基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

僕が愛したMEME(ミーム)たち いま必要なのは、人にエネルギーを与える物語(ミーム) (ダ・ヴィンチブックス)

メタルギアソリッドなどで知られる小島秀夫監督の書評やら映画評やらが入っている、物語紹介集といった感じ。だいたい小島監督の個人的な語りから始まり作品をいくつか角度をうがってみていく形式で、小島監督のファンでないならたいしたことない一冊だが、ファンならまあ、といったところ。僕はちなみにメタルギアソリッドの2と3をやっただけの中途半端な人間である。

ミームとはリチャード・ドーキンスが提唱した概念で確か「生き延びるために自己複製するものを生命と定義するならば、宗教や人の考え方といった情報が人の間に伝播していくのもまた一個の生命であろう」というような考え方で、その自己複製する情報をミームと呼称したのだった(たしか)。それが何を意味するのかといえば僕らは肉体が住んでも自分自身のミームが残っていく(かもしれない)とする考え方で、その考え方が色濃く反映されているのがメタルギアソリッドガンズ・オブ・ザ・パトリオット伊藤計劃版ノベライズ作品である。

『毎日の食卓にも、誰かの物語が生きている』とはこの小説の言葉だが、たとえほんの一瞬の髪をかきあげる仕草であったり、目玉焼きを焼き上げるときの小さな技術であったり、そうしたとるに足らない様に思える小さなパーツでさえも人から人へと受け継がれていくもので、この世界っていうのはそうした小さな物語の集合ででき上がっているのだ。

本書に一本芯が通っているのはそのミームに注目しているところだ。ちょっとくどいぐらいにMEMEという言葉が多用されるけれど、それだけ一貫してひとつのテーマを読解の中に持っているということでもある。MEMEとは受け継がれていくものであり、そして受け継がれていく中で姿を変えていくものであり、本作では物語はその運び手として紹介される。

僕も思えばたくさん物語を読んできた。僕にとって物語は逃避場所を与えてくれるものであって、こんなにすごいものがあるんだから前に進まなくちゃいけないし前にはもっと素晴らしいものが待っているに違いないという希望だった。僕の中にはよくわからない物語がごたまぜになっていっぱい詰まっていて、それだけでも生きている価値があるのかなあと思ったりする。