ英語が使えるようにならないのか、それは勉強法が正しくないからである。ではどのような勉強法が正しいのか、ということを科学的に理解しようとするのが本書『外国語の壁は理系思考で壊す』であります。

ポイントとなる部分を少し引用してみます。

・言葉は音で伝えるのではなくて、意味と内容で伝わる。
・だから大切なのは発音よりも語彙と論理構成である。
・外国語の造語法を知れば、語彙は芋づる式に増える。
・それは、努力せずに外国語を実用に使えるようになる近道である。

要するに、発音などはどうでもいい。発音がめちゃくちゃでも、単語と文脈さえ理解されればわかってもらえる。日本語と英語、その他の言語では語順がまったく異なるので、翻訳しながら読んでいると単純に時間がかかる。なので翻訳しないでそのまま読む。

語彙は単語帳を使って日本語との=関係で覚えるのではなく、造語法を知ることによって芋づる式に覚えていくのが一番効率が良い。なぜなら、その方が応用が効くからだ。たとえば語幹divは次のように派生する。・divide 分ける/division 分割、区分、部門/divisor 除数、約数,divider 分割する要因や物

これはdivのほんの一例だけれどもこのようにして語を派生で覚えていくことによって、芋づる式に語彙が増えていく。知らない単語と当たった時でも、意味を推察できるようになる。さらに重要なのが接頭語と接尾語で、これを覚えると知らない単語に突き当たってもわざわざ辞書を調べるまでもなく、意味が推察できるようになる。僕達が日本語を、大体の語感で意味がおおよそ推測できるようになる感覚と近いと思う。

たとえば接頭語を一つみても・dis-(否定もしくは逆の動作の意味にする) disable;ability(能力)がない/disadvantage;アドバンテージがない/disaffected;affect (影響)がない/disagree;agree-ment (同意)がない/disappear;appear(現れ、見掛け)がない/disappoint;appointment (指名、指定)がない、失望する(この状態との一致がないから)となる。ここに書いたものでdisの約四分の一でしかない。

このように関連させて覚えれば構成も理解できて楽だ。しかし高校なんかで買わされる単語帳は日本語との対応を一つずつ、つけていくやり方で非常に効率が悪いのが分かる。最後に重要なのが、これは確か村上春樹も言っていたことだけれども、「英語を使わざるを得ない状況にならなければなかなか覚えられるものではない」というようなこと。

著者は物理学者で国際的な場にも数多く出席する人であるけれども、韓国との共同会議の際に韓国の科学者が言った言葉がかなり的を射ていると思う。「韓国では日本ほど自国語での専門書がないので、英語は韓国の学生の方が良く出来る」

結局のところ、「外国語を使わなければどうしようもない」という状況に追い込まれるのが、一番の勉強法かもな、と思ったりもした。日本はちょっと翻訳状況や日本語を使える状況が良すぎるのかもしれません。もちろん、凄くいいことではあるんですけどね。

外国語の壁は理系思考で壊す (集英社新書)

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