基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

賭けの考え方

賭け事は嫌いだけれども、賭けについて書かれた本は好きだ。
人生に偶然の出来事はつきものであり、勝ち負けに必ず偶然が絡む賭け事は偶然といかにして付き合ったらいいのかを教えてくれる。

本書は賭け事の中でも主にポーカーについて書かれた本だ。しかし戦術書ではなく、主に闘いに際して「どのような精神状態でいると勝てるか」をといた本だ。つまりポーカーに限らず広く敷衍可能なことが書かれている。

内容を簡単にまとめてしまうとこうなる。
「現実を受け入れ、常に冷静になり、最善の戦略を実行し続けろ」

言葉にしてしまえばひどく簡単なことだがそう容易くはない。たとえば、ポーカーには確率を用いた平均的に一番勝てるはずの「正しい」プレイがある。もし仮にその「正しい」プレイを完全に実行出来るプレイヤーがいるならば、その「完璧なプレイヤー」ほどには正しいプレイを実行できないプレイヤーは長期的な視野で見れば「確実に負ける」

もちろん短期的な視野で見れば「完璧なプレイヤー」以外が勝つ可能性は充分にある。十回コインを投げて10回表が出る確率は0.1%だが、8回表が出る確率は4%ある。7回ともなれば12%で、「運が局所的に偏る事は、確率的に見ればよくあること」なのだ。しかしもしコインを100回投げたなら? 表が70回以上出る確率は0.004%しかない。

回数を重ねるごとに極端な数値が出なくなることを「大数の法則」というが、これに注目した場合「常に正しい選択」を行い続ければ、たとえ短期的には負けているように見えたとしても「間違いなく勝つ」ことができる。この「常に正しい選択」をとることがいかに難しいのか、というのが本書のメインテーマとも言える。

たとえば感情がある。席についた瞬間に大負けするかもしれない。そうすると取り返そうとして無茶な賭けを行なってしまうかもしれない。もしくは個人的な恨み。先ほど勝てた手がまた来たので、ツキを信じて行ってしまう。波がきていると勘違いしてダメダメな手でも自信満々に攻める。短期的にうまくいった方法があったからといってそれを盲信して使い続け、結果負ける。

負けすぎても勝ちすぎても精神状態はたやすく移り変わってしまって「正しい選択」が行えなくなってしまう。「正しい選択」を行うために必要なのは、本書からまとめると

・自分がどんなに正しい選択をしていても、自分に不運が襲ってくることがあることを理解すること。
・即物的な欲求を満たすためではなく、長期的に自分が幸せになれるような決断を下すこと。
・ある決断の是か非かを、結果の良し悪しで判断しないこと。正しい決断をしても時にはうまくいかないことがある、その時に正しい決断を捨ててしまわないこと。
・想定内のリスクを恐れず、自尊心やくだらない感情にまどわされないこと。
・感情をあらわにすべきではない、ということではないことを知ること。うまく言ったときは喜び、ダメだったときは悲しむ。ただし感情に意思決定を邪魔されないこと。

こんなところだろうか。まあ、言われてみれば至極当たり前というか、シンプルで実行することが難しいことばかりで、読んだからといってすぐに役に立つわけではない。じゃあ、無意味なのか? いやいやそんなはずはない(これうざいな)進むべき正しい道を与えてくれるのだから、後は進んでいくだけだ。多くの経験を積み、何度も失敗を重ねて刷り込んでいくしかないのだろう。

賭けの考え方 (カジノブックシリーズ)

賭けの考え方 (カジノブックシリーズ)