基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

Kindle読み上げでたくさん本を読む

この何ヶ月かKindle読み上げを利用してけっこうな冊数本を読んでいて、なかなかいいぞとかこれは難しいぞという知見が貯まってきたのでここらでいったん共有したい。Kindle読み上げとは何なのかといえば、Kindleのアプリケーションに存在する読み上げ機能を使って音声で本を読むというただそれだけのことであり、別に特段のスキルも準備も必要ない(最低限スマホかタブレットは欲しいところだけれども)。設定方法については面倒なのでこの記事では解説しない。Kindle読み上げで検索スべし。
katsumakazuyo.hatenablog.com
この記事では方法よりも「そもそもどんな本が読み上げに向いているのか?」とかの使用感を中心にしていこうと思う。僕自身も人がやっている(勝間和代さんとか)のを見かけてやってみたのだけれども、正直最初は半信半疑であった。ていうか音声で聞いてたら読み終えるのに時間かかりすぎじゃない? とか頭に入らなくない? とか、否定的な感想はいくらでも湧いてくる。一方で、最近眼が悪くなってきていて本を読むのに集中するのが年々しんどくなっていること、移動時間が増えたこともあって、その時間を有効活用できたらいいなあなどの理由から手を出し始めたのだ。

で、実際に始めてみると最初は「まったく頭に入ってこねえ」「歩いていると別の事を考えてしまって、そうすると読み上げの内容がぜんぜん記憶に残らねえ」などのいろいろな問題があったが、次第に慣れていった。この慣れていったというのがよくわからないところで、「読み上げを自然と聞き流すようになった」なのか、はたまた「読み上げを聞く最中に他のことを考えないでいるようになれた」のか。おそらく両者のどちらもあるのだろうと思うが、そのへんについても後述する。

よき点

読み上げで読み始めてよかった点は絶対的に読書量が増えたところだ。だいたいのところ読み上げを3〜4倍速で聞くことで新書で1冊2〜3時間ほどで読み終えることが出来る。ざっくり200ページほどを2〜3時間程度と考えると400ページで5〜6時間、500ページで7〜8時間程度になるだろうか。1日往復で2時間かけて通勤している人なら、読み上げだけで(新書なら)月に10冊以上読むことが出来るだろう。

僕にとってよかったのは、そうした移動時間がもともと無だったことだ。音楽も聞かないし、昔は電車移動中も本が読めたのだが最近は集中力が続かなくて(しかも僕は乗り物酔が激しくてすぐ吐きそうになる)、無の状態で立っていたのだが、読み上げがあるおかげでずっと本が読める、無から読書時間が生まれたのである。また、家の中にいてどうしても集中できない時なんかも目をつむりながらベッドに転がって聞けるので、思っていたよりも聞く機会と汎用性は多いというのが実感だった。

また、そうやって無の状態から生まれた読書時間なので、普段なら読まないような本に果敢にチャレンジできるようになったのもありがたい。適当に新書をざーっと読み(聞き)続けてみたり、学術系の文庫をバリバリ読んでみたり、本業で必要で読まないといけないけどテンションが上がらない本なんかをぬるぬると読める。

よくない点

一方でよくない点は「歩いている最中」や漫然と掃除をしている時などのような、物を考えるに絶好の時間が、読書時間にとってかわられたことで減少してしまうことだ。また、本を目で読んでいる時はいつでもどこでも読むのをやめて、そこに書いてあることについてじっくりと考えを広げることができるが、読み上げで聞いているとそんなことしている間にどんどん先に進んでしまうので考えを広げることが難しい。

とはいえ、そうした問題は意識的に物を考える時間をとることで解消可能だろう。常に読み上げで聞きながら移動しなければならない法則はない。1日おきでもいいし、コレはちょっと考えたいぞ、という部分があったら読み上げを止めればいい。別にどんなやりかたでもいいので、物を考える時間は別途確保すればいいだけの話だ。

他、よくない点としては僕は本を読んでいる時は基本的に線を引くか、金属製の使いまわし出来る付箋的なものを使っているのだけれども、そういうのは難しい。とはいえ、現状僕はほとんどiPhoneで読み上げさせているので、よほど気になる時はストップさせて線を引いてまた読み上げを開始させる方法をとっている。

あと、読み上げで聞いて頭に残るのか? という疑問もあるだろうが、これは基本的には問題なく残っているように思う。少なくとも一文一文しっかりと読み上げで頭の中を通っているわけなので。読み上げで聞いた本も問題なくブログで記事が書けるし、ちゃんとした書評原稿も書ける。とはいえ、読み上げでは正しく漢字が認識されないケースが多いので記事を書く場合には、ざっとではあるが読み直し必須ではある。(もっとも、読み直し自体は僕はブログを書く時は必ず行うのだけれど)

どのような本が読み上げに適しているのか

読み上げに向いているのは小説とノンフィクションなら後者だろう。小説は表現自体を楽しみたいのでできれば目で読みたい(当然、ノンフィクションも物による)。とはいえ、別に読み上げでよめないわけではないので、僕も30冊以上小説を読み上げで聞いている。一方でノンフィクションも向いてないものは本当に向いてない。たとえばみすず書房から出ている『これからの微生物学』を読み上げで聞いていたのだが下記のような文章が頻出するのでまったくなにをいっているのかわからない。

尿路病原性大腸菌(UPEC)、また腸管病原性大腸菌(EPEC)と腸管出血性大腸菌(EHEC)があり、とくにO157H7株は、ヨーロッパや合衆国で生焼けの牛肉を摂取したあとにいくつかの重篤な流行が発生したので、ときに「ハンバーガー菌」と呼ばれている。

専門用語が頻出する本は科学ノンフィクション以外でもやめたほうが無難だろう。たとえば歴史の本でも精確に読み上げられない漢字が頻出すると、何をいっているのかわからなくてさすがにしんどかった。あと経済系の本で数字がいっぱい出てくると、たとえば10000をいちぜろぜろぜろぜろとか読み上げやがるので意味不明になる。このへんは読み上げの調整でなんとかなる領域かもしれないけど。

機材を揃えるべきか

勝間さんの記事などを読むと「え、そんな何万もするようなレコーダーとFireHDを買わないといけないの!?」と思うかもしれないが(僕は思った)、実際にはスマホがあれば普通に聞けるので、無理して揃える必要はない。それに録音するのってめちゃくちゃ面倒だし。ただ、図や表が頻繁に入ってくるような電子書籍だと、iOS版のKindleアプリだと1分に1回とかの高頻度で読み上げが止まる(Android系だと止まらない)ので、そういう本までもどうしても読み上げで聞きたいケースでは録音環境はあったほうがいいだろう。実際、僕もそういう本だけは録音してMP3化している。

おわりに

目が疲れない、移動時間に読める、というのが最大の利点なので、そこに魅力を感じる人ならばやってみたらどうだろうか(別に、手元のアプリで試すだけだし)。

ちなみにどんな本を読んでいるのかといえばこんなような本です。
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