- 作者: わじまさとし
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2010/01/04
- メディア: コミック
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ま、実際とってもつまらないんですけれども、つまらなすぎて面白いというか。度を超えたらつまらなさというのは面白さに変換されてしまうものだとぼくなどは読んでいて思いました。たとえばこんなひどい回があります。落語を題材にした回で、面白亭爆笑という落語界のなかでも屈指の笑いのセンスを持っている男が、落語のお題である「裏取引の現場に遅刻したマフィアの遅刻の理由」に対して、「どんぐり拾ってた! 用事だけに!」と答えて周りの人間は「さすがだぜ…面白亭爆笑…」という場面があるのだが、いったいそのやり取りのどこに笑うポイントがあるのか意味不明である。恐らくこの場面の笑いどころは、意味不明な答えをしたのにも関わらず周りの人間が「さすがだな…」と言っているところにあると思われるのだが、確信は持てない。通常のギャグ漫画であれば、面白いかどうかは別としてああこれはギャグなんだな、ということぐらいはわかるが、いったいどこに笑うポイントが用意されているのか読者が歩み寄らなければいけないというのはかなりハードな作品がこの「わっしょい!わじマニア」なのだ!!
作風としては不条理ギャグというか、シュール系というか、キャラクターにシュールな事をやらせてそれに逐一ツッコミを入れていくという非常にシンプルな構造ではあるのです。ただそのテンポが非常に速い。1コマごとに笑いどころが1つは用意されている感じで、正直いってギャグとギャグの間にタメがないことによって、読んでいて非常に疲れます。一つ一つのギャグもほとんど無理やり挿入されたもので、まあシュール系ですから挿入する分にはいくらでも挿入できるのでしょうが、そのせいで一つ一つのネタの質が驚くほど低い。特に最低なのが各話ごとにオチがまったくといっていいほどつけられていないことで、むしろ笑いがこみあげてくるようなひどさです。ギャグ漫画には綺麗なオチが必要なのか? という問いは当然出てくるでしょうが、本当のところ落ちた方がいいには決まっているのでしょうが「必ずしも綺麗にオチなくてもいい」のではないかと思います。実際ギャグ漫画日和なんかを分析すればわかると思うのですが、一部の作品を除いてまったくオチていない。しかし、綺麗にオチなくてもいいとはいっても、まったくオチなくていいというわけではないのです。どんなにくだらない、しょぼいオチであっても一応「話はここで終わりですよ」という目印は立てなくてはならんのです。そうしないと読んでいる方も、終わったのか終わってないのかよくわからなくなり、非常に心地が悪いことになります。まあそんなわけでわじマニアは非常につまらない作品です。しかし個人的な感想を言えば、話数を重ねるごとに良くなっていった印象がありますので(特に最終回一個手前のぶど太郎の回は凄く面白かった。)もし非情なるアンンケートさえなくもう少し、せめて半年、1年ほど連載が続いていれば化けたのではないかと思っています。先日講談社の編集者である太田克史氏も
いきなり完成している作家さんや編集者なんて一人もいない。僕の大好きなギャグ漫画家さんは代原デビューで、しかもその代原は某雑誌のアンケート史上に残るぶっちぎりの最下位デビューだったらしい。(そして、そのシリーズはいつしかギャグマンガ史上に残る大ヒットに・・・おもしろいよね!)
といっていましたし。あ、ついったーで。