読了。最近は講談社ブルーバックスの本を読むことにハマっています。ジャンル的には、科学入門新書みたいな感じなんでしょうか。色が濃いシリーズなので、読む本読む本内容が新しくて、つまり面白いです。特色がこう、強く押し出されていると読む楽しみが増えますよね。たとえば普通の新書だったら、講談社新書だろうが光文社新書、集英社新書だろうがだろうが、そこまでの違いはないもので、「まだ見ぬ未開拓の分野が!!」という興奮は生まれないもの。
つーわけでエントロピーです。熱力学第二法則です。エントロピーという単語を聞いたことはあっても、「エントロピーってのはつまりこういうことだよ」と説明できる人は、なかなかおらんのじゃないでしょうか。
一般的にエントロピーはエネルギーの移動方向に関しての法則だと言います。エントロピー増大の法則とか聞いたことないでしょうか。卵を割ったら、割れた卵は元に戻らないし、牛乳とお茶を混ぜたらそれらは一人でに元の牛乳とお茶に戻ることはない。
当然の話のように聞こえますが、これがエントロピー増大の法則だと、一般的には言われています。「自然は秩序から無秩序状態へと向かう」と、難しく言うとそういうことになりますが、これはちょっと間違っている、というよりかは、おおむね正しいものの全部が全部正しいわけではない。
たとえば部屋が綺麗に整頓されている状況を秩序的だとして、ぐちゃぐちゃな部屋を無秩序だとしても、それは主観的な判断であって判断を下すことは難しい。結局のところ秩序・無秩序なんていうのは、芸術作品の評価と同じく「主観的」にならざるを得ない。
ではエントロピーとは一体何なのかといえば、それは「より起こる可能性が高いことが起こる」法則であると言えます。説明が難しいというか説明できるほど理解できていないので簡単に説明すれば……
完全に公平な状況で裏表のあるコインを投げて、裏が出るか表が出るかの確率を計算していけば、最初のうちこそ偏りが出るかもしれませんけど最終的には表と裏の確率は50%で均等になりますよね?
なぜ自然は秩序から無秩序へ向かうのか。物理学の法則にのっとっていえば、割れた卵が元に戻ることを邪魔する法則は存在しないのです。しかしなぜか自然においては割れた卵が元に戻る現象を目にすることはない。
それに対する答えが、非常に呆気なくあまりにも当たり前な「そっちの方が確率が高いから」というもの。「より頻繁に起こるように期待される事象は、より頻繁に起こる」。施行回数が多ければ多いほど、より頻繁に起こるように期待される事象は「ほぼ必ず」平均値へと到達し、その場でちょっと増えたり減ったりしながら揺らぎ続ける。
周りで目にする「熱力学第二法則」を適用される事象はすべてこのように「より低い確率で起こる事象からより高い確率で起こる事象へ向かう」変化であるのですな。これは非常に面白いんですけど、結論があまりにも「常識」過ぎる為に「だからどーした」という感覚が免れない。
まあでも、面白かったです。
エントロピーがわかる―神秘のベールをはぐ7つのゲーム (ブルーバックス)
- 作者: アリー・ベン-ナイム,中嶋一雄
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/07/21
- メディア: 新書
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